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ジル王子とメイドのマリア⑦

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カラン……とメイド二人が側に置いていた掃除道具に足が当たり思わず固まってしまった。
「シ、シェル様とカイザック様!?」
メイドの一人が声を出し、まだ本人達が部屋の中に入っていないのにも関わらず顔を真っ赤にして手を口に当てる姿を見ていたメイドのマリアは(シェル様かしらカイ様かしら…そんなに真っ赤な顔をして……)とメイドのマリアは心の中で呟き、その足元に転がっている掃除道具を後輩のメイド達が持ち運ぶ姿を見ていた。
(……あのメイドの子達も後から言われる前に片付けているのも気を使っているのね……)
「……今日のメイド達は煩いな……」
ジル王子が少し不機嫌になり掛けメイドのマリアは苦笑いをしていた。
「メイドが煩いのは仕方ありませんわ」
「……ふっ、そうだな……兄達を通してくれ」
「はっ」
ジル王子は護衛騎士の一人にシェル王子とカイザック王子を部屋の中へ通すように言うとメイドの二人は動けずに扉をじっと眺めていた。
「御早うジル、ああっ、メイド達も掃除をしていたのだね」
「!!っ、っ、お、御早う御座いますシェル様」
「お、おお……御早う御座いますシェル様……」
「「……御早う御座います」」
「御早う、御苦労様です」
はぁ……と声に成らないため息を吐くメイド二人は掃除をする事も忘れボ~ッとしていた。
「ハハハ、シェル兄その笑顔を見せるとメイド達が仕事出来ないぞ」
「カ……カイザック様!」
「お、御早う御座います……カイザック様……」
「「御早う御座います」」
「おう、御早う」
ニカッ!と子供のように微笑むカイザック王子にメイド二人はお互いに手を取り合い真っ赤な顔で笑顔を見せ声を出したいが出せずにお互い握り締めた手に汗が滲み出ていた。
「ねぇ、ねぇ、どうしょう、どうしょう…シェル様にジル様にカイザック様こんなに一度に王子様方に会えるなんて…」
「そうよね、夢では無いのよね」
メイドの二人はシェル王子とカイザック王子の後ろ姿にも見惚れていた。
「シェル様、御早う御座います。カイ様お疲れ様です」
「ああっ、御早うマリア変な感じだねジルの部屋で挨拶を交わすのは」
「ふふふ、そうですわねシェル様」
「おう、マリア朝から大変だったなレオン騎士から聞いたぞ」
「あら、そうですの、ふふふ」
「何の話しだ?マリア」
「うおっ!?ジル兄がマリアの事を呼び捨てにした!いつの間にそんな仲に成ったんだ?」
「…そうですね、珍しいですジルがマリアの名を呼ぶとは……何かあったのですか?」
「……私が名を呼ぶと可笑しいのか?」
ワイワイとメイドのマリアを囲み三人の王子達が笑顔を見せる姿はメイド達二人には嫌な光景でしか見えない……
「何よ三人の王子に囲まれてあの笑顔……いくら王様のメイド付きでもなれなれしいわ」
「そうよ、王様のメイド付きなら王様の元へ行けば良いのに」
ブッブッと文句を言っていたメイド二人に後輩のメイド二人が声を掛けていた。
「あの、お掃除終わりました……」
「そう、お疲れ様」
「汚れのシーツも取り外したの?」
「はい…」
メイド達四人は後片付けが終わるとメイド二人が前に行き少し離れてメイド二人が立ち、王子達三人とメイドのマリアの側に行き掃除の終わりを伝えていた。
「ジル様、終わりました」
「ああっ、御苦労大変だったな急な仕事で、下がって良いぞ」
「「「「はい、ジル様」」」」
メイド二人は王子達を見た後後輩の二人と一緒に掃除道具を持ち部屋を後にした。
「……何か視線が凄かったな前の方にいるメイド二人は……」
「そうですね……掃除は後ろにいましたメイド二人がしていたのでしょうか?」
「……ああっ、隠れて掃除をしていた二人のメイドがほとんどというように仕事をしていた」
「……ジル様気付いていたのですか?」
「彼女達が分かりやすいと言うか動く様子も無く、時々道具を落としてはマリアの方をじっと見ている姿が怖かったな」
「わたくしをですか?そんな困りましたわ~」
「いやいやマリアそれはジル兄を独り占めしていたからだと思うが……」
「ふふふ、分かっておりますわ」
三人の王子とメイドのマリアはメイド達四人の話しを終えた後ウィル王子の部屋へ向かう準備をしていた。










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