兄たちが弟を可愛がりすぎです

騎士学校への訪問者

騎士学校へと話しが戻り、体育の時間気分を悪くした同級生のメルシエを医務室へと連れて行きアンドレ先生に頼んだ後医務室を出た保健員のルグランは騎士に抱き抱えてもらっていた自分より年下の男子を思い出していた。
「……人が飲むとは思えない緑色のお茶を平気で飲む男子が居るとは思わなかった……それも笑顔を見せるとか…思わず固まりあのお茶を嬉しそうに飲む顔を見ていたが……」
クッ…と思い出し笑いをして廊下を歩くルグランはメルシエがまだ自分の事を想って居る事に気が付いていた。
「……もう、後には戻れない……メルシエ…」
廊下を歩くルグランは皆が居る運動場へと歩き生徒達は次の運動をしていた。
「各自木刀は持ったか！素振り百回始めるぞ」
「ええ～～っ、百回も～～～！？」
「先生、俺達殺す気ですか！？」
「死ぬーーっ」
「百回終わって愚痴を聞いてやるぞ、始め！」
ええ～～っ、と生徒達はブツブツと言い素振り百回を始めていた。
「ん！ルグラン戻ったのか、アンドレ先生は居たのか？！」
「はい、アンドレ先生にお願いしました。」
「そうか、後でフランソワに医務室へ迎えに行って貰おう」
「……はい、お願いします」
ルグランはリアム先生から木刀を手渡された時コソッとルグランに尋ねていた。
「……ルグラン、医務室には男の子は居たのか？」
「はい、居ました」
「そうか、生徒達には男の子が医務室に居る事を言わないように、いいな」
「……はい、分かりました」
ルグランは木刀を持ち自分の持ち場へと向かう時何人かの男子がルグランの姿をチラッ、チラッ、と見ていた。
その視線の中でじっと見る他の生徒とは違う視線を感じたルグランはフランソワが見ている事に気付いていた……一番後ろへと配置に着いたルグランは隣の男子から声を掛けられていた。
「なあ、なあ、ルグラン、お前が医務室へ行った時男の子は居たのか？」
「……聞いてどうする？」
「えっ、だって気に成るじゃん、騎士に抱っこして貰うって普通無いだろう？」
「……医務室には居ないそれだけ言っておく」
「えっ？医務室居なかったのか？！何処居るんだろうな…」
他の男子もルグランから男の子が居ないと聞きガッカリとした様子を見せる男子達が、素振りをしながら各自「何処に男の子が居るんだろう」と考え素振りをする者もいた。

男子生徒が気に成る男の子ウィル王子は医務室のベッドの上で座りお茶を満喫して、医務室の天井をボ～ッと眺めていた。
「気分はどうだい？まだ具合悪いかい？」
「いえ、もう大丈夫ですアンドレ先生」
メルシエはアンドレ先生から診察を受け体調が良くなった事を伝えていた。
「しかし、リアム先生も無茶苦茶な事を生徒達に言ったものだね運動場五周も走らせるとは…うちの学校の運動場は広いからな、今度また運動場五周とか言い出した時は、リアム先生も走って下さいとお願いすると良いよ」
「はははは、今度言って見ます」
二人の会話が終わり何故か二人ともベッドの上に座るウィル王子を見ていた。
「……アンドレ先生さっきからあの子ボ～ッと天井を見ているのですが、まるで僕のお爺様を思い出します」
「お爺様か…ははは、お茶を飲んでからずっとあんな感じだけどね、私の家族も彼と同じようにボ～ッとしているのを思い出すな」
「凄いですよね、アンドレ先生のあのお茶を飲む何て」
「君も飲んだ事は在るかな？」
「いえ、同級生から聞いて居ましたから……」
メルシエはルグランの顔を思い出していた。
お茶で懐かしさで自分の世界に入っていたウィル王子は保健室の薬品の匂いとお茶の香りで医務室へ誰かが入って来るまでボ～ッとしていた。