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39、王女は自分の感情に混乱する
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◇ ◇ ◇
カコン……。
キューの先で明後日の方向に逸れた球は、そのままコロコロと少し転がって、止まった。
(…………)
イーリアス様のいない間、使用人たちへの指示を出したり報告を受けたりしたら私の仕事は終わってしまう。
今日はビリヤードの練習をしているのだけど。
絶不調な原因は、昨夜のイーリアス様との話のせいだろう。
(あれだけ素敵な人だから女性から好意を向けられるだろうし、私よりも10年も長く生きているのだから、いろいろあるだろう、けど)
相手の女性は、何者なんだろう。
独身の貴族令嬢なら、親たちは何が何でも当主か長男と結婚させようとするから、貴族ではないのかな……。
(いえ、逆に、同い年ぐらいの貴族令嬢と結婚前提の恋仲だったけど、女性側の親が『次男は駄目だ』と言って別れさせたとか……そういうこともありうるわ)
以前ホメロス公爵家で働いていた使用人たちにも訊いてみた。
『……イーリアス坊ちゃんのお付き合いした女性ですか?
うーん……。
昔みたいなんで、良く知らないんですけど』
『古参の使用人が、10年ぐらい前にいたって言ってたような?
外面は良いけど中身は性悪……って、すごい悪口言ってましたけど』
『気にすることないですよ! 奥様方の足下にも及ばない女だと思います』
伝聞に伝聞だけど……気にすることではないのだろうか。
(…………というか、イーリアス様の訊かれたくないこと訊いちゃった?
どうしよう、内心怒ってたら)
誰だって過去のこと根掘り葉掘り聞かれたくはない。
嫌なことを思い出したりもするし。
(これまでしてもらったことに比べれば、イーリアス様の昔の恋人なんて些末なことのはずよ。
そもそもこれは、愛なんてない、同情でのこじつけ政略結婚なんだもの)
彼の顔が思い浮かぶと、胸が痛い。何なんだろう、全然収まらないこの感覚。
盗み聞きで、同情で結婚してくれたとわかった時もあった、この感じ……。
まだ触れられることはそんなにできないのに、イーリアス様に触れるとドキドキするし。
だけど叶うなら、今すぐ帰ってきてほしい。ただ、ここにいてほしい。
(これは……夫婦としての愛情が芽生えかけてるの?
何か違う気がする。
イーリアス様の方では、どうなんだろう)
球をつつくと、コロコロとビリヤード台の上を少しだけ転がった。
(昔の恋人って、好きだから付き合ったのよね?
もしも、目の前に、その昔の恋人がいたら……そして私との結婚前だったら、その人の方を選んだのかしら)
椅子に座り、ビリヤード台に突っ伏して、ありえなかった『もしも』を想像して悶々とする。
(そういえば、イーリアス様って本当にほとんど私の見た目に言及しない。それがありがたかったんだけど……)
そう。見た目に何も言われないからずっと安心していられた。
だけど……こう考えることもできると、気がついてしまった。
(もしかして、気遣ってくれていたわけじゃなくて、単純にイーリアス様にとって私が好みじゃなかっただけ……だったりする?)
だとすると、素朴な疑問がある。
───イーリアス様にとって、私との結婚生活は幸せなのだろうか?
くちづけも夫婦の営みも、まだできていないのに……。
「王女殿下?」
考えているうちに、遊戯室にナナが入ってきた。
「大丈夫です? また何か落ち込んでいらっしゃいます?」
「遠慮がないわね……まぁ、ちょっと」
「旦那様の元恋人については本当に昔の話ですから、もう気にしない方が良いですよ。
なんだか評判もあんまりよくなさそうですし」
「……最近は恋人はいなかったの?」
「かなりお忙しかったようですからねぇ。
そんな暇なかったんじゃ……」
「モテてた……?」
「どうでしょう?
お顔は整っていますけれど、あんな感じで強面な印象の方が強いですし。
わかりやすく女性を惹きつけるような言動もできませんし。
ああ、でも」
「でも?」
「使用人たちの間では、無口なのに男の色気がすごいって人気でしたねぇ」
「……色気?」
「ええ。王女殿下も思いません?」
「…………色気?」
「なんで2回訊いたんです?」
「だって……」
『アルヴィナ王女殿下はやはり王女方のなかで一番色気がありますな』
『貴女の色気にあてられて辛抱たまらぬのです、今宵こそお相手を……!』
ブルっ、と震える。
『色気』は私にとって、トラウマな言葉ランキングのかなり上位。
「色気って、いい言葉なの?」
「ええと……恋愛対象としての性的な魅力、ということですから、いい意味では?
