前世は魔王の私、今度こそ愛する人を護ります

魔王と勇者の一年後

魔王との約束から一年が過ぎ、一年前に魔王に戦いを挑み負けたものの魔王からの再度の挑戦を挑む勇者が、魔王と始めて戦いを挑んだ場所に来ていた
既に魔王は先に待ち、一本の木に体を寄せて腕を組みながら勇者が来るのを待っていた。
「私との約束を覚えていたようだな勇者よ」
魔王は勇者の顔を見てニヤッと笑みを浮かべ勇者に言った
「…お前との戦いを忘れる筈はない、一年前の今日魔王のお前に負けた悔しさを忘れる訳がない……今日こそ勝たせて貰うぞ」
勇者は魔王に自分の思いをぶつけると、腰にある剣を鞘から抜き魔王に剣先を向けた
「フッ…そう慌てるな、焦り出すとまた私に負けてしまうぞ」
勇者は魔王がまだ剣を持たない内に攻撃をし始めた
魔王は勇者の剣の攻撃を軽々と交わし、勇者は剣を持たずに自分の攻撃を交わしていく魔王に焦りを感じていた
魔王は勇者に余裕がない事を確認した時、一気に突撃を仕掛けてきた勇者のお腹を蹴りだした
「ドゴッ！」
「がは……っ！」
カラン…と勇者の手から剣が離れ、勇者は座り込み苦しい顔をしながら魔王を睨み返していた
「そう睨むなよ、余りにも余裕のないお前に勝っを入れてやっただけだが？」
魔王は膝を付きお腹を手で押さえ、まだ苦しがっている勇者に話しをした
「……っ、くそっ……」
勇者はくやし言葉を出し、魔王に負けてしまった悔しさが離れられないでいた…
一年ぶりに再開した勇者に焦りを感じている様に見え魔王は勇者の側に近寄り膝を付き目の前にいる自分を倒そうとしている人間をじっとみつめて聞いてきた
「この一年間で何か合ったのか？良かったら話してみろ」
「…フッ、魔族のお前に悩み事の相談をする勇者は俺が始めてだろうな……ハハハ」
「私は人間の勇者の悩み事を聞ける事が嬉しいが」
クスッと魔王は笑い勇者は、そんな魔王に驚きの顔が隠せないでいた
「……魔王なのに変わっているな」
「そうか？私は普通と思うが」
「はあ？」
魔王と勇者の何気ない会話の中で勇者が話し出した
「俺は魔王お前を倒さなければ、勇者を辞めてしまわなければならなくなった…」
「何故だ？」
「俺はこの国の王子で隣国の姫と結婚する事になるんだ」
魔王は勇者が王子と聞き驚きはしたがこの勇者の容姿を見て何処か気品があるとは感じていた
「俺は結婚は考えてもいない、本当は勇者として冒険がしたかった……だが隣国の姫が俺を見て早く結婚がしたいと言い始めた」
「結婚が嫌なら断れば良いだろう？」
「そうもいかないんだ、隣国の王と俺の父王は昔からの付き合いが長く、俺が産まれた時から許嫁が決まっていたらしい…」
勇者は多きくため息をはき話し出した
「俺はお前に魔王に勝てる気がしないよ……」
勇者は魔王に向かい困った顔をしていた
「……結婚が嫌なら私の所へ来るか」
「……！？」
勇者が驚きの顔を見せた時魔王と勇者の回りを取り囲む無数の魔物の気配がした
「取り囲まれた！？」
段々と魔物達の姿が現れた……
「……お前達何のつもりだ」
魔王が怒りのオーラが魔物達を脅えさせていた時、一人の魔族が話し掛けた
「流石は魔王様、圧力で魔物達を大人しく差せるとは…フフフ」
「……ジオルド」

魔物達の中心に現れたのは側近のジオルドであった