囚われの白夜〜狼王子は身代わり奴隷に愛を囁く〜

愛の裏返し

4

ライル様の狼耳を見つめていると、しっぽが僕の足に絡みつくように動いて、その柔らかな感触に少しだけ安心感を覚えた。

｢まだ寝足りない。来い｣

ライル様は僕から離れると、僕の手を引いて部屋まで戻る。

そうしてまたベッドへと横たわると、僕を引き寄せて胸の中へと閉じ込めた。

｢目が覚めたらお前の姿が見えなかったから、お前の存在が幻だったのかもしれないと焦った｣

｢……申し訳ありません｣

｢……責任を取って、しばらくこうされていろ｣

そう言ってライル様は僕を抱きしめたまま目を閉じる。

彼の狼耳は消えていて、そのことに何故か少しだけ寂しさを覚えた。

ライル様の心臓の音が聴こえてきて、その音を聴きながら僕も目を閉じる。

眠たくなんてなかったはずなのに、この音を聴いていると少しずつまた眠気が襲ってきて、僕は安心感のあるその音と温もりに包まれながら眠りにつく。

彼のことをこんなに独占してもいいんだろうか……。

そんな疑問が浮かんでくるのに、彼を独占できることに分不相応にも喜びを感じてしまっている。

僕なんかにこんなこと許されないって分かってるんだ。

それでも、今だけは……。

｢……ライル様｣

彼の名を呟くと、それに返事を返すように彼が僕のことをさらにきつく抱きしめてくれた。

その事に嬉しいと感じてしまう。

なんなんだろ、この感情は……。

（……考えるのは起きてからにしよう）

今はこの心地良さに浸っていたいから。