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23.告白
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「そうだったんですね。だから、リックさんが魔法を……」
眩く輝く紅水晶の核《コア》を前に、ディーナさんはゆっくりと頷いてくれた。
ディーナさんの隣では、アイシャがぎゅっと手を握ってちょこんと座っている。
何だかここから見ると親子のようだ。
俺は、持ち帰った魔素結晶を手に核《コア》の前に立つ。
「アイシャ、これ三つで支配範囲はどれくらいに出来る?」
俺の問いに、アイシャは続いた。
「オークから二つ、および氷結蜘蛛一つの魔素結晶があれば……そうね。あの村を丸ごと支配領域に組み込むのに何ら支障はないわ。異形の魔物や敵意のある存在を感知次第、こちらの領域に転送できる。キュウルル村は、あなたの支配区域になるわ」
俺とアイシャの会話を聞いて、ディーナさんはふと微笑んだ。
「そうだったのですね。どんな所にいっても、リックさんはお優しいんですね。安心しました」
ーアルテミスーのダンジョン核に採取した魔素結晶を近付けると、黒と緑で覆われた結晶が、徐々にダンジョンの核と融合を果たす。
台座に置かれたーアルテミスーの核が淡く光り輝き、ドクンと三度脈打ってその大きさを倍にする。
同時にアイシャの身体も少しだけ光り始める。
ゾクゾクッと、アイシャが身体を震わせれば、表情も少しだけ和らいだ気がした。
「来たわ。レベルアップよ」
ディーナさんは、アイシャの変化に目を細めていた。
不安そうにこちらを見るディーナさんに向けて、俺は遂に口を開いた。
「それでさ。ディーナさんに頼みがあるんだ」
「……はい」
ディーナさんは俺の雰囲気を悟ったのか、居住まいを正した。
「知っての通り、俺は冒険者としては無能だった。でも、アイシャと出会えて変わることができた。俺がアイシャに闇魔法をもらえたのは、チャンスだと思ってるんだ。世界中の女の子と仲良くなれる! 田舎に仕送りができる! そんでもって、このダンジョンの力で征服した箇所には、誰にも手出しはさせない。……誰からでも、どんな奴からでも俺が護る。そんな未来を目指して、俺は戦うことにした」
ディーナさんは黙って聞き続けてくれた。
俺は、意を決して彼女に本心を伝える。
「そのために、俺はディーナさんが欲しい。ディーナさんの力があれば世界征服への足がかりはもっとスムーズに行く。一緒にアイシャと、キュウルル村のみんなと、世界中の困っている女の子たちを助けるために。俺に力を貸してほしいんだ、ディーナさん」
「……困っている女の子たちのために、だけですか?」
試すような口振りでぷいっとそっぽを向くディーナさん。
その仕草があまりにも可愛すぎて、俺は後先考えずにディーナさんを抱え込んでいた。
「もう二度と離したくない。ディーナさんの笑顔をずっと横で見ていたい。あなたの笑顔をずっと護りたい。もう二度とあなたの泣くところなんて見たくないんだ。だから、俺についてきてくれ。絶対、世界一幸せにしてみせる!」
ディーナさんは、俺の手を振りほどかなかった。
ぎゅっと背中に手を回してきてくれて、「言ったじゃないですか」と、彼女は俺の耳元で囁いた。
「どこまでも付いていきますよ。リックさんの行くところならば、全て――と」
『ダンジョン ーアルテミスー
ダンジョンレベル:3/100
ダンジョン階層数:2
支配下モンスター:無
マザーコア :アイシャ
ダンジョンボス :リック・クルーガー
一階層フロアボス:ディーナ・マリルーシャ 』
こうして、ディーナ・マリルーシャは俺たちのダンジョンに加わることとなった。
「よろしくお願いしますね、リックさん!」
ちゅっと、唇に触れた彼女の不意打ちをあ俺は生涯忘れることはないだろう――。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
完結!!!!!!!!!
