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ウィル王子を食卓へ⑩

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「時間も在りません、王様の命令でもあり願いでもあります。このまま歩きながら御話し致します。メイドでありますマリア様も御一緒に来て頂けますか?ウィル王子には初めて向かわれる部屋にも成ります。ウィル王子の側に御願いします」
ブラン騎士はメイドのマリアに一緒に来るように伝え、マリアは何も言わず頷いた。
「護衛の御二人は部屋で待っていてください、わたくしが責任を持ちお連れ致します」
「それでしたらわたくしも御一緒致します。ウィル王子の御世話はわたくし達が致しますので、ウィル王子をわたくしにお渡し下さい」
レオンさんが少し前に出るとブラン騎士に抱っこして貰っている俺をレオンさんが抱き抱えると言ってきた。
俺はレオンさんってこんなに積極的な人だったかな…と思った時ブラン騎士が答える間もなく、レオンさんがグイッとブラン騎士の腕の中から俺を抱き上げ、俺は驚いてヨロッと身体がふらついた時レオンさんがグッと自分の胸に俺の頭を寄せ、鼓動が聞こえるようなそんな近い距離で軽々と騎士達はウィルの身体を抱き抱えるから、まだまだウィルの身体は軽いのだろうとじっとレオンさんの顔を見上げてそう思った。
「……レ、レオンさん重いですよ」
「大丈夫です、ウィル王子私が……」
レオンさんはお姫様抱っこをした俺の顔を見て近い為、顔を剃らしジル王子の護衛騎士ブラン騎士の方へ顔を向けた
ブラン騎士はレオンさんの思わぬ行動を見て黙ったままだったが俺達の方を向きトーマス騎士に声を掛けた。
「貴方はそのまま護衛を続けて下さい」
「……分かりました」
トーマス騎士は軽く礼をした後俺達は行き先が分からない部屋へ行くことに成り、俺は「初めて行く部屋」と聞かされ王様の部屋かな?とも考えたがとにかく行き先が分からないと不安が一杯だからブラン騎士に尋ねる事にした。
「……あの、何処に行くのかを教えてください、初めて行く部屋と言われただけでは不安です……それに心の準備が必要です」
俺はブラン騎士の顔をじっと見て今から行く場所を尋ねた。
「……そうですねウィル王子には心の準備が必要かと思います……王様がウィル王子も交えての食後を御一緒にしたいとの事でウィル王子を食事の部屋へと招待されたのです」
「えっ、食事の部屋にですか!?」
一番に驚いて声を出したのがマリアさんで 食事の部屋と聞いただけで嫌な予感がした。
「……ウィル王子を食事の部屋へ向かわせるのですか?」
レオンさんも驚いていた様子で俺はその食事の部屋には何がある?と俺をみているマリアさんに上から視線を感じるレオンさんに凄く聞きたいと思った。
だが、食事の部屋はご飯を食べる所だとは思うが俺は既に朝ごはん食べてしまったから……確かブラン騎士が「食後」って言ってたな、果物を一緒に食べようと言って居るのか?
「ウィル王子歩いて会話をいたしましょう」
「あの、僕は寝服姿なので行かない方が……父様に失礼になると思います。それに食事の部屋には誰が居るのですか?」
俺は正直に言うと行きたくないのが本音でテーブルマナーも分かんないし、音立てたらウィルの印象が悪くなりそうで……
「御心配はいりません、王様も寝服姿でお待ちです。それにシェル様方に親族の方が御揃いの部屋であります」
「……」
俺は声が出ずに固まりそれってつまり王族達がテーブルにずら~っと並び座り音も立てずにご飯を食べる恐ろしい家族全員集合じゃないのか?!俺はレオンさんに「部屋に戻りたいな」とすんごく言いたくて、食事の部屋と言っただけで、マリアさんとレオンさんの顔が真剣な表情をしているからなお、行きたくないと思った。





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