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魔法薬師の知識を活かしてブレンドした身体にいい魔法薬茶を淹れてもらう。ふわりと立ち上る爽やかな香りを堪能しながら口にする。
私宛ての手紙の中に、サルーテ国からの招待状を見つけて開封する。第二王子が立太子する案内にため息をついた。
「久しぶりに里帰りもしたかったけど、この日程では無理ね……」
サルーテ国にレオナード様と一緒に向かった日、ドラゴンが追いかけてきたと勘違いしたエリック殿下は錯乱状態になったという。私は、エリック殿下が番に対する執着をサルーテ国に戻って勉強していたことに驚いたのだけれど。
報復されると思い込んだエリック殿下は、サルーテ国王陛下に今までの詳細を報告。全てを聞いたサルーテ国王陛下は、クラウト王国との関係悪化を恐れた。エリック殿下の王位継承権を剥奪して北の塔に幽閉。そして、元凶になったマチルダ様は、厳格な修道院に入ったものの脱走して、娼館に身を落としたと聞いている。
「アイリーン、すまない。手紙が紛れてしまったようだ」
大きな手に招待状が引き抜かれた。レオナード様が心配そうに私の瞳を見つめてくるので、安心させたくてにっこり笑う。毎日注がれる深い愛情でエリック殿下との過去を思い出すことはないのに、レオナード様は私が過去に傷つくことを何よりも心配している。
「ふふっ、レオナード様、ありがとうございます」
レオナード様が屈み、私の額にレオナード様の額をあてた。
「アイリーンは強くて、美しいな──流石、俺の運命の番」
嬉しそうなレオナード様に、唇を重ねられる。呼吸を整える間もなくなるくらい深くなるキスに、私はあわててレオナード様の胸をたたく。火照った頬を押さえながら、王宮の庭が見頃だと教えてもらったことを伝えた。
「レオナード様、綺麗です……っ!」
「アイリーン、絶対に走ってはだめだよ」
銀と青色のロンダンの花が満開に咲いている美しい光景に、二人で微笑みあう。最近は今まで以上に過保護すぎるレオナード様に抱き寄せられると、大きな手が伸びてきた。
レオナード様が、私の膨らんできたお腹をやさしく撫でる。
「来年は、三人で一緒に見れますね」
幸せな気持ちでレオナード様を見上げると、最愛の夫から甘やかなキスが落ちてきた。
Fin.
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