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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
目が覚めると、前世どころか前々世でも見た事ない豪華なベッドの上だった
嫌な予感がする
無駄にでかいそこから這い出し、やたらと広い部屋の中でようやく見つけたそれはもう高級そうな姿見には
金髪ドリルロールのお嬢ちゃんが訝しげにこちらを覗き込んでいるのが映っている
瑞々しい果物を彷彿させるぷっくりとした唇
花が咲くように淡く染まる愛らしい頬
碧く大きな瞳は少しつり上がっており、可愛いというよりは綺麗という印象を幼いながらに与える
そんな美少女が鏡の中で私と同じ動きをしている
これは見まごうことなく…
「悪役令嬢の方じゃねぇか!!!」
そう吐き捨てたあと
美少女は神を『あの野郎』呼ばわりするのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ステータス」
まだ夜明け前で薄暗い部屋の探索を中断し、現状把握の為にそう呟くと
名前:アリシア・スレイデン
年齢:10歳(+36)(+29)
性別:女の子
ATK:8
DFE:5
TEC:12
INT:38
LUC:3
技能:生活魔法(特殊)
称号:神童 王太子の婚約者
やっぱり出ましたステータス
…というか
「年齢のこれって補正みたくなってるけど享年よね?神さま絶対ケンカ売ってやがるわぁ」
悪態を吐きつつ考えを巡らせる
即リセットするか否か?
答えはすぐに出た
「様子見の続行で」
リセットするだけで難易度が上がるのだ、そんな頻繁にするつもりもないし
するにしても出来るだけ長く情報を集めた方が良いに決まっている
神さまがまた転生させてくれるかもわからない訳だし
「特化型でステータス高いのがまたイラつくわね…」
この世界、魔法に関しては攻防共にINT(賢さ)依存である
そのINTがステータスの中で最も高く、技能と称号持ち
前世のゲームなら“神引き”と言える優秀なステータスなのだ主人公ならば
ひとまずの目標は
「教会へ行って抗議かしらね?」
そう結論付けて、天蓋つきのやたら豪華なベッドへ潜り込むのであった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
数時間後
豪華なだけで寝心地はそんなに良くないベッドから抜け出し、今日の予定を思い返す
私の誕生日である
前々世でも前世でも同じ日に産まれたので
おそらく宿命的なものなのであろう
ちなみに今生の10年間の記憶や知識に関しては寝ているうちに夢のように思い出した。
…どうやっても時間が足りないと思うんだけど、真っ白な修行空間的な何かでどうにかしてくれたんだと思う、たぶんそう
気を取り直して
この世界では子供が10歳になると教会で祈りを捧げ、洗礼を受ける事が出来る
その時に様々な技能を授かり、人々はそれを生かした職業へと人生の進路を選択するのだ
思えばこんなにも神秘的な事が毎年起こっていると言うのにあの生臭坊主(神官)共はよくもまぁあれだけ腐ったもんだ
話が逸れてしまった
娯楽などなく労働力もないし冬になると仕事もそんなに無いこの世界では、ヤるしかないので出生率だけはすこぶる良い
おかげで毎年産まれる子供達は向こう10年減る事は無いと言われている
そう言う事情もあり教会の無い地方の村や集落などは牧師が時間をかけて回り、まとめて洗礼を行うので全ての子供が全員ぴったり10歳で洗礼を受けられるという事は少ない
1年2年遅れるのは良くある話で、なんなら洗礼を受けられない子供も数多く居る
ただ、そんな子は既に自立していたり感覚的に自分の能力を把握していたりと他と比べて有能だから受けていないのであって
一般的には手に職をつけるためにまず受けるのが普通だ
毎年かなりの数になるし、アレコレと金がかかるのは自明の理ではあるのだが意外な事に洗礼自体は無料で行われる
その理由はこの洗礼自体が“聖人”を探し出すための大切な儀式だからだ
『この世界を滅ぼす“厄災”に対抗できるのは“聖人”のみ』
初代聖人が遺した預言の書にはこう記されており、この書は教会という組織が立ち上がるきっかけになった聖典となっている
まぁお察しの通り主人公であるリリィが“聖人”つまり聖女なんだけどね?
