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側室を連れての試験③

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ウィル王子の短期間の護衛騎士二名が決まった。
「これで剣技試験を終わる。呼ばれた二名は残るように…
ケヴィン・マルティネス、ジェロム・キーズお前達は残るように以上各自、城へ向かうように」
カイザック王子の試験試合終了を聞き、集まった騎士達は肩を落とし帰る者もいた。
「はあ~っ、試験合格出来なかったな…まさか剣試験があるなんて思わなかった。誰だよ質問答えて合格なるなんて言った奴は」
「ハハハ、そうだった。でもさ、今回は数日だろう?本場の専属じゃないんだしさ、落ち込む事無いじゃん?」
「それもそうだな、今夜は飲もうぜ!」
「おう」
「それにしても驚いたよな~っ、団長の隣に女性が一緒にいたからさ団長の彼女かと思った」
「ああ、俺も驚いたけどさ結婚してるって聞いた時はちょっとガッカリしたな…」
「なんだ?お前タイプだったのか?」
「そんなんじゃないけどさ~」
ガヤガヤと声を出して歩く騎士達は城へと向かっていた。
闘技場内では、シェル王子とカイザック王子にヤスミン嬢が残り今日決まった護衛騎士二人が、シェル王子の前に立っていた。
「ケヴィン護衛騎士、ジェロム護衛騎士、数日間ではありますがウィル王子の護衛をお願いします」
「「は!分かりましたシェル騎士団長」」
護衛騎士二人にシェル王子は笑顔を見せていた。
「明日ウィル王子に挨拶をお願いします。今夜は明日に備え休んで下さい」
「分かりましたシェル騎士団長」
「わたくし達はこれで失礼致します。シェル騎士団長、カイザック副団長」
「おう、明日から頼んだぞ」
騎士二人は、王子達に挨拶を終え闘技場を後にした。
「ウィルの護衛も決まったし俺達も帰るとするか」
「そうですね、ヤスミン様お待たせ致しました。」
シェル王子が、長椅子に座るヤスミン嬢の側へ行くと頬を染め笑顔を向けるヤスミン嬢は、シェル王子に手を差し伸べ声をかけた。
「貴方の剣技素晴らしかったですわ」
「……有り難う御座います…」
「シェル王子、わたくしの手を取ってくださらない?素晴らしい試合を観まして立ち上がる事が出来ないのです」
「……」
笑顔を見せ手を差し出すヤスミン嬢にシェル王子は手を掴み、ヤスミン嬢の身体を支えた。
「有り難う御座いますシェル王子」
「いえ、城へ戻りましょうヤスミン様…」
「ええっ」
お互い手を放し笑顔をシェル王子に見上げるヤスミン嬢に笑顔で返すシェル王子は一緒に歩く事になり、その様子を後ろから見ていたカイザック王子は、じっと見た後ガシガシと頭を触り「はあ…」と息を吐いていた。
「退屈ではありませんでしたか?」
「いいえ、来て良かったですわ。シェル王子の指導を観ることが出来ましたもの」
「私は剣を交わすだけでしたので…」
「それでも凄いわ。初めて観ましたわたくしでも見惚れてしまう程でしたもの」
「…有り難う御座います…」
「ふふふ、シェル王子騎士試験でお疲れではありませんか?数十人の騎士を相手していましたもの」
「お気遣い有り難う御座います…カイザック副団長がおりましたので疲れなどありません」
「まぁ、頼もしいのね…また、試合がありましたらわたくしを呼んで下さいませんか?」
「えっ!?…ヤスミン様、申し訳御座いません。お約束は出来ません…」
「あらっ残念だわ」
「……」
笑顔を見せるヤスミン嬢はシェル王子の隣に居る事が嬉しく、王様の側室であるのを忘れる程だった。
城に戻ったシェル王子達は、ウィル王子の部屋に続く廊下を見てシェル王子は歩く足を止めた。
「ヤスミン様」
「え、は、はい…」
「私とカイザック王子は用がありますので此処で失礼致します」
「えっ?!」
シェル王子はヤスミン嬢に笑顔を見せ、カイザック王子の腕に手をやり「行きますよ」「あ?…ああっ…」と声を掛け別の廊下を歩き出した二人の王子にヤスミン嬢は慌てたように声を出した。
「あ、あの、シェル王子…用事が終わりましたら此処で待っていても… 」
「もうすぐ夕食ですので、ヤスミン様が食事部屋に居ない事を知りますと父上が心配しますので、私とカイザック王子は遅れて参ります」
「…分かりました…先に食事部屋へ行きます……」
「はい、今日は有り難う御座いました。」
「…わたくしも楽しかったわ」
「それは良かったです。」
シェル王子は軽く頭を下げるとカイザック王子と一緒に歩き、その後ろ姿をヤスミン嬢は見続けていた。
シェル王子と歩くカイザック王子がチラッと後ろを向きシェル王子に声をかけた。
「……まだいるぞヤスミン嬢…」
「はぁ…言わなくていいですカイ…」
シェル王子はため息を吐きカイザック王子は苦笑いを見せていた







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