上 下
64 / 66
エピローグ

epilogue...(5)

しおりを挟む
     ♮

 カラーン、カラーン……。

 どこかで鐘の音が鳴り響いている。
 モクモクとふくらみあがる入道雲と、照りつける太陽にセミの鳴き声、たくさんのハトが、藍色の青空を羽ばたいていく。

 あたしは椅子に座り、お母さんのノートパソコンを開く。机の上には、みんなでとった観覧車の遊園地の真新しい写真が飾られていた。

 お父さんが、玄関からあたしに叫んでいる。
「茜ぇ⁉ 友子ちゃんが迎えにきたよ! 今日はみんなでプールに行くんだろー? 日夏茉ちゃんのこと頼むなー。じゃあお父さん行ってくるから!」

 Re.ハローワールド
『朱里、誕生日おめでとう!
 今日は友子たちとプールに行くんだ!
 ところで、あたし、絵本作家を目指そうと思うの。
 それで相談なんだけど、あなたのペンネームをあたしに使わせてくれない? 
 将来、朱里みたいなすごい絵本を作ってみせるわ!
 帰ったらまたメールするね。
 いってきます!』

 メールを送信し、あたしはパソコンを閉じた。

「はーい! い、ま行くー!」
しおりを挟む

処理中です...