お顔のつくりだけじゃなくて、所作とか言動とか存在感とか含めた、総合的な評価、って言いますか。
女使用人たちは見ていてドキドキするとか言っていました」
「……!」
する。
イーリアス様のこと、見ていてドキドキする。
触れていてもドキドキする。
厚い胸、長くてがっしりとした腕、肩幅、逆三角の広い背中、首筋、後頭部のライン、横顔、大臀筋、長い脚。全パーツ、惹かれる。
低い声。きびきびとした所作。いつも守ってくれる優しい大きな手。
(…………え、私……イーリアス様のことを、性的に見ている……?)
…………あれだけ、男性から性的に見られて嫌だった私が?
「あら、お顔が赤くなりました?」
「な、なってないわ!?」
「良いんですよ、新婚夫婦なんですし。
お互いのこと男と女として見られているんなら、結婚してから恋を始めているようなものじゃないですか?」
「恋!?」
「それを気持ちのままに伝えて旦那様と仲良くなさったら、元恋人のことなんて忘れちまいますよ。
じゃ、私は失礼いたしますね。
何かあったらお声をかけてください」
「…………ええ」
ナナが遊戯室から出て言った瞬間、頭を抱えた。
彼女が言った感情を『恋』というのなら、私はイーリアス様に夫婦としての愛情ではなくて恋愛感情や、性的感情を抱いていることになる。
触れられることが苦痛で、恐くて。
性的に見られることが嫌で。
いまだに夫婦の営みもできない、私が?
(……そんなことって、ある!?)
どう考えたらいいの、これ。
頭を抱えていたら「王女殿下ー」と再びナナが遊戯室に入ってきた。
「ごめんなさい、何度もすみません。
旦那様と王女殿下あてに、お手紙が届きましたよ?」
「手紙?」
「はい。ホメロス公爵家からです」
私はその手紙を開いた。
◇ ◇ ◇
カコン……。
キューの先で明後日の方向に逸れた球は、そのままコロコロと少し転がって、止まった。
(…………)
イーリアス様のいない間、使用人たちへの指示を出したり報告を受けたりしたら私の仕事は終わってしまう。
今日はビリヤードの練習をしているのだけど。
絶不調な原因は、昨夜のイーリアス様との話のせいだろう。
(あれだけ素敵な人だから女性から好意を向けられるだろうし、私よりも10年も長く生きているのだから、いろいろあるだろう、けど)
相手の女性は、何者なんだろう。
独身の貴族令嬢なら、親たちは何が何でも当主か長男と結婚させようとするから、貴族ではないのかな……。
(いえ、逆に、同い年ぐらいの貴族令嬢と結婚前提の恋仲だったけど、女性側の親が『次男は駄目だ』と言って別れさせたとか……そういうこともありうるわ)
以前ホメロス公爵家で働いていた使用人たちにも訊いてみた。
『……イーリアス坊ちゃんのお付き合いした女性ですか?
うーん……。
昔みたいなんで、良く知らないんですけど』
『古参の使用人が、10年ぐらい前にいたって言ってたような?
外面は良いけど中身は性悪……って、すごい悪口言ってましたけど』
『気にすることないですよ! 奥様方の足下にも及ばない女だと思います』
伝聞に伝聞だけど……気にすることではないのだろうか。
(…………というか、イーリアス様の訊かれたくないこと訊いちゃった?
どうしよう、内心怒ってたら)
誰だって過去のこと根掘り葉掘り聞かれたくはない。
嫌なことを思い出したりもするし。
(これまでしてもらったことに比べれば、イーリアス様の昔の恋人なんて些末なことのはずよ。
そもそもこれは、愛なんてない、同情でのこじつけ政略結婚なんだもの)
彼の顔が思い浮かぶと、胸が痛い。何なんだろう、全然収まらないこの感覚。
盗み聞きで、同情で結婚してくれたとわかった時もあった、この感じ……。
まだ触れられることはそんなにできないのに、イーリアス様に触れるとドキドキするし。
だけど叶うなら、今すぐ帰ってきてほしい。ただ、ここにいてほしい。
(これは……夫婦としての愛情が芽生えかけてるの?
