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ウィル王子に会いに来て…②

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ウィル王子の部屋に入った王様は、真っ先に窓へと向かい一つずつ窓の鍵を調べ、ふとベランダ側の窓に立ち止まりある王子の事を思い出していた。
「……確かフィン王子もこのベランダの窓から入って来たのだったな……門の入り口から入れば良いものを、フィン王子も城で生活をする事を考えなくては成らないがどうしたものか……」
王様はフィン王子の先々の事を考え城での生活を望んでいた。
ベランダに出る窓の鍵を開けキィィとゆっくりと窓を開け、外からの空気が入り込み少しカーテンが揺れる中、王様はベランダに足を踏み入れて手摺りに手をやりベランダの周りを見渡していた。
「……シモン騎士ならここまで登る事は簡単だがフィン王子がここまで登った事が信じられん腕と足を鍛えないと……ベランダと地面との高さはそんなに無いが……」
王様は「はぁ…」と息を吐き何故シモン騎士がこのベランダからウィル王子の部屋の中に入った事が気には成っていたが、何か理由があるはずだと、王様はウィル王子の部屋の中に入り窓に鍵を閉めた後、ベッドの上で眠るウィル王子に音がしても起きないウィル王子の側へ歩き、ギシッ…と軋む音を立てベッドの上に座る王様は、ウィル王子の額に口付けをした。
「……余程疲れたのであろう、余り会うことが無かった兄のジルと庭園まで行く事になり、私が余計な思い付きでウィルに辱しめるような事をしてしまいシェルから叱りを受けてしまったよ……ころころと表情が変わるウィルの姿を見るのが嬉しくて、つい余計な事をしてしまった…私の悪い癖だが……今度は私と一緒に庭園へ行こうウィル」
掛け布団から手を出しているウィル王子の手を握り締め、そして手にも口付けをしてジッ…とウィル王子の寝顔を見ていた王様はキョロキョロと周りを見渡し扉の方へ顔を向け「まだ、ニースは戻っては居ないな」とボソッと呟きウィル王子の方へ顔を向けた。
「……親子なのだ挨拶と思えば……」
王様はそっとウィル王子の唇に指で触れ顔を近付けた。
コンコン!
「王様ニースです。只今戻りました」
ビクッ!!と王様は近衛騎士ニースの声で驚きウィル王子の顔から離れ普通にベッドの上に座り直した。
「王様、中へ御入りしても宜しいでしょうか?」
「……あ、ああっ、入ると良い」
「失礼致します」
カチャと部屋の扉を開け閉めた後、ベッドの上に王様が座っている側まで来ると王様の後ろにはウィル王子がスヤスヤと眠る姿を見て「天使のような方ですね」ボソッと近衛騎士のニースが声を掛け王様は笑顔を見せ喜ぶ姿を見せていた。
「そうだろう、この子の寝顔を見るだけで私の心が癒されるのだ」
王様は少し身体をウィル王子の方へ向き頬を触り笑顔が止まらなかった。
王様のウィル王子の見る顔を見て(イリス様の御子様が御生まれに成るときはその笑みをイリス様と御子様にも向けてくれたら…)近衛騎士のニースはギュッと握り拳に力が入り王様に報告をしていた。
「王様、門番の騎士にシモン騎士の事を御伝え致しました。」
「ああっ、御苦労だった」
「王様、御部屋の方へ御戻り致しましょう、御休みに成って下さい」
「私はウィル王子の部屋で休む事にする、そなたは部屋に戻り身体を休めないとな、イリス嬢の部屋に行くのだろう!?」
「えっ、王様御部屋の方へは御戻りには成らないのですか?」
「ああっ、そなただけ戻ると良い朝方騎士をウィル王子の部屋に寄越すようにしてくれ」
「ですが王様、王様が居ます事にウィル王子は知りません…」
「ハハハ、息子の驚く顔を見るのも良い」
「……」
近衛騎士のニースは王様の突然ウィル王子の部屋で休むと言われこのまま王様を残し自分だけ戻って良いのか?と悩んだがイリス嬢の元へ行かなくては成らない事もあり、王様をウィル王子の部屋に残し戻る事に決めた。
「……王様本当に宜しいのですか?」
「ああっ、私も直ぐ就寝する護衛御苦労だった。イリス嬢の事を頼むぞ」
「……はい、分かりました王様わたくしはこれで失礼致します」
近衛騎士のニースは王様に礼をした後ウィル王子の部屋を出た後見習い騎士二人に頼み事を伝えた。
「君達二人には悪いが王様がウィル王子の元で休まれる事に成った、私の替わりの者が来るまで護衛を頼む」
ジョン騎士とダリル騎士は王様が寝泊まりをすると聞きお互い顔を見て思わず不安な表情を見せていた。
「二人ともその様な顔をしなくても良い…今まで通りの護衛をするだけだ、王様が居るからと気にする事は無い、朝方に私の替わりに騎士が王様を迎えに来るはずだそれまでの間だ」
「えっ!?あ…はい、分かりました……」
「はい……分かりました」
近衛騎士ニースは見習い騎士の二人の肩に軽く叩くと部屋に戻って行った。
「……なぁジョン王様連れて帰る事しなかったなあの騎士様は」
「そうだな……俺達本当に王様の護衛をする事に成ってしまったな……」
「ああ、本当だな……」
見習い騎士の二人は段々と口数が減り緊張の余り用足しの回数が増えていた。










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