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久しぶりの入浴時間④

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「ふふっ、くすぐったいです」
「あ!も、申し訳御座いません…」
シェル王子の身体をメイド三人が洗い、身体を拭くメイド達は真っ赤な顔で笑顔を見せ、シェル王子はクスクスと笑みを見せ楽しむ姿があった。
「…シェル様、メイド達の様子を見て楽しんでいるのではありませんか?」
「えっ、そう見えますか?メイド長」
「……」
濡れた髪で束ねていない今のシェル王子は妖しく見え、メイド達は惜しむように、何度も拭くシェル王子の身体から離れないのを見たメイド長は「はあ…」と息を吐いていた。
「貴女達いつまで身体を拭いているのですか!シェル様のお身体が冷えてしまいますよ。まだ仕事が残っているのですよ!!」
「「「は、はい!」」」
メイド達は慌て出しその様子を見たシェル王子は笑いバサッと後ろからガウンが被さった。
「シェル様、彼女達はまだ未婚の身です。長くお身体を触れないようにしてください」
「ふふっ、気を付けます」
「はぁ…髪の毛を整えますので先にタオルで拭きあげてください」
「分かりました」
シェル王子はガウンを着て、腰に紐を結ぶと濡れた長い髪の毛をタオルで拭きながら歩き、側にはエリック騎士が寄っていた。
「シェル様…お身体をメイドに触れさせますのは…」
「私の身体を洗っただけですよ、それにメイド長も一緒だからでしょうか楽しみました。暫く一人で入浴していましたから側に誰かがいます事が、こんなに楽しい時間だとは思いませんでした」
「……」
クスクスと思い出し笑いをするシェル王子をエリック騎士は黙って見ていた。
「…それではまた、以前のようにメイド達に入浴を任せますか?」
「そうですね、初めての頃は彼女達も緊張して入浴の手伝いをしていましたが会話も殆んどありませんでしたし、身仕度も遅い所もありましたから私一人でも良いと思い今まで断っていましたけど、今日の彼女達の反応が可愛いくてつい悪戯をしてしまいました…ふふっ、また彼女達に入浴をお任せしましょう」
「…分かりましたシェル様、ロベールさん達にその様にお伝え致します」
「お願いしますエリック」
上機嫌のシェル王子は、エリック騎士と一緒に入浴室から出ると部屋の中にはメイドのマリアが居る事に驚き目を見開いていた。
「……」
「……」
「……」
シェル王子にしては珍しく声が出ず、いつもの笑顔を見せる事が出来ず血の気が引くのを感じ取っていた。
エリック騎士もまさかウィル王子付きのメイドが部屋の中に居るとは知らなかった。
ポタポタとシェル王子の長い髪の毛の毛先から雫が床に落ち、ソファーに座っていたメイドのマリアが立ち、シェル王子に頭を下げた。
「シェル様、勝手に部屋に入りまして申し訳御座いません、両手が塞がっていましたので、護衛騎士の方がお部屋を通して下さいました」
「…そ、そうですか…廊下で待たせます訳にはいきませんから…」
いつもは軽く笑顔を見せていたシェル王子だが、笑顔を向けたくても上手く出来ず、苦笑いのような顔でメイドのマリアに向けていた。
「……」
「……」
(マリアが部屋に居るとは思いませんでした…入浴中の会話が聞こえたのでしょうか?!別に何もありませんし…後ろめたい事など…わ、私が何故こんなに焦ってしまうのですか?……ウ…ウィル!……ウィルは何処ですか?)
キョロキョロと急に慌て出すシェル王子に、エリック騎士は初めて見たシェル王子の焦る姿に驚き、メイドのマリアはそんなシェル王子をジー…と見ていた。







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