何か違う気がする。
イーリアス様の方では、どうなんだろう)
球をつつくと、コロコロとビリヤード台の上を少しだけ転がった。
(昔の恋人って、好きだから付き合ったのよね?
もしも、目の前に、その昔の恋人がいたら……そして私との結婚前だったら、その人の方を選んだのかしら)
椅子に座り、ビリヤード台に突っ伏して、ありえなかった『もしも』を想像して悶々とする。
(そういえば、イーリアス様って本当にほとんど私の見た目に言及しない。それがありがたかったんだけど……)
そう。見た目に何も言われないからずっと安心していられた。
だけど……こう考えることもできると、気がついてしまった。
(もしかして、気遣ってくれていたわけじゃなくて、単純にイーリアス様にとって私が好みじゃなかっただけ……だったりする?)
だとすると、素朴な疑問がある。
───イーリアス様にとって、私との結婚生活は幸せなのだろうか?
くちづけも夫婦の営みも、まだできていないのに……。
「王女殿下?」
考えているうちに、遊戯室にナナが入ってきた。
「大丈夫です? また何か落ち込んでいらっしゃいます?」
「遠慮がないわね……まぁ、ちょっと」
「旦那様の元恋人については本当に昔の話ですから、もう気にしない方が良いですよ。
なんだか評判もあんまりよくなさそうですし」
「……最近は恋人はいなかったの?」
「かなりお忙しかったようですからねぇ。
そんな暇なかったんじゃ……」
「モテてた……?」
「どうでしょう?
お顔は整っていますけれど、あんな感じで強面な印象の方が強いですし。
わかりやすく女性を惹きつけるような言動もできませんし。
ああ、でも」
「でも?」
「使用人たちの間では、無口なのに男の色気がすごいって人気でしたねぇ」
「……色気?」
「ええ。王女殿下も思いません?」
「…………色気?」
「なんで2回訊いたんです?」
「だって……」
『アルヴィナ王女殿下はやはり王女方のなかで一番色気がありますな』
『貴女の色気にあてられて辛抱たまらぬのです、今宵こそお相手を……!』
ブルっ、と震える。
『色気』は私にとって、トラウマな言葉ランキングのかなり上位。
「色気って、いい言葉なの?」
「ええと……恋愛対象としての性的な魅力、ということですから、いい意味では?
お顔のつくりだけじゃなくて、所作とか言動とか存在感とか含めた、総合的な評価、って言いますか。
女使用人たちは見ていてドキドキするとか言っていました」
「……!」
する。
イーリアス様のこと、見ていてドキドキする。
触れていてもドキドキする。
厚い胸、長くてがっしりとした腕、肩幅、逆三角の広い背中、首筋、後頭部のライン、横顔、大臀筋、長い脚。全パーツ、惹かれる。
低い声。きびきびとした所作。いつも守ってくれる優しい大きな手。
(…………え、私……イーリアス様のことを、性的に見ている……?)
…………あれだけ、男性から性的に見られて嫌だった私が?
「あら、お顔が赤くなりました?」
「な、なってないわ!?」
「良いんですよ、新婚夫婦なんですし。
お互いのこと男と女として見られているんなら、結婚してから恋を始めているようなものじゃないですか?」
「恋!?」
「それを気持ちのままに伝えて旦那様と仲良くなさったら、元恋人のことなんて忘れちまいますよ。
じゃ、私は失礼いたしますね。
何かあったらお声をかけてください」
「…………ええ」
ナナが遊戯室から出て言った瞬間、頭を抱えた。
彼女が言った感情を『恋』というのなら、私はイーリアス様に夫婦としての愛情ではなくて恋愛感情や、性的感情を抱いていることになる。
触れられることが苦痛で、恐くて。
性的に見られることが嫌で。
いまだに夫婦の営みもできない、私が?
(……そんなことって、ある!?)
どう考えたらいいの、これ。
頭を抱えていたら「王女殿下ー」と再びナナが遊戯室に入ってきた。
「ごめんなさい、何度もすみません。
旦那様と王女殿下あてに、お手紙が届きましたよ?」
「手紙?」
「はい。ホメロス公爵家からです」
私はその手紙を開いた。
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