マニーフェイク・フレンズ

天宮叶

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デート?

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「綺麗に撮れた?」

怒った様子もなく穏やかな微笑みを浮かべてスマホの画面を覗き込んできた月見さんが俺が撮った写真を確認する。

「案外上手に撮れてるね」

写真から俺の方に視線を移した彼がにこって笑って褒めてくれて、その予想外の反応に戸惑う。

撮るなって怒られると思っていたからなんて答えていいか分からなくてなんとも言えない表情になってしまう。

そんな俺の耳元に月見さんが口元を寄せてきて、彼の白い頬が俺の頬に微かにくっつく感触と彼のいい匂いに俺は思わずたじろいだ。

「俺のモデル料は高いよ」

ボソッて呟かれた言葉にゾワッてなぜか悪寒が走って月見さんから離れるために後ろに下がると、そんな俺の反応を見て月見さんが楽しそうに笑った。

「か、からかわないでくださいよ」

「盗撮する方が悪いよ」

妖艶な笑みを浮かべて、ちゃんとモデル料は払ってもらうからって言う月見さんがあまりにも色気たっぷり過ぎて危険を感じてまたゾワリとした。

今すぐ写真消したら無かったことにしてくれないか提案しようと一瞬考えたけれど確認した写真があまりにもよく撮れていて消すのが忍びなくなって言うのを辞めた。

「ふふ、ほら行こう」

ご機嫌に微笑みながら月見さんが俺に手を差し出してきて思わずその手を掴むとそのまま手を引かれて月見さんが歩き出した。

手を繋いで順路を進んでいく俺達を周りにいたお客さんたちがチラチラと見てくるのなんかお構い無しに月見さんは花の感想を言いながら堂々と歩く。

そんな月見さんにされるがままの俺もどうかと思うけど、この人に反論したところで倍返しに合うのは経験上分かっているから口を噤んだまま引っ張られる形で彼の後ろをついて行った。

正直、花を愛でる余裕なんて俺にはなくて、ひんやりした月見さんの白い手をひたすら見つめてドキドキする心臓を抑えるのに精一杯だった。
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