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夏休み その2

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夏休みと言えば大量の課題。

と言ってもこっそり進めていたし、最終日まで残すのはあまり好きではないから今日から本格的に進めるとするか。


お母さんからの電話の後2、3日した頃本当に2人分の新幹線と電車の切符が入って送られて手紙も添えられていた。


『友達連れておいでお母さん待ってるよ。せっかくだから遊べる物とかも用意しておくね』


遊べる物?お母さんの事だから何か嫌な予感がするのもあるけどお母さんの謎行動が多すぎて想像を超えることをしてくるのも私のお母さんだ。


要注意……だよね……


 そういえば、夏休みに入ってから2週間賀川さんの動きがない。その分課題に集中出来て残り3分の1くらいまで終わっている。


静かでいいけどね。今までが賑やかすぎた。

私が入学して2ヶ月というのに賀川真白という人物と出会ってしまったが故に常に横には彼女がいるという学生生活を迎えることとなった。


あ……まずい、彼女の噂をしてしまうと……


ティロリン♪ティロリン♪


電話がなった……

しかも、タイミングを測ったかのように賀川さんからだ。


「よぉさやか殿よ!元気にしておったか!早速本題なのだが明日買い出しに行こうと思ってな、一緒に行かないか……いやこれは我からの司令だ!一緒に来い!時間は明日の11時に駅南口だ。では!」


「え……ちょっ」


ツーツー


電話が切れてしまった。

行かないという選択肢は一応あるものの行かなかった場合ずっと待たせてしまうのも可哀想すぎるし、彼女の場合鬼電が来るのも想像出来る。


行くしかないか……。


昨日の電話から1夜が明けた。

今日は賀川さんとの買い出しの日。

カーテンを開けると雲ひとつない青空が広がっていた。

雨天とはかけ離れた天気だろう。


しかし、現実は違った。

雲ひとつない空は一気に灰色と化し集合した時には湿った空気が強い風と共に体で感じれるようになっていた。


駅から出る人たちもあまりにも黒い空を見て外れた天気予報に文句を口にしている者もいた。


隣にいた彼女も文句は言ってなかったものの朝の空からは考えられないほど黒く濁った空を見て言葉を失っていた。


「なぁ、さやか殿……これ、雨降るよな……」


「そうね、雨が降ってきてしまう前にショッピングモールに入った方がいいかもしれないね」


「さやか殿は傘は持ってきてたのか?」


「さすがにこうなるとは想像できなかったけど一応折りたたみ傘は持ち運んでいるの」


幸いにも夏ということもあって日焼けはしたくないからと常にカバンに入れていた日傘があったから何かあれば何とかはなりそうだけど、いかにも大雨を運んでいるように見える黒く濁った雲には少しばかり不安を感じていた。

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