マニーフェイク・フレンズ

なにこれ

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仕事帰りに家に絆創膏が無いのに気づいてドラッグストアへと向かった。

目当ての絆創膏を探してぐるぐると店内を歩き回っていると香水がガラスケースの中に陳列してあるのが見えて何となくふらふらとそっちへと足を伸ばす。

匂いといえば月見さんって凄くいい匂いだよなって思いながら近い匂いが無いかをテスターで探してみた。

「…あ、これ近いかも」

テスターに貼られたラベルと陳列してある香水の名前を見比べて目当てのものを見つける。
並べてある物の中でもかなり高めの値段のそれはこういうのに無頓着な俺でも知っている有名なメーカーのものだった。

買うか迷う。

買うことは簡単だし、これを買ったら愛用する自信がある。でも、何故か戸惑ってしまうのは俺たちの関係が曖昧でこの気持ちがなんなのかよく分からないからだ。

辞めておくか…。

伸ばした手を何度も上げ下げしては自分に問いかけて、優柔不断な俺は決められない。

とりあえず絆創膏を探すことにして問題は後回しにする。

あれだけ探していた絆創膏は1分足らずで見つかってなんの時間稼ぎにもならないのにどの絆創膏にするか悩むふりをして無駄に絆創膏の前に立ち往生してみる。

「…なにやってんだろ…」

結局耐えきれなくなって香水の所に戻った俺は思い切って店員さんを呼ぶためのボタンに指を伸ばした。