上 下
232 / 484

シェル王子の護衛騎士④

しおりを挟む
ウィル王子の部屋から出て見習い騎士のジョン騎士とダリル騎士の二人の姿が見えなく成った辺りからその声は聞こえていた。
「うぎやああぁぁああ~~~っ!」
バッ!と後ろを振り向き腰に掛けている剣に手をかけ構える騎士がいた。
「クスクス、大丈夫ですよ今の声の主はウィル王子ですから」
「!?」
クスクスと笑いながら歩く姿を見せているシェル王子にその後ろを歩く護衛騎士のエリックが剣に手を掛けていたのを放しシェル王子の後ろ姿を見ていた。
「……シェル様先ほどの声の主がウィル王子だと何故分かるのですか?」
「ウィル王子の噂話を知っていますか?エリック」
「いえ、わたくしは存じませんが、他の騎士達と会う事が御座いませんので以前ウィル王子がまだ体調が良い時に少しだけでは御座いますが、噂で大人しい御方で書物を良く読まれて居ましたと御聞きしました」
「……そうでしたねあの頃のウィル王子は本を読む事が大好きで良く私も一緒に読んで居ました……物静かで体調が悪い日でも笑顔を絶さずとても素敵な子でした…」
シェル王子は春人がウィル王子になる前の弟のウィル王子を思い出していた。
エリック騎士はシェル王子の話しを聞きまるで今は生きては居ないような物言いのシェル王子を見てウィル王子に何かあったのでは?とエリック騎士なりに考えていた。
「今のウィル王子は、生死の境を潜り抜け以前の記憶を持たないままに病から目を覚ましたのです…まるで生まれたての赤ん坊のように、何も分からず自分が王子である事も知らずにこの国ベルスタ王国に生還したのです。
ですから今のウィル王子は以前とは違う性格が反対の状態で、明るく騒がしく人思いで涙脆く誰とでも仲良く成る第五王子として生まれ変わったのです……私はそんなウィル王子を愛してしまいました」
「……」
シェル王子のウィル王子に対しての告白を聞いていたエリック騎士は黙ってシェル王子の後ろを歩くだけだった。
「護衛騎士の中でこの話しをしたのは貴方だけですよエリック」
「……シェル様がウィル王子をお慕いしておりました事は以前御聞きして知っておりましたが、先ほどはわたくしが居ります事を知っての事でウィル王子になさったのですか?」
「フフッ、私が本当にウィル王子の事を異性として見ている事を貴方に知らせてあげたいと思ったのです。先々私は王様と大臣達に同性婚の制度を申し上げるつもりでいます。」
「!?……シェル様それは……」
「王位継承を退けると言う事に成ります」
「!!」
エリック騎士はシェル王子の王位を退くと聞かされ驚き歩いていた足を止めていた。
シェル王子はエリック騎士が歩く足を止めている事に気付き後ろを振り向きフッと笑みを見せていた。
「この事は今私が考えている事でこの先の事はまだ分かりません
王に成るのは私とは限らないのです…護衛をしています貴殿方には申し訳無いと思っています。
この先、王に成ると言われて居ました私に貴殿方護衛騎士は、王を守る護衛として選ばれたのですから……」
シェル王子はエリック騎士の手を握り締め謝罪をして、エリック騎士はシェル王子を見た後口を開いた。
「わたくしはシェル様の護衛騎士です。シェル様が王位を継ぐ継ぐわない事に関しては、わたくしはただシェル様を御守りする事だけを託された迄です。わたくしはこの先もシェル様を御守りする護衛騎士です。」
「エリック……有り難う御座います、この事はまだ貴方の胸の内にしまっておいてくれますか?」
「はい、シェル様…仰せのままに……」








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

処理中です...