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問い詰めていたはずが

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コンコン!
「……ジル様、ポールで御座います王様をお連れ致しました……」
「……入れ」
「はっ、失礼致します……」
ポール騎士は王様を先に部屋へ通しその後部屋に入ると仲間の護衛騎士が扉の側で身体が固まり真っ青な顔でポール騎士に目で(やっと来たのか遅かったな)と心の声が聞こえてくるようで二人の騎士は目に涙を浮かべ顔が無理に笑顔を見せているように見えた……ポール騎士も二人の騎士の顔を見て(済まない遅くなった)と騎士に向かい頭を下げていた。
「ん?どうしたのだ頭等下げて」
「うっ!」
王様は隣にいるポール騎士に声を掛けジロッと熱い視線がチクチクと王様の周りを刺すようにこの視線が誰なのか王様は分かっていた。
「御早うジル、朝から機嫌が悪いがどうしたのだ?部屋に入り真っ先に挨拶をしない事で怒って居るのか?」
笑顔を見せる王様にジル王子は口を開いた。
「……昨夜は母エリーゼの元へ通われたと聞きましたが……」
ジル王子は息を吐き落ち着かせる為母親のエリーゼ妃の事を聞く事にした。
「ああっ、もう知って居るのか?!ジルが話したとおりエリーゼ妃の元へ行き久しぶりにゆっくりと出来た…この事は信じないと思うが何度もエリーゼ妃の部屋へ通った日があったのだ、だが色々と邪魔が入り急用がありとそなたの母エリーゼの元へ行けない日もあったのだ。……それがズルズルとエリーゼ妃の部屋へ通い難い日が続いたものだからな、久しぶりに部屋へ行き昨夜エリーゼ妃が私を許してくれたのだ」
いつの間にか王様はジル王子の前にあるソファーに座り会話を始めていた。
「……真っ直ぐ母の部屋に向かったのですか?」
「いや、側室達に今夜は無理と言われ、王妃の元へも行ったが断られ、ジャンヌ妃では怒らせてしまい、最後はエリーゼ妃だが最初は拒んでいたが私を受け入れてくれたのだ」
「……」
王様は護衛騎士の一人にジル王子の部屋にある紅茶を頼み王様は紅茶を飲みながら会話を始めていた。
「エリーゼ妃の部屋で寝泊まりをするはずでいたがエリーゼ妃が駄目だと言ってのそれで目が覚めた為城内を散歩していたのだ」
ピクッとジル王子の眉が動き声を出した。
「……散歩で何故ウィルの部屋へ行き泊まる事になるんだ?眠っているウィルを起こしたのですか?」
ジル王子は王様に問い詰める立場では無い事は分かっていた。
自分もお忍びでウィル王子の部屋へ行き眠っているウィル王子に本人が知らない事をしていたからだ。
「そ、そんな恐い顔をするで無いぞジル、私も息子の寝顔を見たいと思い寄ったまでだが、さすがに歩き疲れウィルの所で寝泊まりする事にしたのだ。ウィルも私がいる事に驚きはしたが泊まっても良いとウィルも言ってくれたのだ……(多分?!余り記憶が無いがウィルが驚いていた顔をしているのは見たな)」
「……それで今までウィルの部屋に居たのですか?」
ジル王子はポール騎士に王様を連れてくるまで時間が掛かりすぎるためチラッとポール騎士を見てジル王子の視線にビクッと気付きポール騎士はドキドキと冷や汗をかきジル王子に声を掛けた。
「……も、申し訳御座いませんジル様王様が側室の方々に御挨拶がしたいと申されまして……」
「……側室?」
「また恐い顔に成っているぞジル、ポール騎士を無視して私が側室達の元へ行きたいと言っただけだ、挨拶だけで直ぐにお前の部屋へと向かった……」
王様は紅茶を注いだカップを飲みほしカチャとテーブルの上に置いた。
「はあ、私がお前の約束を破ったので怒って居るのか?」
「約束?」
「お前が先にウィルと寝泊まりをするはずが、私が寝泊まりをした為それで怒って居るのだろう?」
「な!?ち、違っ……私は疲れて眠っていると思い……」
ジル王子は話しの途中顔が火照り出すのが分かり手を口元へ当てその様子を見ていた王様は(ジルもまたウィルを意識始めたのか……)王様はフッと笑みを浮かべジル王子に報告をしていた。
「心配するなお前の願いをウィルに伝えた泊まる日などはウィルが決めると思うが」
「!!」
ジル王子は声も出ず顔を下に向けさっきまでのピリピリとした空気が変わり、護衛騎士三人組もホッとした顔を騎士同士で見合わせていた。
そして王様は……
(ジルに顔向けが出来ない時はウィルの名前を出せば良いかな?ジルもまだまだ子供だな……ふふふ)






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