兄たちが弟を可愛がりすぎです

巡回騎士達の朝食③

「お、御早う御座いますニック騎士……」
レオン騎士は心の声で迷いながらニック騎士に声を掛け、今更ながらメイドのマリアと一緒に席に座っているレオン騎士に気が付いた。
「御早う御座いますレオン騎士貴方も一緒でしたか」
「……」
（わざとだろうか？いや…最初からニック騎士はメイドのマリアさんしか見ていなかった。……二人は付き合っているのか？だが会話が棘を刺すような……喧嘩中なのか？）
レオン騎士は妄想のような心の声でニック騎士とメイドのマリアを見ていた。
「巡回の騎士服が似合っておりますわ～御仕事はどうでしたの？ニック様」
「有り難う御座います殿下も言っていました。巡回の仕事は見回りでしたので、殿下に街の様子を報告したいと思っています」
「ウィル様はまだお休みだと思いますが？」
「いえ、この時間帯は起きて居ますので、それに私が来るのを待っております」
ﾁｸｯ！と胸の痛みを感じた護衛騎士のレオンは（？）とまだこの感情に気付いて居ないレオン騎士はニック騎士が「ウィル王子が待っている」と言った事にどんなにウィル王子を慕って居るのかニック騎士の顔を見て分かった。
（ウィル王子の名前を出す事で笑顔を見せるのだな……）
レオン騎士はニック騎士とメイドのマリアの会話を聞き二人を眺めていた。
「もう、マリア私にも紹介してよ！」
ズイッ…とニック騎士とメイドのマリアが話しをしている中痺れを切らしたメイドのコリンが二人の間に入って来た。
「え？あ……ごめんなさいコリン、ニック様私と一緒におりますメイド仲間のコリン嬢ですわ～」
「初めまして、マリアの親友のコリンと言います騎士様」
「挨拶が申し遅れました巡回騎士のニックと申します」
ニコッと微笑むニック騎士にメイドのコリンは顔を真っ赤にして
隣で座るメイドのマリアの腕をクィッと引っ張りコソッと耳元で話し掛けていた。
「マリア、マリア、素敵な騎士様ね……彼女居るかな、まさかマリアが彼女じゃないよね！？」
「違いますわ、私はニック様の彼女では有りません」
「えっ！本当！？私…立候補しても良いかな？」
「ニック様はお勧め致しませんわ、既に御心に決めた人が居ますから……」
「ええっ、じゃあ彼女いる事に成るじゃない」
「それを答えるのは私には難しいわ……ニック様本人に聞いて見たら？それでしたら納得するでしょう？」
「えっ、ニック様に？」
メイドのコリンはゴクンと生唾を飲み込み決心を決めてニック騎士に尋ねる事にした。
自己紹介をしただけで彼女に成りたいと思わせるニック騎士を凄いと思うが、既に心に決めている人はそれ以上にニック騎士よりも最強の笑顔を見せる魅了の持ち主の為、常に少しずつニック騎士の敵を増やしていた。
「……あの、ニック様…初めてお会いしてこんな事を聞くのはおかしいと思いますが、今どなたかお付き合いをしている人は居ますか？」
メイドのコリンの問いかけに目を見開いて見ているニック騎士とレオン騎士は恥ずかしげにメイドのマリアの腕をギュッと握り締めているメイドのコリンを見ていた。
メイドのコリンの問いかけを聞いていた何人かのメイド達が、ニック騎士を狙い耳を澄まして聞いているメイド達がいた。
「……付き合っている人は居ないが守りたい人はいる」
グッと自分の手を握り締め、今側に居てあげる事が出来ない苦痛に耐えるだけだった。
「……聞いて良かったです有り難う御座いますニック様」
ニック騎士の返事を、耳を澄まして聞いていたメイド達は「はぁ～っ、やっぱりね」とため息を吐き呟くメイド達がいた。
メイドのコリンに何かを感じ取ったメイドのマリアは、手を取りポンポンと叩き、メイドのコリンは少し涙目に成りながら「へへへ」と笑い（有り難うマリア）と笑顔を見せていた。
目の前のメイドを泣かせた事を知らないニック騎士は、今日のウィル王子の護衛騎士が誰なのか気になりメイドのマリアなら知っていると思い聞いていた。
「マリア様お尋ねしたい事が在ります…ウィル王子の護衛騎士は誰なのか分かりますか？」
メイドのマリアは（やっぱり聞いて来た）とメイドのマリアが口を開こうとした。
「ウィル王子の護衛騎士は私だ」
突然横から声を出したのは護衛騎士のレオン騎士だった。