捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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エミリーの婚約者

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「エミリー!?」
「!?ポ…ポール?…どうして貴方がここに……」
エミリーは、ポールがいるとは思わず真っ青な顔になり隣にいる母親の腕を握りしめていた。
ポール・コルベール、伯爵家の嫡男として生まれエミリーとは一歳年上の今年二十歳になる青年。
エミリーと年が近いともあり、縁談の話があった。
エミリーは姉の夫が忘れる事ができず、ポールとの縁談を断っていた。
「嫌よ!知らない人の所へ嫁ぐなんて」
エミリーは、両親にポールとの縁談を断るように両親に話をしていた。
「会うだけでもいい、一度会ってはみないか?」
「……」
「ソフィアもアレックさんとは初めて会ったのよ。ポール様は貴女と年は近いし、お優しい方だと聞いたわ」
「……」
両親はエミリーを見て返事を待っていた。頬を膨らませながらも悩んでいたエミリーは、「一度だけ会うだけなら…」と両親にポールと会う約束をした。
「君が、エミリーさん?」
「は、はい」
笑顔を見せるポールにエミリーは頬を染めて、二人は婚約者へとなった。
街へ一緒にでかけるようにもなった。
「可愛いい…良いな~っ」
「買ってあげるよ」
「え、本当!?ありがとう」
ポールはエミリーの喜ぶ姿が好きで良くエミリーに贈り物をしていた。
そして、エミリーとポールは一緒に過ごしエミリーの初めての相手となった。
「大切にするよ…エミリー」
「ありがとうポール…なんだか恥ずかしい」
結婚式まで半年となったポールとエミリーは、お互いやり残した事を終わらせようと話し合い、時々会う約束をしていた。
「姉!?エミリーにお姉さんがいたのかい?」
「うん、話してなかったかな?」
「聞いたような…その、お姉さんの嫁いでいる侯爵の屋敷へ行くのかい?」
「うん、お姉様とは結婚式以来会っていないの…行ってもいいかな…」
「ああ、お姉さんに久しぶりに会うなら僕に遠慮しないでいいよ」
「ありがとう、ポール」
エミリーは、ポールにキスをして姉のソフィアに会いに行くことになった。
最初はアレックの屋敷へ行きポールと会う日もあった。
「え、お姉さんが病気!?」
「…うん…あまり食事をしていなくて…心配だからお姉様の所で暫く泊まりたいと思っているの…ポールに会えない日が続くと思うけど…でも一月に数回会いに行くから…ダメかな…」
「……」
両手を合わせてお願いするエミリーにポールは「お姉さんが病気なら仕方ないよ」とポールは泊まる事を許した。
エミリーと会えない日が続き、結婚式の日も近づきポールはエミリーが屋敷へ帰っていないか両親に会いに行った。
「いや、エミリーは帰ってはいないんだ…姉の側が良いのは分かるが…婚約者のポール君と会わないのは…あの子にも困ったもんだ」
「あ、いえ、気にしないでください…帰って来ましたら連絡ください」
「ああ、すまない」
エミリーの屋敷へ行った数日後、ポールの屋敷へエミリーが遊びに来ていた。
「エミリー!?」
「ポール、ごめんなさい…中々会いに行けなくて…」
笑顔を見せるエミリーにポールは抱きしめた。
「会いたかった…」
「うん…私も…暫くは一緒にいる事ができるから」
「お姉さんの具合は?」
「うん、心配しなくていいからと言われたの」
「そうか…」
「でも、またお泊まりに行くと思うからごめんなさい…」
「いいよ…今は一緒にいてくれるなら」
エミリーとポールは夜を一緒に過ごす日が続き、またエミリーは姉のいる…アレックが待っている屋敷へと帰り、あの日の出来事がおこってしまった。








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