“災厄”の方がルートによってバラバラなんだよなぁ
魔王だったり
天変地異だったり
異世界からの侵略者だったり
人類は星を食い荒らす害虫と見做され、星の使徒として厄災を絶滅させるエンドは捻りがあってなかなか好きだった
今は前世の思考から
教会の膿を絞り出したら何も残らなかったから新宗教立ち上げエンドに心惹かれていたりする
また話が逸れてしまった。
とにかくみんな大好き洗礼の儀なのだが
公爵令嬢たる私に至っては教会に足を運ぶどころか向こうから来る
節制とは程遠い金のかかった身体を揺らしながら、揉み手でニコニコと
…そう言えばこの都市の司教さまは聖女候補を良く見つけると前世で聞いた気がする
聖女候補の教育とかなんとかでなにやらやっているとかなんとか
よし、やっぱ滅ぼそう
ついでにあの野郎に文句を言おうそうしよう
目が覚めると、前世どころか前々世でも見た事ない豪華なベッドの上だった
嫌な予感がする
無駄にでかいそこから這い出し、やたらと広い部屋の中でようやく見つけたそれはもう高級そうな姿見には
金髪ドリルロールのお嬢ちゃんが訝しげにこちらを覗き込んでいるのが映っている
瑞々しい果物を彷彿させるぷっくりとした唇
花が咲くように淡く染まる愛らしい頬
碧く大きな瞳は少しつり上がっており、可愛いというよりは綺麗という印象を幼いながらに与える
そんな美少女が鏡の中で私と同じ動きをしている
これは見まごうことなく…
「悪役令嬢の方じゃねぇか!!!」
そう吐き捨てたあと
美少女は神を『あの野郎』呼ばわりするのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ステータス」
まだ夜明け前で薄暗い部屋の探索を中断し、現状把握の為にそう呟くと
名前:アリシア・スレイデン
年齢:10歳(+36)(+29)
性別:女の子
ATK:8
DFE:5
TEC:12
INT:38
LUC:3
技能:生活魔法(特殊)
称号:神童 王太子の婚約者
やっぱり出ましたステータス
…というか
「年齢のこれって補正みたくなってるけど享年よね?神さま絶対ケンカ売ってやがるわぁ」
悪態を吐きつつ考えを巡らせる
即リセットするか否か?
答えはすぐに出た
「様子見の続行で」
リセットするだけで難易度が上がるのだ、そんな頻繁にするつもりもないし
するにしても出来るだけ長く情報を集めた方が良いに決まっている
神さまがまた転生させてくれるかもわからない訳だし
「特化型でステータス高いのがまたイラつくわね…」
この世界、魔法に関しては攻防共にINT(賢さ)依存である
そのINTがステータスの中で最も高く、技能と称号持ち
前世のゲームなら“神引き”と言える優秀なステータスなのだ主人公ならば
ひとまずの目標は
「教会へ行って抗議かしらね?」
そう結論付けて、天蓋つきのやたら豪華なベッドへ潜り込むのであった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
数時間後
豪華なだけで寝心地はそんなに良くないベッドから抜け出し、今日の予定を思い返す
私の誕生日である
前々世でも前世でも同じ日に産まれたので
おそらく宿命的なものなのであろう
ちなみに今生の10年間の記憶や知識に関しては寝ているうちに夢のように思い出した。
…どうやっても時間が足りないと思うんだけど、真っ白な修行空間的な何かでどうにかしてくれたんだと思う、たぶんそう
気を取り直して
この世界では子供が10歳になると教会で祈りを捧げ、洗礼を受ける事が出来る
その時に様々な技能を授かり、人々はそれを生かした職業へと人生の進路を選択するのだ
思えばこんなにも神秘的な事が毎年起こっていると言うのにあの生臭坊主(神官)共はよくもまぁあれだけ腐ったもんだ
話が逸れてしまった
娯楽などなく労働力もないし冬になると仕事もそんなに無いこの世界では、ヤるしかないので出生率だけはすこぶる良い
おかげで毎年産まれる子供達は向こう10年減る事は無いと言われている
そう言う事情もあり教会の無い地方の村や集落などは牧師が時間をかけて回り、まとめて洗礼を行うので全ての子供が全員ぴったり10歳で洗礼を受けられるという事は少ない
1年2年遅れるのは良くある話で、なんなら洗礼を受けられない子供も数多く居る
ただ、そんな子は既に自立していたり感覚的に自分の能力を把握していたりと他と比べて有能だから受けていないのであって
一般的には手に職をつけるためにまず受けるのが普通だ
毎年かなりの数になるし、アレコレと金がかかるのは自明の理ではあるのだが意外な事に洗礼自体は無料で行われる
その理由はこの洗礼自体が“聖人”を探し出すための大切な儀式だからだ
『この世界を滅ぼす“厄災”に対抗できるのは“聖人”のみ』
初代聖人が遺した預言の書にはこう記されており、この書は教会という組織が立ち上がるきっかけになった聖典となっている
まぁお察しの通り主人公であるリリィが“聖人”つまり聖女なんだけどね?
“災厄”の方がルートによってバラバラなんだよなぁ
魔王だったり
天変地異だったり
異世界からの侵略者だったり
人類は星を食い荒らす害虫と見做され、星の使徒として厄災を絶滅させるエンドは捻りがあってなかなか好きだった
今は前世の思考から
教会の膿を絞り出したら何も残らなかったから新宗教立ち上げエンドに心惹かれていたりする
また話が逸れてしまった。
とにかくみんな大好き洗礼の儀なのだが
公爵令嬢たる私に至っては教会に足を運ぶどころか向こうから来る
節制とは程遠い金のかかった身体を揺らしながら、揉み手でニコニコと
…そう言えばこの都市の司教さまは聖女候補を良く見つけると前世で聞いた気がする
聖女候補の教育とかなんとかでなにやらやっているとかなんとか
よし、やっぱ滅ぼそう
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