捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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ルモア家との別れ②

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屋敷へ戻ったアレックはメイドにエミリーの荷物を纏める指示を出した。
「ねえ、エミリー様の荷物を全部と言われたけれどエミリー様…荷物なんて持って来てなかったと思ったけど…」
「そうよね…お出掛けようのバッグだけだったと思うわ…」
「でも、部屋の中は洋服だけでも五十着はあるわよ…それにドレスが十着に靴にアクセサリーに宝石…これ、全部旦那様が…!?」
三人のメイド達は茫然としていた。
「奥様には?」
「…奥様の部屋は見たけれど…ご実家からのご自分の物ばかりだったと思うわ…旦那様からは…ドレスが一着だけだったかしら…」
「ドレスはあの…奥様がハサミで切った…」
グスッ、グスッ…一人のメイドが泣き出していた。
「旦那様…酷いわ…何も奥様をここまで…」
「…旦那様もエミリーさんが甘えて来るのを拒む所を見た事がなかったわ…」
「でも、エミリーさん婚約者がいたんでしょう?」
「「え?!」」
二人のメイドは驚き一人のメイドに問いかけていた。
「え…嘘…」
「それ本当?」
「ええ、奥様のお父様が凄い剣幕で旦那様に話していたから」
「…じゃあ、お腹の子は…?」
「……旦那様の子供ではないのかもしれない…」
「そんな…そしたら奥様は…死ななくても…」
「「……」」
三人のメイド達は、エミリーのお腹の子供はもしかしたらと話しソフィアは死ななくてもよかったのにと話をするメイドもいた。
その頃アレックは…自分の部屋で椅子に座り附せっていた。
コンコン!
「失礼いたします…旦那様エミリー様のお荷物にお話が…」
「…どうした?」
「大変申しにくいのですが…エミリー様のご実家へ送ります荷物がありません…」
「……そんなはずはないが、服や靴などあるだろう?」
アレックはエミリーの荷物がないと聞き、何ヵ月も屋敷に泊まっていたのに実家からの物が無いとはおかしいとメイドに話した。
「…旦那様がエミリー様に贈りました物ばかりです」
「!!」
「ご確認なさいますか?」
「ああ、そうだな…」
アレックは自分で見た方がいいと思いエミリーに用意した部屋へと向かった。
エミリーの部屋を見たアレックは、自分がエミリーと一緒に買い物に行った時の見覚えのある物ばかりだった…
「……」
メイド達三人はお互いの顔を見てアレックの方へと顔を向けた。
「……妻のソフィアに私が贈り物をした物はあるのか?」
アレックは実家から持って来た物と言わず、自分が妻に何か贈り物をした物とメイド達に尋ねていた。
「……旦那様が披露宴にへと贈られましたドレスだと思いますが…ご確認なさいますか?」
「ああ…」
アレックは、自分の目で妻に何か贈り物をしているかもしれないと思ったが、メイドの言うように実家からの持ち物と見覚えのある同じ服以外、自分が妻に贈ったのは切り刻まれたドレスが一着手元に残るだけだった。







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