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前を向いて…

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愛した人が離れて行ってしまったエミリーは、人が変わったようだと屋敷のメイドと使用人達が噂をしていた。
コンコン!
「エミリーお嬢様お呼びでしょうか?」
メイド六人がエミリーの部屋に入ってきた。
メイドと使用人達に支払う給料が難しくなったルモア家は、以前よりも給料が安くなっても屋敷に残りたい者達を残し、今では数十人となってしまった。
「好きな洋服を選んで」
「え?!」
メイド達はベッドの上に広げて置かれた服を見て、エミリーから服をあげると聞き驚いていた。
「お、お嬢様?洋服を選んでとは…」
「お給料が減ったと聞いて、もし良かったら私の服を貰って欲しいの…それで、お金に換えてもいいし、自分で着てもいいし…あ、サイズは合うのかどうかはわからないけど」
笑みを見せるエミリーを見て、メイド達はお互い顔を見て本当にあのエミリー様本人なのかと疑うほどだった。
「…ですが、私達がいただいたらエミリー様のお洋服がありません…」
「私の事は気にしないで、お出掛けするのはあまりないから…私の分は取ってあるから気にしないで」
!!それならと、メイド達はベッドの上に広げた服を選び笑顔を見せていた。
その話しは両親にも耳に入り夕食の時、エミリーに尋ねていた。
「エミリー、メイド達に自分の服をあげたそうだな…」
「ええ、もう着る事がない服ばかりだったからメイド達にあげたの、ダメだった?」
「いや…お前の服だ好きなようにしたらいい…」
「ありがとう、お父様。皆喜んでくれたの…私も嬉しかったわ」
「…そうか」
父親はエミリーを見て笑みを見せていた。
「お父様、私の物は売ってもいいから…ソフィアお姉様の物を売るのは暫く待って欲しいの」
「エミリー…お前…」
「急にどうしたの?貴女の物はお気に入りの物ばかりでしょう…それを売るなんて…」
「私だって、家族の支えになりたいの…それに、今の私はお出掛けする事がないから」
「エミリー…分かった…お前の好意に甘えよう」
父親は目に涙を溜め頷いていた。
「本当にいいの?」
「ええ…あ、話しはかわるけれど…明日教会に行ってもいい?」
「教会?お祈りなら先週行ったはずだが…」
「…ううん、違うの…明日はポールの結婚式だから…」
「「!!」」
両親は驚いてエミリーを見ていた。







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