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シェル王子の焦る気持ち

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「おーい、ちょっと休憩だ!」
カイザックの呼び声に安堵する騎士達が多くいた。
シェル王子は建物の壁に背を向け腰を落とし顔を伏せている状態で、シェル王子の側でドカッと座る弟カイザックを横目でチラッと見ていた。
「…カイ私はそんなにイライラとしていたのですか?」
自分の事も分からない位なのか?とカイザックはシェル王子の顔を見て、こんなにイライラとした兄を見たのはウィルの護衛騎士を決める時以来だな…と、いっも冷静に物事を判断する兄をこんなに落ち着きが無くなる程に差せている弟を凄いとカイザックは兄のシェル王子を見て思っていた。
「今日の事は俺もウィルのメイドから聞いて初めて知った。父上がジル兄に休みを取るように言ったんだよな、それで何故かウィルと一緒に庭園に行く事になった…」
「父上はウィルにフィンのドレスを着て出かけたのです。父上も何を考えているのか…」
はぁ…と、ため息をはき未だに連絡が来ないニック・ライナスにも落ち着きがなかった。
シェル王子とカイザック王子が話をしている頃闘技場の入り口辺りから今まで騎士達の声が聞こえいたのが急に静かになり騎士達の異変に気付いたシェル王子とカイザック王子は闘技場の入り口を見た。
入り口の奥から複数の足音が聞こえ黒の騎士服に黒のマントを靡かせて歩いて来る騎士達がいた。
ベルスタ王国の第二王子ジル・ライ・スケル・ベルスタもう一つの名は王の護衛騎士を務める総隊長がシェル王子とカイザック王子の元に歩いて来た。
突然ジル王子が現れた為シェル王子は驚いたが、ジル王子が戻って来たという事はウィル…春人が戻って来た事になる。
ジル王子が戻って来た為肩の荷が降りたような気がしてホッと小さく息をはいた。
ジル王子はシェル王子達の側に来ると礼をした後報告をしていた
「兄上今日城を空けましたことを御許しください父上からの突然の申し出では御座いましたが、弟のウィルと一緒に出掛ける事ができ、昔失なっていた頃を取り戻す事が出来たように思います」
ジル王子のあの、人を寄せ付けない雰囲気が消え、何処かスッキリとした表情を見せているジル王子を見て、何かを見つけたのだろうかと、シェル王子とカイザック王子はいつもの雰囲気が取れたジル王子を見て驚きが隠せなかった
「ウィルは護衛騎士に託して来ました。部屋に戻っていると思います。」
「ウィルならまだ戻っていないとメイドが言っていたが…」
「「え?」」
カイザックの言葉にシェル王子とジル王子の声が珍しく重なっていた。
「な……二人とも恐い顔で俺に睨むなよ…ここに来る前にウィルの部屋に行ったんだ、部屋にはウィルのメイドだけで、出掛けてからまだ戻って居ないと言って……」
カイザックの話の途中でシェル王子がいきなり立ち上がり…
「カイ、今日の訓練貴方に任せます」
と、カイザックにお願いをしたシェル王子は走り出し闘技場を後にした……突然のシェル王子にジル王子とカイザック王子は通りすぎた姿を見ていた。そしてジル王子はシェル王子に何かを感じたのか…「簡単には手離しはしない……」と、カイザックはジル王子が何かを言っていたようだが…と、ジル王子には聞き出す勇気が無く突然走り出したシェル王子にウィルに対して過保護だなぁと、闘技場の入り口を走り去ったシェル王子を眺めていた。






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