捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

二人の問題

アレックとエミリーはメイドの案内で客室へ通された。
「お待たせしてすみません…」
「…今日は娘の葬儀を任せてすまなかった…君には申し訳ない事ばかりだったな…すまなかった…」
父親はアレックに頭を下げ今日の事を謝った。
「…私に頭を下げないでください…私は過ちをおかしてしまったのですから…」
アレックは、両親に頭を下げソフィアを最後まで妻として一緒にいる事が出来なかった事に悔やんでいた。
「アレック様立ったままでお話はやめて、座りましょう」
エミリーはアレックの手を取りソファーに座るように声をかけた。
両親はエミリーを見てため息をはくしかなかった。
「…君が座ればいい…」
「アレック様と一緒に座りましょう」
「……」
アレックはため息をはきエミリーに声をかけた。
「君は姉が亡くなり悲しくないのか？」
「え…もちろん悲しいわ、でも、悲しんでばかりではダメでしょう？これから忙しくなるもの…」
エミリーはアレックを見上げ頬を染めていた。
「…これから謝罪に行かなくてはならない事で忙しいのか、それとも侯爵夫人として私の仕事で忙しいのか…」
「…侯爵夫人…」
エミリーは、アレックが妻として認めてくれたんだと笑顔を向けると険しい顔で見るアレックに驚いた。
「……君を侯爵夫人と迎えるが、式は挙げないつもりだ」
「え！？」
エミリーは結婚式を挙げないと聞き驚き声をあげていた。
「ど、どうして式を挙げないの？私は式を挙げたいの…ねぇ、アレック様…」
両手を合わせてお願いするエミリー…
「はぁ…その癖は直すようにするんだ…それから、明日コルベール伯爵家に行く、そのつもりで明日の準備をするんだ。」
「え…明日…」
エミリーはポールに明日謝罪に向かうと聞き戸惑っていた。
「ポールに今日お話をしたのに…何故明日またポールの屋敷へ…」
「謝罪は早い方がいい」
「でも、赤ちゃんに悪いわ…次の日が…」
ガシッと側にいるエミリーの腕を掴んだアレックは、険しい顔でエミリーを見下ろしていた。
「君が犯した罪を謝罪に行くんだ。それができないのなら俺の妻になる資格はない…どうする？謝罪に俺と一緒に行くのか行かないのか？」
「……」
アレックを見て震えるエミリーは、頷き明日ポールの屋敷へ行き謝罪をするとアレックに約束をした。
握りしめたエミリーの腕を放したアレックは両親へと顔を向けた
「明日、エミリーさんを迎えに来ます」
「あ、ああ…」
「お、お父様達は一緒に来てくれないの？」
エミリーはすがるような目で両親を見ていた。
「…いつまでも、私達を頼ってどうする、お前ももうすぐ母親になるんだ。これからは夫婦で向き合わなくてはならない、明日はお前達二人でポール君そしてご両親に謝罪をするように」
「お母様！？」
「これはあなた達の問題よ」
「そんな…」
「…私は、これで失礼します」
「え！？帰るの？」
「……仕事が残っているんだ」
「私も一緒に…」
「…忙しいと言ったのが聞こえなかったのか？」
「ど、どうしてそんなに怒っているの？いつもは優しかったのに…」
「…医師帰るぞ」
「は、はい…」
「アレック様？！」
急に名前を呼ばれた医師は慌て出し、エミリーに何も言わずにアレックは医師と一緒に屋敷へと帰った。