兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ

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王様と妃達⑨

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「まぁ、王様また一段と良い男に見えますわ…濡れたお姿も側室の方に御見せすれば宜しかったですわね。
あっ、でも必要ありませんでしたわねロラ様とヤスミン様は毎日王様の濡れたお姿を見ていますものフフフッ」
「……」
王様は濡れた前髪をかきあげ、エリーゼ妃の言うように濡れた姿の王様でも誰もが見惚れてしまう程の容姿をしていた。
夫婦のやり取りを見ていた近衛騎士に護衛騎士二人、そして椅子の上でまだ泣いているメイドを一人除き、他のメイド達四人は凄いものを見たとまだ床に座る王様にその姿を見下ろしているエリーゼ妃…妃の中で一番恐い方だと今回の件で思い知った。
「王様いつまでお座りに成って居ますの?王様のせいで床が濡れてしまいましたわ早く退いて下さいませ掃除も出来ませんわ」
「……」
王様はもう言葉にならず、座っていた足をツルツルと床が水浸しで滑る為ヨロヨロと立ち上がり、王様の周りだけ大雨でも降った状態で王様は濡れた姿でエリーゼ妃の前に立っていた。
「……エリーゼ…これで気がすんだか!?」
「王様こんな事でわたくしが満足すると思いですか?」
エリーゼ妃は王様に話しをした後奥の部屋に行き手に入浴用のタオルを持ち王様の前に差し出していた。
「わたくしの部屋で水をかけましたのが間違いでしたわ、王様の部屋ですべきだと後で思いましたわ……これでご自分でお拭き下さい、廊下まで水浸しですとメイド達に迷惑が掛かります。
王様を御部屋に御通ししました事が間違いでしたわ、明日側室の方々にお慰め下さいませ、今夜はお帰り下さい王様」
エリーゼ妃は入浴用のタオルを王様に手渡し帰るように伝えた時タオルを渡した手首を王様が握り締め、グイッとエリーゼ妃の身体を引き寄せ腰に手を回され身動きが出来ないエリーゼ妃は驚き王様はエリーゼ妃の身体を抱き締め放そうとはしなかった。
「王様?放して下さいわたくしの服が濡れてしまいますわ」
「近衛騎士何をそこで立っている、皆を部屋の外へ連れ出さないか、この部屋に私とエリーゼ二人だけにしろ」
「は…はい!」
突然声を張り上げ、近衛騎士に護衛騎士とメイド達を全員部屋の外へ行くように指示を受けた近衛騎士は、王様の命令で部屋の中は王様とエリーゼ妃だけと成った。
「放して下さい濡れた寝服の王様には触れたくは在りませんわ」
「濡れた寝服はエリーゼ君が私に水をかけたからだろう」
小さな身体をグッと引き寄せ抱き締める王様の身体は久しぶりに触れるエリーゼ妃はこの身体で何人もの妃に側室達を相手にしたことか大勢の女性を相手にする王様が今のエリーゼ妃は嫌だった
「……わたくしは王様が嫌いですわ」
「私はエリーゼが好きだが、私は君に甘えていた。
何度も君の元へ足を運んだがいつも邪魔が入り君の元へ行けない日が何度も続いた。」
「信じられませんわそれより早く放して下さい」
「…後で近衛騎士に聞くと良い……私は何も言わない普通に接して来る君に甘え通う日を後から後からと先伸ばし一年近くも君の元へ通って居なかった」
「まぁ、そんなに成りますの?側室の方々と御忙しいのです。わたくし達妃を忘れるのも無理もありませんわ」
「そなた達を忘れる訳が無いだろう、エリーゼどうか機嫌を直してくれ……」
「……王様お帰り下さい、そのままですと風邪をひきますわよ」
「君が暖めてくれ…」
「……」
王様はエリーゼ妃に話しを終えると初めて口付けをするかのように軽く何度かエリーゼ妃の唇に触れ、外側の上唇を甘く噛みそして王様はエリーゼ妃の唇を重ね小さな身体をギュッと抱き締め、王様の濡れた髪の毛がエリーゼ妃の顔に流れ落ち、まるで涙を流すようにエリーゼ妃の頬に流れ落ちていた。
エリーゼ妃は握り締めていたタオルを床に落とし濡れた王様の寝服に触りそのまま身を任せていた。
廊下に追い出された?近衛騎士と護衛騎士二人そして今まで泣いていたメイドを含めた五人は廊下で輪に成りそしてメイド達が話し出していた。
「あの……わたくし達このまま帰っても良いのでしょうか?」
「床を拭かなくて大丈夫かしら?まさかエリーゼ様が王様に水をかけるとは驚きでしたわ」
「何があったのか分からなくて、それに泣いている理由が分からないわ」
ビクッ!と涙を流していたメイドが一人のメイドの問いかけに顔が青くなり何も言えずにいた。
「今の彼女は何も言えないと思います……余りその事で触れないであげて下さい」
「……はい、分かりました」
「今夜はもう遅いですので貴女方は御部屋に御戻り下さい、何か御座いましたらお知らせ致します」
「……はい、エリーゼ様の事を宜しく御願い致します」
メイド達五人はエリーゼ妃の部屋を後にして、自分達の部屋へと戻って行った。
メイド達が帰る姿を見た護衛騎士達は部屋の中にいるエリーゼ妃を心配していた。
「エリーゼ様大丈夫だろうか?気を取り乱しておいでの様子だったが……今王様と二人で居るが部屋の中が静かすぎて逆に怖いのだが…」
「そうだよな…王様が部屋に来られて喜んでいたがまさか王様とメイドがそんな事をするとは思わなかったからな……王様も酷い御方だ」
護衛騎士二人が話しをしているなか近衛騎士が部屋の中の様子を伺っていた。
かすかだが声が聞こえホッとした顔で近衛騎士は部屋の扉から離れ今夜は見回り時間を潰そうと「王様を待っている間床の水拭きが出来るのだが…私と護衛騎士二人の仕事に成るな」近衛騎士はクスッと笑い城内の見回りをする事に時間を潰す事にした。











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