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とある田舎の片隅にて
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△▼△▼△▼△▼
長きに渡った俺の就活は
ーー サクラ サク ーー
今時古風な電報のような書体で終止符を打った
優しい両親とかわいい妹に友人達
小さな頃から色んな事を教えてくれた近所の爺さん婆さんは皆保護者であり先達であり先生だった
そんな人達に別れを告げ、俺は田舎を飛び出した
あれよあれよと予定を消化しながら慌ただしく過ぎる新しい毎日
職場近くにアパートを借りられたのは僥倖だったと言えよう
研修施設での研修を終え、晴れて正社員として…社会人としての第一歩
その一歩目で踏みしめた大地は
日本どころか地球ですらなかった
▼△▼△▼△▼△
「轟 栄治です!正社員として粉骨砕身!この会社に骨を埋める覚悟であります!!」
違うな、俺はこんな熱血じゃないしこんなのやられたら引く
「おはようございます!新しく入社しました轟 栄治と申します!右も左もわからない若輩者ですが、皆様ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します!」
うーん…ありきたりだし無能っぽく思われるかも?ただ、挨拶から入るのはいいかもしれないな
その後も初出勤のシュミレーションは進み
「おひけぇなすって!!わたくし…」
ダメだ、勢いは良いかもしれないが
「車、車、車、車3つで…」
“これ以上行ったらいけない”と言う本能に従い、迷走していたシュミレーションを終わろうとした矢先
パァンッ!!と乾いた音が室内に響き渡る
「グゥゥゥゥゥゥーーン!!」
尻に強烈な衝撃を受けて反射的に仰反る身体
口からは先程踏みとどまったと言うのにアッサリ出てくる向こう側
「なんて格好してんのよ!馬鹿兄貴!!」
右脚を振り抜いた状態からゆったりと残心を取っている妹に罵られる
半身に構えて戦闘体制
軽く握られている両拳
いつでも緊急発進可能なその姿は高火力空母の如く
俺の貧弱な装甲など軽く撃ち抜いてしまう事だろう…
嗚呼、妹なのに空母とはこれいかに
…チチは無いので母子家庭
「また変な事考えてるでしょ」
「そんな事は少ししか無い!」
「はぁ…」
嘆息する妹を尻目に未だダメージの残る尻を庇いながらゆっくりと立ち上がり身を整えようとしてふと気がつく
「なぁ」
「何よ?」
「なんで俺タンクトップ着てるんだ?」
「私が聞きたいわよ!ってか聞いたわよ!」
世の中おかしな事もあるもんだと思う間も無く
ズンッ!と腹部から体内へ音が響きわたり
再び沈みゆく身体
よぅ、さっき振りだな元気してたか?
相変わらず冷たいな、床よ
「どーせちっちゃいわよ!ふん!」
本当に…
世の中おかしな事ばかりだ
さめざめとうずくまる背中に
「もうすぐ…遠くへ行っちゃうクセに…」
と言う涙声は聞こえているのかいないのか
△▼△▼△▼△▼
長きに渡った俺の就活は
ーー サクラ サク ーー
今時古風な電報のような書体で終止符を打った
優しい両親とかわいい妹に友人達
小さな頃から色んな事を教えてくれた近所の爺さん婆さんは皆保護者であり先達であり先生だった
そんな人達に別れを告げ、俺は田舎を飛び出した
あれよあれよと予定を消化しながら慌ただしく過ぎる新しい毎日
職場近くにアパートを借りられたのは僥倖だったと言えよう
研修施設での研修を終え、晴れて正社員として…社会人としての第一歩
その一歩目で踏みしめた大地は
日本どころか地球ですらなかった
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「轟 栄治です!正社員として粉骨砕身!この会社に骨を埋める覚悟であります!!」
違うな、俺はこんな熱血じゃないしこんなのやられたら引く
「おはようございます!新しく入社しました轟 栄治と申します!右も左もわからない若輩者ですが、皆様ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します!」
うーん…ありきたりだし無能っぽく思われるかも?ただ、挨拶から入るのはいいかもしれないな
その後も初出勤のシュミレーションは進み
「おひけぇなすって!!わたくし…」
ダメだ、勢いは良いかもしれないが
「車、車、車、車3つで…」
“これ以上行ったらいけない”と言う本能に従い、迷走していたシュミレーションを終わろうとした矢先
パァンッ!!と乾いた音が室内に響き渡る
「グゥゥゥゥゥゥーーン!!」
尻に強烈な衝撃を受けて反射的に仰反る身体
口からは先程踏みとどまったと言うのにアッサリ出てくる向こう側
「なんて格好してんのよ!馬鹿兄貴!!」
右脚を振り抜いた状態からゆったりと残心を取っている妹に罵られる
半身に構えて戦闘体制
軽く握られている両拳
いつでも緊急発進可能なその姿は高火力空母の如く
俺の貧弱な装甲など軽く撃ち抜いてしまう事だろう…
嗚呼、妹なのに空母とはこれいかに
…チチは無いので母子家庭
「また変な事考えてるでしょ」
「そんな事は少ししか無い!」
「はぁ…」
嘆息する妹を尻目に未だダメージの残る尻を庇いながらゆっくりと立ち上がり身を整えようとしてふと気がつく
「なぁ」
「何よ?」
「なんで俺タンクトップ着てるんだ?」
「私が聞きたいわよ!ってか聞いたわよ!」
世の中おかしな事もあるもんだと思う間も無く
ズンッ!と腹部から体内へ音が響きわたり
再び沈みゆく身体
よぅ、さっき振りだな元気してたか?
相変わらず冷たいな、床よ
「どーせちっちゃいわよ!ふん!」
本当に…
世の中おかしな事ばかりだ
さめざめとうずくまる背中に
「もうすぐ…遠くへ行っちゃうクセに…」
と言う涙声は聞こえているのかいないのか
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