兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ

文字の大きさ
上 下
260 / 484

王様と妃達④

しおりを挟む
「……王様ジャンヌ様の御部屋の前におりましても…今はカイザック王子が御側にいらっしゃいますので日を改めまして謝罪をなさいました方が宜しいかと……」
「……そうだな…」
王様はジャンヌ妃の部屋を見たあと廊下を歩き出しその様子を見ていたジャンヌ妃の護衛騎士達は話し出していた。
「さっきの王様にも驚いたがジャンヌ様がまさか王様に手を出されるとは思いもしなかったな……ジャンヌ様がお怒りに成るのも分かる」
「王様も半年御見えに成って居ないんだろう?それを今頃ジャンヌ様の元へ来られて勘違いをしてお怒りになるのはおかしいだろう?……今のジャンヌ様に男が居てもおかしくないだろう?」
「おい、王様に聞こえるぞ!?思って居ても声に出すなよ……お前が言いたい事は分かるが、ジャンヌ様が相手をお探しなら俺がジャンヌ様の相手に成っても良いと思っている」
「お、おい!?お前こそ王様に聞こえてしまうとただでは済まない言い方だぞ、……それにジャンヌ様の相手をと……お前本気で言って居るのか?」
「ああっ、本気だ!俺はジャンヌ様の護衛に成る前からお慕いしていた。ジャンヌ様の護衛騎士と成りこのお方を御守り出来る事が俺の喜びだった……だが、この半年以上王様はジャンヌ様の部屋に向かわれる事も無くジャンヌ様も王様の部屋へ向かわれる事が無かった。」
「……確かに王様とジャンヌ様は夜を共にしていない……普通の夫婦だと直ぐに別れる所だよな、王族に嫁がれたジャンヌ様には辛いと思うな……」
「その辛さを少しでも和らげたらと……気が強いと思われているジャンヌ様は表はそうだが内ではとても脆いお方何だ……何も出来ない俺はジャンヌ様を影で御守りする事だけだ……」
「……」
初めて聞く同僚の護衛騎士のジャンヌ妃に対する想いに応援をしてあげたいがどうする事も出来ず「護衛をして御守りしょう」と一言声を掛けただけだった。
ジャンヌ妃の部屋を出た王様は行く宛てを見失ったかのようにフラフラとした歩き方で進みその後ろ姿を見ていた近衛騎士は「このまま部屋に戻った方が良いのだが……」と思い王様に声を掛けようとした。
「……部屋に戻るか……」
まさか王様から部屋に戻ると言うとは思いもしなかった近衛騎士はつい声に出してしまった。
「……すぐ目の前の御部屋はエリーゼ様ですが……」
「……」
王様は無意識にエリーゼ妃の部屋まで歩いたようで、エリーゼ妃の部屋の前には護衛騎士が二人立ち王様の姿に気付き慌てたようにエリーゼ妃の部屋の中に一人の護衛騎士が入るのを見た王様はもうため息しか出ず肩を落としていた。
エリーゼ妃とは一年近く通う事は無かった。
食事の部屋で会うが、エリーゼ妃は何も言う事無く普通に話し掛けてくる為王様は部屋に通う事無く、またエリーゼ妃も王様の部屋まで来た時もあったが王様がいつも部屋に居ない為エリーゼ妃も王様の部屋へ通わなくなり、いつの間にか王様が部屋に来ない事が当たり前のようになってしまった。
王様は思い出したように、今夜はエリーゼ妃の部屋に向かうかと思っている時に限り、大臣達からの大量の仕事を渡されたり、ジル王子からのフィン王子の小言を言われたり、次から次へと色々と邪魔が入る日が続き、エリーゼ妃の部屋まで途中歩くとロラ嬢と会いエリーゼ妃の元へ行くのも忘れてしまう事もあった。
「……今更エリーゼの元へ行った所でジルから言われそうだな…ジル王子の体調の事も一つは私とエリーゼが原因だろう…」
「王様如何致しますか?」
エリーゼ妃の部屋の近くで足を止め立っている王様に近衛騎士が訪ねていた時、扉が開く姿が見えヒョイッと開いた扉からエリーゼ妃が顔を覗かせ、王様はここまで来るのに色々在りすぎて身体が勝手にビクッと跳ねてしまうように成っていた。
「王様?どうしたのですか、そんな離れて…部屋の中に入らないのですか?」
「……は?」
王様はエリーゼ妃の思いもしない言葉に驚き思わず身体が固まり近衛騎士も顔が笑顔になり王様に「良かったですね」と声を掛けていた。
王様は止めていた足を進めエリーゼ妃の扉の前に立っていた。
「……エリーゼ、私が部屋の中に入っても良いのか?」
「変な王様ですわね、どうぞ王様!わたくしとメイド達だけなので、たまには誰かを誘いたいと思って居ましたの、護衛騎士の二人はジルに恐がり相手をしてくれなくて……」
「メイド達?騎士達に相手……?」
王様はエリーゼ妃から腕を引かれ部屋の中に入った……
「えっ?えっ?王様!?」
「キャーッ王様よ!」
黄色い声が部屋中に響き、エリーゼ妃付きのメイド達五人が部屋の中にまだ居ることにも驚き、そして部屋の中を見て驚いた。
三つある丸いテーブルにワインビンが幾つもあり、紅茶用のカップにポット、幾つものお皿の上には小さな四角い種類のケーキが何十個とあり、そのわき役としてクッキーに塩味のお菓子等が幾つもお皿の上に乗っていた為、甘い物が苦手な人には部屋に居ることが無理であろうといった光景が広がっていた。
「……」
王様は部屋の中がパーティー状態と成っていた為「誰かの御祝いか?」見たいな顔で、メイド達が普段は見せない顔でキャー、キャー、と騒ぎ良く見るとメイド達はメイド服を脱ぎ自分達用の寝服姿で長椅子に座り楽しむ姿を目にした。
「はい、はい、貴方も入って!」
「えっ?えっ?わたくしもですか?」
近衛騎士がエリーゼ妃から無理矢理部屋の中に入り、更にメイド達がキャー、キャーッ、と騒ぐため部屋の中は大騒ぎとなった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

処理中です...