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夜更けと夜明け

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シェル王子の部屋に行き中に入れて貰えず、メイドと二人自室に戻るヤスミン嬢は「はぁ」と小さなため息を吐いていた。
(シェル王子と今夜ワインを飲み一緒に夜を過ごせたらと思っていましたのに…わたくしを部屋の中に通さないなんて…シェル王子は何人者令嬢達とお会いしていたと聞いたのに、夜は女性を部屋に誘わないなんて…誰か慕う女性がいると言うの?わたくしの姿を見ましても興味が無いと言われた顔をして…)
ヤスミン嬢は自分の身体を触り側にいるメイドに声をかけた。
「ねえ、聞いても良いかしら?」
「え!?あ、はい、私にお答えできましたら…」
「シェル王子はどなたか慕う方がいるのかしら?」
「シェル様がお慕いしています方ですか?」
「今まで貴族の令嬢達を部屋に通わせた事はあるのかしら?」
「…私達メイドは王子様方の事は知らない事が多いのです…王子様付きのメイドと護衛騎士の方でしたら分かると思うのですが…」
「そう…」
(シェル王子のメイド付きに聞く事は出来ないわ…護衛騎士は廊下でわたくしを部屋に通します事を拒みました騎士二人と他に居ましたわね…それにしましても、今夜のシェル王子の姿はなんて怪しくて美しいのかしら…その姿で側に居る事が出来ましたら…
シェル王子が慕う者が恨めしいわ…)
ゾクッ!?
と、身震いをして目が覚めた俺は、いつの間にか見馴れたウィルの部屋で寝ていた。
「あれ?いつの間に部屋に戻って来たんだ?」
俺はベッドの側にある棚の上を見てお茶の葉が入っている缶が置いてあるのを見た後、カーテンを締めた隙間から太陽の光が薄く見え、朝に成っていたのにはさすがに驚いていた。
「昨日の夜はシェル王子の部屋にいて、一緒にお茶を飲んで廊下が騒がしいからとシェル王子が様子を見て待ちくたびれて寝た所は覚えて…まさか、そのままずーと寝ていたのか?!じゃあ、俺を部屋まで送ったのはシェル王子なのか?…でも、シェル王子の部屋で寝ていないのが意外だったかな…結局ジル王子の事は話していないけどな…」
俺はボーっとベッドの上から天井を見てそのまま目を閉じた。
ウィル王子が寝た頃、巡回で外回りから帰って来たニック騎士に同じ巡回仲間のリンクが声をかけていた。
「おーい、ニックお疲れ!」
「ああっ、お疲れリンク」
「今からウィル王子の部屋に行くのか?!」
「ああっ」
「毎日感心だよな~王子の部屋に行き巡回の報告するなんてさ、外見に似合わず案外真面目なんだなお前って」
「褒め言葉には聞こえないんだが…」
「ハハハ、話しは代わるけどさもうすぐ巡回の任務が終わるんだよなニックは…」
「ああ、世話に成ったな」
「まだ巡回任務終わっていないぞ!」
「はは、そうだな」
城内の廊下を歩くニック騎士とリンク騎士は、朝日が見える窓を見て会話が弾んでいた。
「…なあ、ニック…お前、巡回の仕事このまま続けないか?」
「…突然どうしたんだ?リンク」
「いや…数日一緒に仕事してニックは巡回に向いているんだと思ったんだ…暴れ馬の奴を押さえ、娼婦の誘いも無視するし、フィン王子の観察とかさ巡回の皆とも打ち解けているからさ…ウィル王子の護衛を辞めて巡回騎士に成って…」
「リンク!」
「あ…」
ニック騎士は話を続けるリンク騎士を止め、ビクッと身体が動いたリンク騎士は、言ってはいけない事をニック騎士に話しをした為顔を逸らしていた。
「…ご、ごめんニック…俺…」
「巡回任務はやりがいのある仕事だと思う…だが、俺はウィル王子の護衛騎士として死ぬまであの方に仕えたいと思っている」
ニック騎士の真っ直ぐな目を見たリンク騎士は暫く何も言えずにいた。
「…そ、そうだよなニックは巡回より護衛騎士が似合うな、ごめん気を悪くしたよな…」
「…いや、俺も巡回の任務から離れるのは寂しいと考えていた事もあった」
「ハハ、護衛が嫌に成ったらいつでも来て良いぞ」
「それは無いな」
「あ、ひでえ」
「はははは」
いつもの会話が出来なくなるのが寂しいと思ったリンク騎士は(巡回が終わってもいつものようにニックに会いに行けば良い)と隣で笑うニック騎士に笑顔を向けた。








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