兄たちが弟を可愛がりすぎです

今日は笑顔と睨まれる日でした

（ああっ……ウィル王子が私に手を振って下さった、笑顔が眩しいくらい天使の御方です。ずっと私の顔を見ていたのですが何処かおかしな所があったのでしょうか？ウィル王子眩しいです！眩しい程の笑顔を今シェル騎士団長に向けています……ああっ…羨ましい、その満面な笑みを私に向けてくれたら……どうしたのだろうモヤモヤとした感じが消えません…）
はぁ……とレオン騎士はため息を吐いてシェル王子とウィル王子の姿を見ていた。
コンコン…と扉を叩く音が聞こえメイドのマリアが顔拭き用の容器をワゴンの上に乗せ部屋の中に入りマリアは一人の騎士を見て驚いた顔を見せていた。
以前大量の敷き布団を持って手伝いをしたトーマス騎士が部屋の中に居る事に驚いていた。
「もうそんな時間に成るのですか、私達もそろそろ戻らなくては行きませんね」
シェル王子が部屋を出ますと言った時にトーマス騎士がシェル王子に話しをする許可を貰っていた。
「シェル騎士団長少しの間カイザック副団長との会話をしても宜しいでしょうか？」
「ん？何だ、俺に用なのか？」
シェル王子はトーマス騎士がザック兄と話しがあると聞きもしかしてとシェル王子はトーマス騎士に話しの許可を出していた。
「…トーマス騎士、副団長に御話しとは山の事でしょうか？」
「山？」
ザック兄は「何だ？」と言った後トーマス騎士がビシッ！っと姿勢を正しザック兄に敬礼を始めていた。
「自分は、カイザック副団長を尊敬致しております、自分が入団致しました時カイザック副団長から剣の指導を受けまして、大きな声で剣稽古をする事を学び、いずれはカイザック副団長の隣で大声を極めたいと思っております。
自分はまだ未熟さが在りますので、カイザック副団長と声を出し合う剣稽古を御願い申したいと思い、声を掛けさせて頂きました！」
ガタン！「きゃっ！？」と声をあげたメイドのマリアは突然トーマス騎士の大声でワゴンに足を躓き俺は大声を出して来たトーマス騎士にも驚きメイドのマリアにも驚いた。
「マリアさん大丈夫ですか？」
「…大丈夫ですウィル様、声に驚きまして躓いただけですわ」
「おおっ！」と驚いたザック兄は笑顔を見せ自分の他にも声が大きい騎士に会えて喜んでいるようにも見えていた。
ビシッ！と大声で自分の気持ちをザック兄に打ち上げたトーマス騎士に「ええっ？！」と隣で驚いているレオン騎士と眉間にシワを寄せるシェル王子がいて、「うおっ！？」「何だ！？」と廊下で護衛を始めていた見習い騎士二人が驚く声を出していた。
「ガハハハ、嬉しいぞトーマス騎士だが今は声を抑えた方が良いぞ夜でもあり、この部屋はウィル王子が居るんだ。
まだ体調も本調子ではないウィル王子の身体を気にかけてくれ、一週間ウィル王子の護衛を任されたのなら今はウィル王子を守る事に専念して欲しい、護衛が終わればいつでも相手になってやるぞトーマス騎士」
「はっ！申し訳御座いません、シェル騎士団長、カイザック副団長…」
トーマス騎士はザック兄に頭を下げそしてシェル王子にも頭を下げ大声を出していた事に謝罪をしていた。
そしてツカツカと俺のベッドの側に来てトーマス騎士は俺にも謝罪をしていた。
「ウィル王子申し訳御座いません、今後気をつけますので明日からのウィル王子の護衛をお任せ下さいますよう御願い申し上げます」
「あ…はい、有り難う御座います、僕からも宜しくお願いしますトーマスさん」
ニコッと俺は笑顔で応えトーマス騎士もニコッと笑顔で返してくれた。
俺はトーマス騎士が笑う顔を初めて見てこの人笑った顔が似合うんだなと思い声を掛けた。
「トーマスさん大声も良いですが、笑う顔も素敵ですよ」
ニコッと俺は笑顔でトーマス騎士に話し終えるとトーマス騎士が手を口元に当て顔が真っ赤に成っていた。
「えっ？…あ、ごめんなさい気にして居たのでしたら謝ります」
「……いえ、初めて言われました事で…気にしないで下さい」
ニコッとまたトーマス騎士が笑顔で応えてくれて、俺も笑顔で返そうとした時二人の視線に目がいってしまった。
寂しそうな目で俺を見るレオン騎士と何か言いたげなシェル王子に目が合ってしまい俺は首をかしげて二人を見ていた。
何かを感じたメイドのマリアがシェル王子に話し掛けていた。
「シェル様、ウィル様の支度が御座いますので宜しいでしょうか？」
「え、ああっ、そうだね私達も戻る事にしょう……ウィルまた話しをしましょう」
「えっ？はい……」
「ウィル王子御話しが出来まして嬉しく思いました、明日からの護衛宜しく御願い致します」
「あっ、はい、僕もトーマスさんとお話しが出来て良かったです」
お互いに笑顔で話し終えトーマス騎士が離れた時にレオン騎士が俺の側に寄り元気が無いように見えた。
「レオンさんどうしたのですか？何処か具合でも……」
俺は黙って立っているレオン騎士の手を握り締めるとレオン騎士が「えっ？」と声を出し俺の顔を見ると頬を染めそしてニコッとレオンさんが微笑み話し出していた。
「だ、大丈夫ですウィル王子申し訳御座いません少し考え事をしてしまい、今は大丈夫で御座います。明日からウィル王子の護衛が出来まして嬉しく思います」
キュッ…と握り締めていた手に握り返し笑顔で部屋を後にした。
「ウィルまた後でな、今夜から新しい護衛だが何かある時は彼等に言うんだぞ」
「はい、ザック兄様有り難う御座います」
ニカッとザック兄が笑い部屋を出て行った。
部屋の中では俺とマリアと二人に成り急に静に成ってしまいもうすぐ就寝何だと思っていた。
メイドのマリアが俺に顔を拭くタオルを渡し、マリアが「心の準備をしていた方が宜しいですわ、ウィル様」「は？」マリアは俺に話しをした後「ふふふっ」と不敵な笑みを見せ「お休みなさいませウィル様」と挨拶をした後部屋を出て行った。
「何だ？さっきから皆変だぞ？」
俺は濡れたタオルを手に持ち今日は大変な一日だったなと考えいつの間にか眠りに着いていた。