6 / 6
前世と今世⑥~アルフレッド王子~
しおりを挟む
「シェリル、アルフレッド王子に挨拶を…」
ゴックンと、食事をしていたカルロスの妹シェリル嬢が、手に持っていた料理を乗せたお皿とフォークをテーブルの上に置くとテーブルから離れ、ドレスの両端を持ち上げレディーの挨拶をした。
「アルフレッド様、お誕生日おめでとうございます!素敵な披露宴と豪華な料理にお招きいただきありがとうございます」
「ん?」
と笑顔で首を傾げるアルフレッド王子は、シェリル嬢の素っ気ない態度に小さなため息を吐いた。
「相変わらずだな、シェリル嬢は」
「相変わらずとはどのような事ですか?」
「いや…私の姿を見て何も思わないのかと…」
「……素敵な衣装だと思いますわ」
「……ありがとう…」
はぁ…と息を吐くアルフレッド王子を見ていたカルロスはクスクスと笑っていた。
「アル、シェリーに聞くのは無理かと思うよ」
「俺も今思った…」
親友の口調に戻ったアルフレッド王子とカルロスは笑い、会話が弾みシェリル嬢はムッとしていた。
「お兄様、わたくしは思ったままお答えしたのに何故笑うのですか?」
「ははは、すまないシェリーが可愛くてつい、怒らないでくれシェリー」
笑顔を見せる兄カルロスにシェリル嬢は頬を染めていた。
「お兄様の笑顔は反則ですわ」
「はははは、そうかな」
「そうですわ。周りの令嬢達を見てください視線が痛いほど此方を見ていますわ」
「私では無くアルを見ているよ。今日の主役はアルフレッド王子だからね」
「俺がどうした?」
モグモグと食事をするアルフレッド王子にシェリル嬢が声を上げた。
「それは、わたくしの料理ですわ!何を勝手に食しているのですかーっ!?」
「いや、これは俺の料理長の作った料理だが」
「それは、わたくしの食べ残しです!新しいお皿があるでしょう!?」
「ははは、悪いシェリル嬢が乗せた料理が美味しそうだったからな~っ、はははは」
「はぁ…」
賑わうアルフレッド王子の側にメイドが料理を持ちアルフレッド王子の側へと声をかけた。
「アルフレッド様、お持ち致しました」
「おっ、来たか!ありがとう」
テーブルの上に一品の料理が置かれた。
「これは…珍しい形をしているね…」
「俺が作った食べ物だ」
「アルが作ったのかい?!」
「ああっ、親友の君達に食して欲しいと思って…味はまあまあだと思う」
「楽しみだな」
「……」
アルフレッド王子が作った料理は玉子焼きだった。
ゴックンと、食事をしていたカルロスの妹シェリル嬢が、手に持っていた料理を乗せたお皿とフォークをテーブルの上に置くとテーブルから離れ、ドレスの両端を持ち上げレディーの挨拶をした。
「アルフレッド様、お誕生日おめでとうございます!素敵な披露宴と豪華な料理にお招きいただきありがとうございます」
「ん?」
と笑顔で首を傾げるアルフレッド王子は、シェリル嬢の素っ気ない態度に小さなため息を吐いた。
「相変わらずだな、シェリル嬢は」
「相変わらずとはどのような事ですか?」
「いや…私の姿を見て何も思わないのかと…」
「……素敵な衣装だと思いますわ」
「……ありがとう…」
はぁ…と息を吐くアルフレッド王子を見ていたカルロスはクスクスと笑っていた。
「アル、シェリーに聞くのは無理かと思うよ」
「俺も今思った…」
親友の口調に戻ったアルフレッド王子とカルロスは笑い、会話が弾みシェリル嬢はムッとしていた。
「お兄様、わたくしは思ったままお答えしたのに何故笑うのですか?」
「ははは、すまないシェリーが可愛くてつい、怒らないでくれシェリー」
笑顔を見せる兄カルロスにシェリル嬢は頬を染めていた。
「お兄様の笑顔は反則ですわ」
「はははは、そうかな」
「そうですわ。周りの令嬢達を見てください視線が痛いほど此方を見ていますわ」
「私では無くアルを見ているよ。今日の主役はアルフレッド王子だからね」
「俺がどうした?」
モグモグと食事をするアルフレッド王子にシェリル嬢が声を上げた。
「それは、わたくしの料理ですわ!何を勝手に食しているのですかーっ!?」
「いや、これは俺の料理長の作った料理だが」
「それは、わたくしの食べ残しです!新しいお皿があるでしょう!?」
「ははは、悪いシェリル嬢が乗せた料理が美味しそうだったからな~っ、はははは」
「はぁ…」
賑わうアルフレッド王子の側にメイドが料理を持ちアルフレッド王子の側へと声をかけた。
「アルフレッド様、お持ち致しました」
「おっ、来たか!ありがとう」
テーブルの上に一品の料理が置かれた。
「これは…珍しい形をしているね…」
「俺が作った食べ物だ」
「アルが作ったのかい?!」
「ああっ、親友の君達に食して欲しいと思って…味はまあまあだと思う」
「楽しみだな」
「……」
アルフレッド王子が作った料理は玉子焼きだった。
72
お気に入りに追加
74
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
勘違いは程々に
蜜迦
恋愛
年に一度開催される、王国主催の馬上槍試合(トーナメント)。
大歓声の中、円形闘技場の中央で勝者の証であるトロフィーを受け取ったのは、精鋭揃いで名高い第一騎士団で副団長を務めるリアム・エズモンド。
トーナメントの優勝者は、褒美としてどんな願いもひとつだけ叶えてもらうことができる。
観客は皆、彼が今日かねてから恋仲にあった第二王女との結婚の許しを得るため、その権利を使うのではないかと噂していた。
歓声の中見つめ合うふたりに安堵のため息を漏らしたのは、リアムの婚約者フィオナだった。
(これでやっと、彼を解放してあげられる……)
わたしは不要だと、仰いましたね
ごろごろみかん。
恋愛
十七年、全てを擲って国民のため、国のために尽くしてきた。何ができるか、何が出来ないか。出来ないものを実現させるためにはどうすればいいのか。
試行錯誤しながらも政治に生きた彼女に突きつけられたのは「王太子妃に相応しくない」という婚約破棄の宣言だった。わたしに足りないものは何だったのだろう?
国のために全てを差し出した彼女に残されたものは何も無い。それなら、生きている意味も──
生きるよすがを失った彼女に声をかけたのは、悪名高い公爵子息。
「きみ、このままでいいの?このまま捨てられて終わりなんて、悔しくない?」
もちろん悔しい。
だけどそれ以上に、裏切られたショックの方が大きい。愛がなくても、信頼はあると思っていた。
「きみに足りないものを教えてあげようか」
男は笑った。
☆
国を変えたい、という気持ちは変わらない。
王太子妃の椅子が使えないのであれば、実力行使するしか──ありませんよね。
*以前掲載していたもののリメイク
くたばれ番
あいうえお
恋愛
17歳の少女「あかり」は突然異世界に召喚された上に、竜帝陛下の番認定されてしまう。
「元の世界に返して……!」あかりの悲痛な叫びは周りには届かない。
これはあかりが元の世界に帰ろうと精一杯頑張るお話。
────────────────────────
主人公は精神的に少し幼いところがございますが成長を楽しんでいただきたいです
不定期更新
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる