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皇女ソフィア十六歳

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ソフィア・ラテナ・アルテシアは今年十六歳になるどこにでもいる普通の女の子だ。
少し違うと言えば、この国アルテシア帝国の末の娘として生まれ前世の記憶をそのまま持って生まれた。
前世の記憶は悲惨な出来事で自らこの世を去った…ソフィア・ルモアとして生きていた。
二十歳の若さで亡くなったソフィア・ルモアは結婚はしたが夫のアレック侯爵はソフィアには振り向かず、姉に会いに来た妹のエミリーの甘える姿に心を奪われ夜を供に過ごし、妹のエミリーが屋敷に来て数ヵ月、夫アレックから呼び出され衝撃を受けた。
「急で悪いが…俺と離婚して欲しい…君の妹が俺の子を身籠った…」
パルリス家に嫁いで、夫婦の関係も無く白い結婚で終わってしまったソフィアは、生きる希望が無くなり夫アレックとの子供を授かる事もなく、替わりに妹が夫の子供を身籠った…
ソフィアは自ら命を立ちこの世を去ったと思ったが、またこの世で生まれ今度は皇帝の娘として生まれ、誕生して十六年になった。
「ソフィー、朝だよお寝坊さん」
「…ん~…もう少し…」
「仕方ないな~っ、僕も一緒に寝てもいいかな?」
「え!?」
パチッと目が覚めたソフィアは、ベッドの側にいる兄アルフォンス皇子の見下ろす顔を見て目を見開いていた。
「おはよう、ソフィー」
「お、おはようございます…アルお兄様…」
ソフィアは兄達の呼び名を考え、アルフォンス皇子にはアルと呼びジェラルド皇子にはジェラと呼ぶようになった。
「アルお兄様、また私の部屋に入ったのですか?」
「うん、ソフィーが起きて来ないから呼びに部屋に入ったんだ」
「……」
「嫌だったかな?」
ソフィアの伸ばした銀色の髪の毛を一房手に取りキスを髪の毛にするのは相変わらずの兄アルフォンス皇子…
「…嫌ではありませんが…驚いてしまうので…それに、私も十六になりましたから…」
ソフィアの髪の毛に口づけをしたままじって見る金色の目は、陛下にそっくりで余り見て欲しくないソフィアは、目を逸らしていた。
「そうだったね…ソフィーはもう十六歳だったね」
銀色の髪の毛を離したアルフォンス皇子は、ベッドの上に座るソフィアの額にキスをして笑みを見せていた。
「……ぅ」
「クスッ、挨拶のキスは今でも馴れないね」
「は、恥ずかしくて…」
頬を染めるソフィアは、赤ちゃんだった頃から皆のキスを貰うのが今も苦手だった。
ソフィア・ルモアとして生きていた頃は両親からのキスの挨拶はなかった。妹のエミリーにはキスの挨拶は両親がしているのを見た事があったが、欲しいとは思っていなかった。
「僕が部屋に来ないように、ソフィーが起きないと駄目だからね」
「う…努力します…」
「うん、僕は食事部屋に行くから遅れないように」
「はい…有り難う御座います…」
部屋を出たアルフォンス皇子を見てため息をはくソフィアだった。








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