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第1章 目隠し皇女

第18話 お話しましょう②

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「シャノア! どうしてここに……」

「ウフフ、先生のお声が聞きたくなってしまって。図書館で調べ物していると衛兵さんに伺ったのです。お邪魔でしたか?」

「いや、そんなことはないよ。どうぞ座ってくれ」

 シャノアの手を引き、空いていた椅子に座ってもらう。

 今日は授業がお休みの日。
 彼女にとって羽根を伸ばせる休日だというのに、その時間を削ってまで俺に会いに来てくれたらしい。
 まったく可愛い教え子だ。

 彼女は杖を膝の上に置くと、

「本日はなにをお調べになっていらっしゃったのです?」

「えっと……べ、別に大したことじゃないよ。ここ最近の入学試験の傾向をね……」

「まあ! お休みの日まで私のために調べ物をしてくださるなんて、感激です!」

「ア、アハハ……」

 机の上に散らかった本たちをコソコソとシャノアから遠ざける俺氏。
 この子、指先の感触で筆跡をだいたい読み取れるんだよね……。
 もしもバレたら気まずいからさ……。

 ついでに、さっき紅茶を淹れた淹れたばかりのティーカップも遠ざけておこう。
 こっちはぶつかったりしたら純粋に危ないからな。

「先生……私、先生のお話が聞きたいですわ」

「? 俺の話って?」

「先生自身の、クーロ・カラムというお方のことをもっとよく知りたいのです」

 シャノアはぐっと身を乗り出す様にして言う。

「私は、お母様たちから聞いたお話でしか先生を知りません。ですからもっとお話しましょう! 先生のことを教えてくださいな!」

「う、うーん……そう言われてもなぁ……?」

「例えば、先生はどんな食べ物がお好きなのです?」

「魚料理、かな? 油っぽいのはあんまり好きじゃなくて……」

「ご趣味はなにかおありなのですか?」

「いや、特に……強いて言えば昼寝……?」


「それでは……先生は――お母様たちのことをどう思っておいでですか!?」

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