捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

歩く練習をします

タタタタ…子供が廊下を走る音がした。
「ソフィー、起きてる？」
「にぃ！」
「ソフィー、ジェラにぃだよ～っ」
二人の皇子が今日も妹の部屋にやってきた。
「にぃ！にぃ！」
（今日も二人の皇子様は元気ね）
皇女ソフィアは、言葉を覚え始め最初に出た言葉はソフィアの夫アレックに『旦那様』と声を出そうとした時「さま」だけが声が出たのをアルフォンス皇子が「ま」だけが聞こえたと言ったためそれを聞いた陛下が暫く落ち込んだらしい…
「にぃにぃだよソフィー」
頬を寄せ合う仕草は相変わらずで、気持ちいいのと恥ずかしさで毎日の日課になっていた。
「今日は歩く練習をするんだよ」
「あう？」
（歩く練習？何かにつかまってこの前は歩いたけれど…）
物につかまり歩く事が出来た皇女ソフィアを見ていた陛下が、手を繋いで一緒に歩く練習をしょうと言い出したようだ。
「お、今日も私の娘は可愛いいな」
笑顔で部屋に入って来た陛下は、白のシャツと黒いズボン姿の軽装で、子供達の側に歩いてくると皇子達の頭を撫でて笑顔を見せていた。
「お父様、僕もソフィーの手を繋いで練習ができますか？」
「そうだな、今日は父様、明日はアルフォンス皇子でどうだい？」
「僕は明日ですか？」
「ジェラは？」
「え？ジェラルドもしたいのか？」
「うん、ジェラもソフィーを手伝う」
「そうか、そうか、じゃあジェラルド皇子は三番目にしょう」
親子のほのぼのとした光景を見ていたソフィアは、『良いな』と心の中で思っていた。
「ソフィア、パパだよ～っ、言ってごらん」
「……」
（最近の陛下は私を見るたびに『パパ』と呼ばせようとしているんだけど…仕方ないわね…）
皇女ソフィアは笑顔を向け陛下に声を出した。
「…パ…パ…？」
「ん？ソフィアどうして最後は首を傾げているんだ？」
「う？」
首を傾げて見ていた陛下と同じように首を傾げる娘を見て、陛下の満面の笑みを見たソフィアはゾワッと鳥肌が立ち、ひょいっと持ち上げた陛下は、ソフィアを抱っこして頬を寄せすりすりと頬を合わせてソフィアは驚いていた。
（きゃ～っ、へ、陛下、か、顔が…頬を寄せないで～～…い、痛い？チクチクするのは、陛下の髭？！）
抵抗できないソフィアは、陛下の小さな髭が頬にあたり赤ちゃんの頃から髭の痛みを知った。