171 / 190
散歩
しおりを挟む
「ソフィー、おはよう!何処に行っていたんだい?」
「あ…おはようございますアルお兄様、汚れたタオルを洗いに行っていたの、まだ、おやすみだと思ったけど…」
アルフォンス皇子は、護衛騎士のアルフレッドを連れてソフィアとメイドの側に立ちメイドは、側にいるアルフォンス皇子を見て頬を染めていた。
「おはようございます。アルフレッドさん、眠れましたか?」
「…おはようございます…皇女殿下」
「私の事はソフィアと名前で呼んでくださいと言いましたが」
「ですが…」
じっと見るソフィアにアルフレッドは困った顔をしていた。
「ははは、彼が呼びやすい名前でいいと思うよ」
「…では…ソフィア様…昨夜は、先にお休みをいたしまして申し訳御座いません」
「良く眠れましたか?」
「…はい…」
「良かったです」
笑顔を見せるソフィアに兄のアルフォンス皇子は手を差し出した。
「今から、朝の散歩に行かないかい?」
「散歩!?」
(でも…庭園には行けないはず…)
「…勝手に散歩に行っては駄目では…」
「庭園に行かなければいいだろう?ねぇ、君…」
「え!?わ、私!?」
突然アルフォンス皇子から声をかけられたメイドは驚いて戸惑っていた。
「周りの庭を歩いて良いかな?」
「あ、は、はい…お庭でしたら…」
「ありがとう」
メイドに笑みを見せるアルフォンス皇子に頬を染め、ソフィアはアルフォンス皇子と一緒に散歩をする事になった。
二人の後ろ姿を見ていたメイドは護衛騎士のアルフレッドにボソッと声に出した。
「…本当にご兄妹なのか…疑うほどお似合いのお二人に見えます…」
「……」
手を繋いで歩くソフィアは兄妹でも恥ずかしく思っていた。
(…小さい頃から何処に行く時でもアルフォンス皇子様の手を握って歩いていたわ…大人になっても変わらず手を繋いで…昔の私は旦那様の元へ嫁いでも一緒にこの道を歩く事はなかった…)
「この道の花は沢山植えているから亡くなった夫人が好きだったのかな?」
「……」
(…エミリーが好きだった花もあるわ…旦那様もあの子には甘いから…)
「城にある花より多いよね…花畑を歩いているみたいだよ」
「ジェラお兄様がこの場にいたら走り回っていそう」
「ははは、確かに」
カサッと二人の側を歩く足音が聞こえ、ソフィアが振り向くとアレックが茫然とした顔をして立っていた。
「あ…おはようございますアルお兄様、汚れたタオルを洗いに行っていたの、まだ、おやすみだと思ったけど…」
アルフォンス皇子は、護衛騎士のアルフレッドを連れてソフィアとメイドの側に立ちメイドは、側にいるアルフォンス皇子を見て頬を染めていた。
「おはようございます。アルフレッドさん、眠れましたか?」
「…おはようございます…皇女殿下」
「私の事はソフィアと名前で呼んでくださいと言いましたが」
「ですが…」
じっと見るソフィアにアルフレッドは困った顔をしていた。
「ははは、彼が呼びやすい名前でいいと思うよ」
「…では…ソフィア様…昨夜は、先にお休みをいたしまして申し訳御座いません」
「良く眠れましたか?」
「…はい…」
「良かったです」
笑顔を見せるソフィアに兄のアルフォンス皇子は手を差し出した。
「今から、朝の散歩に行かないかい?」
「散歩!?」
(でも…庭園には行けないはず…)
「…勝手に散歩に行っては駄目では…」
「庭園に行かなければいいだろう?ねぇ、君…」
「え!?わ、私!?」
突然アルフォンス皇子から声をかけられたメイドは驚いて戸惑っていた。
「周りの庭を歩いて良いかな?」
「あ、は、はい…お庭でしたら…」
「ありがとう」
メイドに笑みを見せるアルフォンス皇子に頬を染め、ソフィアはアルフォンス皇子と一緒に散歩をする事になった。
二人の後ろ姿を見ていたメイドは護衛騎士のアルフレッドにボソッと声に出した。
「…本当にご兄妹なのか…疑うほどお似合いのお二人に見えます…」
「……」
手を繋いで歩くソフィアは兄妹でも恥ずかしく思っていた。
(…小さい頃から何処に行く時でもアルフォンス皇子様の手を握って歩いていたわ…大人になっても変わらず手を繋いで…昔の私は旦那様の元へ嫁いでも一緒にこの道を歩く事はなかった…)
「この道の花は沢山植えているから亡くなった夫人が好きだったのかな?」
「……」
(…エミリーが好きだった花もあるわ…旦那様もあの子には甘いから…)
「城にある花より多いよね…花畑を歩いているみたいだよ」
「ジェラお兄様がこの場にいたら走り回っていそう」
「ははは、確かに」
カサッと二人の側を歩く足音が聞こえ、ソフィアが振り向くとアレックが茫然とした顔をして立っていた。
1,928
お気に入りに追加
7,851
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
ひとりぼっち令嬢は正しく生きたい~婚約者様、その罪悪感は不要です~
参谷しのぶ
恋愛
十七歳の伯爵令嬢アイシアと、公爵令息で王女の護衛官でもある十九歳のランダルが婚約したのは三年前。月に一度のお茶会は婚約時に交わされた約束事だが、ランダルはエイドリアナ王女の護衛という仕事が忙しいらしく、ドタキャンや遅刻や途中退席は数知れず。先代国王の娘であるエイドリアナ王女は、現国王夫妻から虐げられているらしい。
二人が久しぶりにまともに顔を合わせたお茶会で、ランダルの口から出た言葉は「誰よりも大切なエイドリアナ王女の、十七歳のデビュタントのために君の宝石を貸してほしい」で──。
アイシアはじっとランダル様を見つめる。
「忘れていらっしゃるようなので申し上げますけれど」
「何だ?」
「私も、エイドリアナ王女殿下と同じ十七歳なんです」
「は?」
「ですから、私もデビュタントなんです。フォレット伯爵家のジュエリーセットをお貸しすることは構わないにしても、大舞踏会でランダル様がエスコートしてくださらないと私、ひとりぼっちなんですけど」
婚約者にデビュタントのエスコートをしてもらえないという辛すぎる現実。
傷ついたアイシアは『ランダルと婚約した理由』を思い出した。三年前に両親と弟がいっぺんに亡くなり唯一の相続人となった自分が、国中の『ろくでなし』からロックオンされたことを。領民のことを思えばランダルが一番マシだったことを。
「婚約者として正しく扱ってほしいなんて、欲張りになっていた自分が恥ずかしい!」
初心に返ったアイシアは、立派にひとりぼっちのデビュタントを乗り切ろうと心に誓う。それどころか、エイドリアナ王女のデビュタントを成功させるため、全力でランダルを支援し始めて──。
(あれ? ランダル様が罪悪感に駆られているように見えるのは、私の気のせいよね?)
★小説家になろう様にも投稿しました★
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。
MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。
記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。
旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。
屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。
旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。
記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ?
それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…?
小説家になろう様に掲載済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる