兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ

文字の大きさ
上 下
355 / 484

ウィル王子と食後のデザート④

しおりを挟む
俺は真っ赤なイチゴジャムのようなケーキにいざフォークで切ろうとした時だった。
「食して聞いて欲しいが、王子達は勿論の事、王妃に妃達は知っておろうウィル王子は第五妃のマリーネの息子だ。
ウィル王子は生まれて長年病に闘って来た、危篤状態だったウィル王子が目が覚めた時はどんなに喜んだ事か……だが、高熱の為記憶が無い状態で目覚めてしまった……兄であるそなた達の支えがあり今こうして長年夢を見てきた息子と漸く食卓を迎えた事に感謝している。
これから先もウィル王子を支えて欲しい」
「父上から言われなくてもそのつもりです」
「おう、ウィルは俺が守ってやる」
「……」
俺はウィルの事を想ってくれている事に感謝してここにウィルがいたら聞かせてあげたいと思った。
「わたくしもマリーネの息子でありますウィル王子に会えて嬉しく思います。そのままそこに座っているだけでもマリーネが戻って来たようですわ。ウィル王子この席での紹介に成りますがわたくしはシェル王子の母親サーラ王妃です。わたくしの事を母親と思い何でも相談して下さい」
「あ、有り難う御座います王妃様……」
「ふふっ、母様と呼んでも良いのよ」
「えっ!?か……」
俺は王妃様の顔をマジマジと見ると、シェル王子にからからかわれているような感じで顔が熱く成るのが分かった。
「まぁ、頬をそんなに赤く成って可愛い事シェル王子が夢中になるのも分かりますわ」
「は、母上ウィルで遊ばないで下さい」
「ふふふふ」
笑顔を見せる王妃様はシェル王子が笑う不敵な笑顔に似てやっぱ親子何だと思った。
「うふふっ、ウィル王子わたくしの事も母様と呼んでも宜しいのよ、わたくしはカイザック王子の母親ジャンヌ妃です。こんなに楽しい食卓は久しぶりですわカイも貴方が一緒であんなに喜ぶ何て…ふふっ、ウィル王子知って居ました?カイが貴方の為にマッサージの練習をしているのですよ」
「えっ!?マッサージの練習をですか?」
「母上、今言わなくても…ウィルにはまだしてあげる自信が無いんだ……」
俺はザック兄の顔を見てそれに気付いたザック兄は頭をガシガシと触っていた。
「シェル兄達がウィルのマッサージを始めて俺も手伝えたらと思ったんだ、力加減が分からず母上にマッサージの練習相手に成って今練習をしている所何だ…自信が持てたら俺もウィルのマッサージの手伝いをしても良いか?」
ザック兄が照れたような顔を見せ俺はニコッとザック兄に笑顔を向けた。
「嬉しいですザック兄様、僕待って居ますザック兄様のマッサージ」
「!……お、おうっ、そうか待ってくれるかウィル」
「はい」
ザック兄は笑顔で俺の頭を撫で下ろした。
「今度父上がマッサージの練習に成ってくれると言ってくれたんだ、そうだよな父上」
「んぐっ!?……ごほっ、ごほっ、……何を突然……」
王様はグラスのワインを飲んでいる時ザック兄がマッサージの事を聞き何故か蒸せる王様だった。
「何って俺が父上にマッサージをする話しだがいつが良いんだ?今夜が良いならマッサージするけど」
「えっ!?いや……今夜は遠慮しておこう、もう少しお前が慣れた時が良いが……」
「あら、王様遠慮なさらずせっかく息子のカイが父親であります王様にマッサージをして差し上げると言っておりますのよ、今夜にでも宜しいでは在りませんか」
「そうですわよ王様わたくし達の為いえ、側室のロラ様とヤスミン様の為にも受けたほうが宜しいかと思いますわ」
俺は二人の奥さん達を見て何故かドロドロとした空気を感じ、王様が真っ青な顔で目を逸らしているのが見えるが……俺がじっと王様とお妃様達を見ているとエリーゼさんがニコッと俺に笑い掛けてくれた。
「ふふっ、ウィルちゃんは大人達の事は気にしなくても良いからね、食卓へ来てくれて有り難うジルちゃんも喜んでいるのよ」
「えっ?」
「ブッ!ごほっ……は、母上何をウィルに話して居るのですか?私は別に……」
「もう、素直じゃないんだから誰に似たのかしら」
「……っ」
「ジルが喜んでいたとは知りませんでした…貴方も休息がまだ必要です時々でもウィルの話し相手に成ってくれると嬉しいのですが、ウィルの母上でも在りましたマリーネ様の事を話してくれましたらウィルも喜びます」
ええっ!?何でジル王子と話し相手をする事に成るんだよシェル王子、俺まだジル王子と向き合う自信が……ジル王子は優しい人だと分かったそれにウィルでもある俺を想ってくれている……
「ん?ウィルまだ食べて居ないじゃないか、ほらっ、俺の一口あげるからあーん!」
「えっ、あー……」
パクっと俺はザック兄からのケーキを一口無意識で口を開け食べてしまった。
「!」
「ハハハ、旨いかウィル」
コクンと頷き俺はまさかザック兄から「あーん!」と言われるとは思わず顔が真っ赤に成って居るのが分かった。
「なっ、カイ狡いですよ私もウィルにしてあげたい事を」
「ハハハ、シェル兄席が離れているから無理だ俺はウィルと隣同士だからなもう一口居るか?」
ザック兄がまたケーキを俺の方へ向けた時、ザック兄の身体の隙間から見えるジル王子の姿が見え眉間にシワを寄せた顔が分かり…「ウィル、食後が終わると私の部屋に来るように」
「へ?」
俺は何で?と思い不機嫌そうな顔を見せるジル王子を見てザック兄が「何だジル兄もウィルにしてあげたいのか?」と悪戯みたいな顔付きでジル王子に声を掛けていた。
「ああっ、そうだなカイザック私の席と替わるか?」
フッと不敵な笑みを見せたジル王子にザック兄は気まずそうに目を逸らした。
「えっ……あ……ここが良いな、ウィル自分で食べような」
「?」
苦笑いを見せるザック兄は俺に「あーん!」と言う事もなくモクモクと残りのケーキを食べていた。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

処理中です...