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騎士学校への訪問者⑥

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コッ…と黒い靴と黒いマントを靡かせ医務室に入って来たのはウィルの兄ちゃんの一人ジル王子が護衛騎士のブラン騎士と一緒に医務室へ入って来た……
「……」
「……」
「……」
医務室の中にいた俺達は意外な人の訪問で医務室のアンドレ先生は勿論、男子生徒のメルシエまでも驚いた顔と声が出ない様子で一番驚いたのは俺だった。
「……ジ、ジル様先に先生にご挨拶を……」
「ああっ、そうだな……」
ジル王子はブラン騎士からコソッと声を掛けられアンドレ先生に挨拶をするようにと言われ、扉の側にいたアンドレ先生はジル王子が突然入って来た為驚いて何故か俺とメルシエの側に寄っていた。
コッコッと俺達の側に来たジル王子がアンドレ先生の方を見て頭を下げ、それを見た先生は「えっ?えっ?何故?」と俺の方へ顔を向け(いや…俺の方を向いても何も出来ません……)心の中で呟いた俺はジル王子が先生に頭を下げるとは思わなかった。
城で居るときは堂々と前を向いて歩けと言われて居たからな、学校と城では違うんだろう…ブルブルブルと俺の前に座っているメルシエが真っ青な顔で身体が震えて俺は驚いた。
「……ど、どうしてジル王子が学校に……?!」
小さな声でボソッと呟いたメルシエを見て学校の中でもジル王子の事を知って居たんだと思った。
騎士学校だから皆知って居るのかな……俺はコソッとメルシエに声を掛けた。
「学校では皆知って居るのですか?」
「……去年、お城の見学に皆と行った時に道端で会った事があったんだ……」
お城の見学?職場体験みたいなやつなのか!?
今はメルシエは話せそうに無いから後で聞きたいけどな……
「医務室の先生ですか?!」
「は、はい!」
アンドレ先生もジル王子から聞かれ慌てたように先生も頭を下げていた。
「も、申し遅れました。わたくしは医務室の医師をしていますアンドレと申しますジル王子……」
「私の事を知っていたのですか?!」
「はい、ジル王子……あの、医務室へお越しになるとは思っておりませんでした…ベルナール先生に御用でも?」
「……ベルナール先生……ああっ、医師の名前だったな城では名前を呼ぶ者が居ない為、皆「医師」と呼んで居るからな」
(確かに俺も医師じぃさんの名前は此処に来て初めて知ったからな…それならジル王子は医師じぃさんを尋ねて来たのか?そう言えばジル王子も今病人だったよな……普通にしているから分かんないもんな…)
俺は震えは止まったメルシエの方を見てまだ顔が真っ青だから、俺の前に座っているメルシエの手にそっと手を重ねた。
「僕達には用が無いから大丈夫だよメルシエ先輩…」
「……先輩?!」
「うん、僕より上だから先輩だよ」
ニコッと俺は笑顔を見せジル王子は医師じぃさんを尋ねて来たから大丈夫と言ってあげた。去年城でジル王子と会って何があったのか分かんないが……多分睨まれたとか?俺も初めて会った時は睨まれて指摘されたからな……その後は……ボッ!と思い出したように顔が熱く成った。
「ウィル?顔が真っ赤だよ?」
「えっ?!あははは大丈夫です……」
コッコッと靴の音が俺が座っているベッドの近くで止まりギシッ…と俺の隣で座るジル王子に目の前が真っ暗に成った。
「……熱は無いようだが…」
俺の額にジル王子の額が当たり俺は目の前がグルグルと回り、顔が近いジル王子の目が、フッと目を細めて微笑んで居るように見え俺は固まりながらジル王子の顔を見ていた。







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