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しおりを挟む孕み腹が撤廃されれば、いつでもルトを故郷の地、ヌプンタに戻せるように整えておく。もしも、すべてを忘れたいと、ルトが帰郷を望むのなら。
皇帝の手付きにされた孕み腹へ、直々に褒章が授けられれば、孕み腹の扱いは格段に良くなる。ツエルディング後宮は無下に扱うところではない。皇帝が心を寄せ、かつ召し抱えるものが住む、帝王の後宮のひとつだと知らしめられる。
ひとまず格式を上げ、一般の獣人が気安く触れられないよう抑制するのだ。
だがグレンの言い分に反発したのが司法官長だった。グレンの隣に進み出て、陛下、と発言の意を示して反論を説いた。
「それは浅慮というものです。陛下より褒章を授ける、すなわち我ら獣人と、孕み腹が、対等であると認めるも等しい。獣人と人間は対等ではないのだ。人間は、獣人の隷属者として扱わねばなりませぬ。奴隷には授けられない」
獣人と同じように労をねぎらえば、人間は立場を忘れ、愚かな侵略を繰り返すかもしれない。それでは本末転倒だ。やはり身の程を思い知らせなければ。
あくまでも人間を物としてみる言い分にグレンの眉根が寄る。隙を与える暇もなく対抗した。
「まさしく。人間と獣人は対等にあらず、ゆえの褒章でございますれば。王宮の定めによれば、一度でも伽を務めたものには側妃の位が授けられる。件の孕み腹は、すでに幾度も伽を務めておりましょう。なれど妃にならず。その身は奴隷であるからです。奴隷には、むろん側妃の位は授けられない。だが褒章であれば、我ら獣人と、同等にならないのでは?」
しきたりを逆手にとったグレンに、司法官長が口元をへの字に曲げる。拝礼を崩さないまま口を閉ざし、進み出た身を後退した。しかし入れ替わりに、尚書令長が横やりを入れる。
狐の尾をなびかせて中央に進み、攻防を繰り広げるグレンの隣に移動して、拝礼した。
「申し上げます。グレン殿の論は理にかなう。仮に、褒章が議決したとしましょう。孕み腹の身分は正式に認められ、奴隷の格式はあがるやも知れませぬ。なれど、孕み腹は子孫繁栄の役目もある。孕み腹が気軽に使えぬとなれば、我ら獣人の繁栄はどうなさるおつもりか?」
今度はグレンが唇を結んだ。それはグレンが、唯一活路を見いだせなかった難題だった。うまく切り抜ける策を考えてみても、孕み腹以上に出生を促せるものがなかったのだ。
何せ人間は核種胎さえ実れば必ず子を宿す。反対に獣人は、強い力が拮抗して子はできにくい。それは変えられない事実だ。
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