兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ

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それぞれの朝の出来事③

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「医師様行き先も言われずに騎士学校へウィル様とレオン様をお連れしたのですね」
「ええっ、私も驚きましたまさか騎士学校へ向かわれるとは思いませんので…」
「以前医師様から御聞きしました事が在りますわ、騎士学校にたまに足を運ばれ子供達の相談相手をしていますと聞きましたわ」
「相談相手ですか?」
「はい、親元を離れて生活をしています子供達に色々と御話しを御聞きしているとか」
「……私達の時はそのような話しの相談はなかったような気がしますが」
「そうですの?なんでも医務室の先生では対応出来ない御話しがあって困った時に医師様に相談されまして、医師様も御時間があります時は騎士学校へ行かれますと御聞きしましたわ」
(……生徒達が医務室の先生に相談事は多分…何年経っても変わらない事もあるんだ)
レオン騎士とメイドのマリアは廊下を歩きチラチラと相変わらずすれ違うメイドに騎士からの視線を感じながらも会話は続いていた。
「レオン様、この事はシェル様にも御伝えした方が宜しいかと思いますわウィル様が部屋に居ない事を知りましたら後から面倒……いえ、心配なさいますわ」
「……」
(マリアさん面倒臭いと言うつもりだったのでは?)
「そうですね、シェル騎士団長に御知らせした方が宜しいですね……今の時間でしたら騎士室に居ます時間だと思います」
「分かりましたわ、騎士室へ向かいましょう」
「そうですね……」
(本当は早くウィル王子の元へ行きたいが、あの光景を見たのは生徒達の事でウィル王子は何の関係も無い、 医務室から出る事も無い為心配する事は無いのに……客室でのシェル団長のあの光景を目の前にすれば嫌でも思い出される…ウィル王子も驚いた様子で……それにシェル団長には女性が居ると聞いた。
女性が居るのにウィル王子に迫るような姿を……いくら兄弟でも可愛いからとあんな……)
「レオン様?」
ハッ!と我に返ったレオン騎士はメイドのマリアの方へ顔を向けた。
「はい、呼びましたか?マリアさん」
「……レオン様手が赤く見えますわ」
「えっ?」
いつの間にかギュッと左手に拳をつくり手の平が少し赤く成っていたようで、レオン騎士はメイドのマリアに笑う顔を見せるだけでシェル騎士団長がいる騎士室へと急いでいた。
その頃、レオン騎士とメイドのマリアが向かった騎士室とは反対にすれ違ったかのように、護衛騎士一人を連れて渡り廊下を歩くジル王子がいた。
すれ違う騎士達は慌てたように頭を下げ、すれ違うメイド達も頭を下げた後、ぼ~っとジル王子の容姿に見とれるかのように頬を染めるメイド達もいた。
「な、なあ今の総隊長だよなこの時間帯で会うの初めてだろ、いつもは王様の側で護衛または近衛騎士室に居る時間だよな」
「そうだよな、はぁ~っ、会うだけでもなんか言われそうでドキドキしたよ」
「ねぇ、ねぇ、今の騎士様誰?凄くカッコ良くて思わずじっと見てしまったわ」
「えっ、あんた知らなかったの?王子様よ」
「ええっ、うそっ本当に!?声掛けても大丈夫かな?」
「ええーっ、睨まれるわよ」
「え?……そんなに恐い王子様なの?」
「うん、うん」
騎士達にメイド達に影で色々と言われているジル王子はウィル王子の部屋へと向かい、ジル王子の後ろでは護衛騎士のブラン騎士が真っ青な顔をして前を歩くジル王子を見ていた。
「……あ、あの、ジル様…ウィル様が本当に体調を崩されましたのかは分かりませんので……私が言われました事でお仕事の手を休まれましたら……」
「気にするな、私もブランから聞いて驚きはしたが、冷静に考えればデザートを食べカイザックと話し楽しんでいる弟が急に体調を崩すはずは無いだろう」
「ですが、ウィル様は最近までは危篤状態で床に臥していましたと……」
「……急ごう」
「ええっ!?す、すみませんジル様~~っ!」
カッカッカッと今まで普通に歩いていたジル王子が早歩きになりブラン騎士は「また余計な事を言ってしまった」と後ろを走るブラン騎士は足の長さで走るはめに成った。









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