結構急な完結ですが、一区切り付いたのでここはおしまいです。
この物語は後に、推敲を重ねた上で小説家になろうの方に連載していこうと思うので、もし見かけたらよろしくお願いします。
Twitter:Baramonsyo
で作品更新について等は告知していくので、是非ともフォローよろしくお願いします。
眩く輝く紅水晶の核《コア》を前に、ディーナさんはゆっくりと頷いてくれた。
ディーナさんの隣では、アイシャがぎゅっと手を握ってちょこんと座っている。
何だかここから見ると親子のようだ。
俺は、持ち帰った魔素結晶を手に核《コア》の前に立つ。
「アイシャ、これ三つで支配範囲はどれくらいに出来る?」
俺の問いに、アイシャは続いた。
「オークから二つ、および氷結蜘蛛一つの魔素結晶があれば……そうね。あの村を丸ごと支配領域に組み込むのに何ら支障はないわ。異形の魔物や敵意のある存在を感知次第、こちらの領域に転送できる。キュウルル村は、あなたの支配区域になるわ」
俺とアイシャの会話を聞いて、ディーナさんはふと微笑んだ。
「そうだったのですね。どんな所にいっても、リックさんはお優しいんですね。安心しました」
ーアルテミスーのダンジョン核に採取した魔素結晶を近付けると、黒と緑で覆われた結晶が、徐々にダンジョンの核と融合を果たす。
台座に置かれたーアルテミスーの核が淡く光り輝き、ドクンと三度脈打ってその大きさを倍にする。
同時にアイシャの身体も少しだけ光り始める。
ゾクゾクッと、アイシャが身体を震わせれば、表情も少しだけ和らいだ気がした。
「来たわ。レベルアップよ」
ディーナさんは、アイシャの変化に目を細めていた。
不安そうにこちらを見るディーナさんに向けて、俺は遂に口を開いた。
「それでさ。ディーナさんに頼みがあるんだ」
「……はい」
ディーナさんは俺の雰囲気を悟ったのか、居住まいを正した。
「知っての通り、俺は冒険者としては無能だった。でも、アイシャと出会えて変わることができた。俺がアイシャに闇魔法をもらえたのは、チャンスだと思ってるんだ。世界中の女の子と仲良くなれる! 田舎に仕送りができる! そんでもって、このダンジョンの力で征服した箇所には、誰にも手出しはさせない。……誰からでも、どんな奴からでも俺が護る。そんな未来を目指して、俺は戦うことにした」
ディーナさんは黙って聞き続けてくれた。
俺は、意を決して彼女に本心を伝える。
「そのために、俺はディーナさんが欲しい。ディーナさんの力があれば世界征服への足がかりはもっとスムーズに行く。一緒にアイシャと、キュウルル村のみんなと、世界中の困っている女の子たちを助けるために。俺に力を貸してほしいんだ、ディーナさん」
「……困っている女の子たちのために、だけですか?」
試すような口振りでぷいっとそっぽを向くディーナさん。
その仕草があまりにも可愛すぎて、俺は後先考えずにディーナさんを抱え込んでいた。
「もう二度と離したくない。ディーナさんの笑顔をずっと横で見ていたい。あなたの笑顔をずっと護りたい。もう二度とあなたの泣くところなんて見たくないんだ。だから、俺についてきてくれ。絶対、世界一幸せにしてみせる!」
ディーナさんは、俺の手を振りほどかなかった。
ぎゅっと背中に手を回してきてくれて、「言ったじゃないですか」と、彼女は俺の耳元で囁いた。
「どこまでも付いていきますよ。リックさんの行くところならば、全て――と」
『ダンジョン ーアルテミスー
ダンジョンレベル:3/100
ダンジョン階層数:2
支配下モンスター:無
マザーコア :アイシャ
ダンジョンボス :リック・クルーガー
一階層フロアボス:ディーナ・マリルーシャ 』
こうして、ディーナ・マリルーシャは俺たちのダンジョンに加わることとなった。
「よろしくお願いしますね、リックさん!」
ちゅっと、唇に触れた彼女の不意打ちをあ俺は生涯忘れることはないだろう――。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
完結!!!!!!!!!
結構急な完結ですが、一区切り付いたのでここはおしまいです。
この物語は後に、推敲を重ねた上で小説家になろうの方に連載していこうと思うので、もし見かけたらよろしくお願いします。
Twitter:Baramonsyo
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