兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ

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騎士学校への訪問者⑨

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カッ…と騎士学校の門で歩く足を止めた一人の騎士が門と学校の建物を見渡していた。
「……久しぶりに来たな。学校を卒業して以来足が遠退いてしまった。さて…ウィル様は今何処に居るのだろう…医師様が一緒だと聞き、まずは医務室からか……」
白い騎士服を着る騎士は、シェル王子の護衛騎士の一人エリック騎士がシェル王子の使いでウィル王子の様子を見て欲しいと言われ、数年前に卒業した騎士学校に来ていた。
コッコッと騎士学校の廊下を歩くエリック騎士は周りを見渡し教室が並ぶ廊下へと歩いていた。
(今は授業中で良かった…授業がある時間は廊下は静かで先生に会わないのものだな…将来城の騎士として上がるのが目的だった私は、護衛騎士に昇格した時は仲間と一緒に喜び合い、シェル様の専属試験を仲間と一緒に受けた…だが受かったのは私一人だった。その後、仲間達とは話す事が無くなり…私と距離を置くようになっていった……仲間達とは上司と部下の関係になり私達は離ればなれに成ってしまった。
それでも私は後悔はしてはいない…シェル様の御側に仕える事に……)
カンカンカンカン…木刀の打っ音が聞こえ、エリック騎士は教室に続く廊下を抜け運動場が見える渡り廊下が見えてきた。
(木刀の打っ音?!運動場で上級生の打ち込み練習だろうか、懐かしいな…木刀の稽古に運動場を何周も走らせる先生がいたな…木刀の打ち込みが下手だと何度も言われ運動場を何周も走らされた苦い思い出がある…)
カッと、渡り廊下に足を踏み出したエリック騎士は久しぶりに見た運動場と何十人もいる生徒達が列を並び、木刀の素振りに打ち込みとそして「ハアハア…きつ~~」と声を出して走る生徒の姿を歩く足を止め懐かしさの余り見いってしまった。
「おい、誰が素振りを止めろと言った!おい、そこっ相手の攻撃を良く見て流れるように交わせ!誰が走るのを止めろと言った?歩くな走れ!」
生徒に声を高々上げて指示をする先生を見ていたエリック騎士は「くっ…」と思わず小さく笑っていた。
城内では笑顔を見せない騎士として名が知れ、笑顔を見た者はごく一部の者だと聞いている。
(あの先生まだこの騎士学校に居たんだ……剣稽古の授業がある度に怒られたな…)
エリック騎士は生徒だった頃を思い出していた頃、生徒の数名がエリック騎士が渡り廊下にいる姿に気付き固まっていた。
「……お、おい、今度は白い騎士服を着た人が来ているぞ」
「えっ、ホントだ…真っ白の騎士服初めて見た……良いな~格好良いな~僕も着てみたいよ」
「何々?すっげ白い騎士服じゃん、あれを着る人って王様の騎士なんだって」
「王様の騎士?!あの人王様の騎士なのか!?」
ワイワイ、ガヤガヤと騒ぎだした生徒にリアム先生が気付き注意を出していた。
「こら~っ!何を騒いで居るんだ!?元の位置に戻れ!」
「先生、先生、また騎士の人が見に来ているよ」
「は?!……っ、今度は誰なんだ?今日は騎士が来る話しなど無かったぞ…」
(ウィル王子から、レオンに何故かメイドも一緒に連れその後はあのジル王子に金魚のフンのように後ろを行くブラン、そして今この学校にまた騎士が来ていると…今度は誰だ?カイザック王子か?アイツは卒業までうるさい生徒で何がそんなに可笑しいのか…本当に王子なのか疑ってしまうほど騒がしい王子だったな…まさか本当にカイザック王子なのか?……いや、待て一番会いたくない王子が一人いた……裏の裏まで隙の無いシェル王子が…白い騎士服と生徒が騒いで居たな…シェル王子は常に白に拘る王子だった……まさか今居るのはシェル王子なのか!?)
「先生?リアム先生どうしたんですか?騎士の人行ってしまいましたよ」
「何!?」
バッ!と渡り廊下を見るリアム先生はさっきまでいた騎士にホッと息を吐き、生徒に尋ねていた。
「ふぅ…ところでさっきの白の騎士服を来た騎士だが、髪は金色だったか?」
「え?違うよ先生、茶色の濃い色だったかな?」
「茶色?…もしかして赤い髪色か?」
「ははっ、先生赤でも金の髪の毛でもなくて茶色が濃い髪の毛をした騎士だった」
「??……誰だ?」
リアム先生はブラン騎士が通るまで心の中はモヤモヤで授業に集中出来ずにいた。












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