捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

散歩②

ソフィアとアルフォンス皇子の側にアレックが二人の側を歩き、手を繋いでいるのを見たアレックは茫然としていた。
「おはようございます。アレック兄さん」
「え、ああ…おはようございます…」
アレックはアルフォンス皇子からの挨拶を受けソフィアへと顔を向けた。
「…おはようございます皇女様…名前でお呼びしても宜しいですか？」
「え！？あ…はい…お、おはようございます…」
（なんだか、変な気分だわ…さっきまで旦那様と一緒にいたなんて…）
笑顔を見せるアレックにソフィアは目を逸らしていた。
「勝手に庭を散歩しています。沢山の花の種類に驚いていましたこの花は奥様が好きな花だったのですか？」
「えっ、ああ…私の母が好きだったのでほとんどは母の花を植えています…」
苦笑いと気まずいアレックは庭に咲いている花のほとんどはエミリーが好きな花が多かった。
玄関の側へと続く道にはソフィアの好きな白い花を植え、屋敷の裏に咲く庭の花はエミリーが好きな花が咲いていた。
（あの子を宥める為に植えた花がこんなにあったなんて…温室を造らない代わりにここにある花を植えたのよね…）
ソフィアは庭園に続く道を見て苦痛を感じていた。
（…この道の途中で旦那様とエミリーの会話を聞いたんだわ…）
じっと庭園に続く道を見ているソフィアを見ていたアレックはエミリーと会話をしていたと聞いた時当時何を話していたのか…思い出すだけでも妻のソフィアに申し訳ない事ばかりが思い出された…
「……温室は無いのですか？」
「え！？」
アレックは急に温室の話をするソフィアに顔を向け、エミリーに温室を造る話を思い出した。
「…いえ、温室はありません…」
「そうですか…」
（私がいなくなって温室を造ったのだと思ったわ…エミリーが温室が駄目になったのは、半分私のせいだと泣きながら話していたから…）
「ソフィー、どうして温室の話をしたんだい？」
「え…あ…城にも温室があるからここにもあるのかなって思ったの」
「そうだね…こんなに沢山の花なら庭園だけでは足らないだろうね…」
「……庭園に行きますか？」
「え！？」
私は庭園に誘う旦那様を思わず声に出して驚いてしまった。