兄たちが弟を可愛がりすぎです

王様の出迎え④

「王様お戻りになったのですか？」
「私が部屋を出た時からいたのか？」
「廊下を歩きますお姿が見えましたので、お出掛けになるのかと思っておりました」
「そうだったのか、私がいない間待っていたのか？」
「少しの間だけです…」
「そうか」
笑顔で会話をする王様と側室のロラ嬢を俺とジル王子が見ていると俺達に気付いたロラ嬢が笑顔を見せていた。
「ジル様、ご挨拶申し上げます」
「…ああ」
ドレスの両端を持ち上げて挨拶をするロラ嬢に相変わらずの笑顔が無い挨拶をジル王子は向けていた。
（王様の奥さんなんだけど、ジル王子無表情で良いのか？シェル王子だとニコニコと笑顔を向けるだろうけど…カイザック王子は白い歯を見せて笑顔を見せるだろうな、さすがに大笑いはしないだろうしフィン王子は…想像つかないんだけど…）
「…ウィル王子もご一緒だったのですね」
「あ…お、お早う御座います」
俺はジル王子に抱っこされた状態でロラ嬢に挨拶をした。
「……」
ジッと俺を見るロラ嬢に笑顔は無く（変な事でも言ったのか？）と気まずい感じだった。
俺の方を見た後、直ぐにジル王子の方へ顔を向けていた。
「ウィル王子のお迎えですか？」
「ああ…」
「…ジル様がお迎えなさらなくても、騎士の方々にお任せ致しました方が宜しかったのでは…？」
「私が迎えに行きたいと思ったものだ」
「そうですか…」
ジル王子の話しを聞いたロラ嬢はまた俺の方を見ていた。
（さっきの話を聞いて思ったんだけど…ウィル『俺』を良く思っていないような…『貴方邪魔よ！』って目で見られているような気がするのは気のせいか？…）
「父上と話しがあるのでしたら私達は失礼する」
「あっ…あの、ジル様」
「何か？」
「…あ……いぇ…」
手を伸ばしていたロラ嬢はジル王子を呼び止めたけど何も言えずにいた。
「ジル王子、その様に冷たくすれば何も言えなくなるだろう女性には優しく接するようにと話したではないか、それにロラ嬢はお前達王子の姉でもあるのだ。」
「……」
「…姉……」
ロラ嬢が小さな声で『姉』と聞こえたようで喜ぶ顔をしている様には見えなかった。
「…はぁ…私とウィルは先に部屋へ行く、父上は今日どうするのか後で知らせてくれ」
俺とジル王子は先に王様の部屋に入る事になり王様とロラ嬢が廊下に残された。
「すまない、ロラ嬢…気を悪くしたのではないのか？」
「…いぇ」
「優しい所はあるのだ…ただ、言葉にする事が少し苦手な所があるだけなのだ」
「……」
王様とロラ嬢を残して俺とジル王子は王様の部屋で待つ事になった。