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29、王女は誓約する
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◇ ◇ ◇
帰ってきたらどんな顔をして会えば良いのか、と私が悶々としていたのに、昼過ぎに帰ってきたイーリアス様は、
「ただいま戻りました」
とまっすぐ寝室にやってきた。
(………………)
表情の変化がないので、本当にわからない。
昨日のこと、イーリアス様はどう思っているのだろう。
「昼食は召し上がりましたか」
「はい……」
料理人の用意してくれた朝食も昼食もあまりに美味しくて、手をつけたら結局完食してしまった。
おなかがいっぱいになると、何も解決していないのに少し元気になってしまうもので。
いまは、イーリアス様が持ってきた本の1冊を読み進めている。
子ども向けのものらしい冒険小説で、とても面白い。
「不在をしてしまい申し訳ないことです。
昨夜お休みの間に侵入者があり、捕らえて今朝連行しておりました」
「聞きました。
何度も守ってくださり、ありがとうございます。
……結婚証明書は、こちらです。
見届け人から受け取りました」
「ありがとうございます」
「………………」
なんだろう、この事務的な会話。
もっと話さないといけないことがあるのに。
「…………あれで、良かったのでしょうか」
「あれで、とは?」
「初夜です。
見届け人を謀るようなことをして……」
ここにあるこれは、嘘をついて手に入れた結婚証明書、ということになる。
もちろん誰もそれを暴くことはできない。まるであの結婚式の偽装キスのように……。
だから良い、とも言えない気持ちだ。
「…………教えてください。
どうして…………その、イーリアス様は怒ったのですか」
昨夜、なぜ続けなかったのかと問おうとして、変えた。
「それは、確かに私は気分が悪くなってしまいました。
恐くもありました。
ですが、結婚に必要なことですから、したいと思いました。花嫁としての務めを果たしたいと思いました。
その、何がいけなかったのでしょうか?」
慎重に言葉を選んだつもりだけど、咎めているような物言いになってしまっただろうか。
イーリアス様の眉間に少し皺がよった気がする。
また怒らせただろうか?
「僭越ながら、それは……『義務を果たしたい』であって、夫婦の営み自体を『したい』ではないと愚考いたします」
「それではダメなのでしょうか?」
「ご自覚がおありかはわかりませんが、昨日は式のあとからお顔色が悪く、震えておられました」
「!」
「ご自身でお思いになる以上のご無理をなさっていると、感じました」
イーリアス様はため息ひとつつき、ベッドの端に腰を下ろした。
「殿下は、戦場の近くまで行かれたことはありますでしょうか」
「? ……いいえ」
「傷病軍人や戦地で乱暴された女性や民間人が保護された病院などには。あるいは精神病院は」
「……教会が運営している、貧困者や病人の保護施設には何度か……」
『病院』はおそらくトリニアスにはないものだ。
ちらりと、イーリアス様がこちらに目を向ける。
そのお顔に、陰がさした気がした。
「身体もそうですが、人の心は、一度壊れるとなかなか治らないものです。
仕事柄、様々な、数えきれないほど多くの傷ついた人々に出会い、私はそれを実感して参りました。
心と身体は、人間が自分で思う以上に不可分です。
心のつらさが身体の症状として出、動きたくても動けなくなる、思い出すだけで身体が苦しくなるなど」
私は息を呑む。
イーリアス様がどんなものを見てきたのか、私には想像もつかない。
だけど、そのかなりマイルドにされているはずの言葉が、ズンとおなかに重く響いた。
「失礼ですが、殿下にもそのような時があるのではないですか?」
「………………あります」
「それは過去に、殿下に良からぬことを仕掛けた男らのせいですね?」
「………………はい」
「私が慎重になることに、ご理解をいただければと存じます」
ぐっ、と、私は拳を握った。
「私が無理をしようとしたことが……自分を大切にしなかったことが、いけなかったとおっしゃりたいのでしょうか?」
「はい」
一言で、真っ直ぐ打ち返されてきた。
「加えて申し上げますと、あれは男として……殿下に良からぬことを企んだ男どもと同じことをしろと言われたように聞こえました」
「…………!」
「殿下。この国にお越しいただいたからには、できるだけここで、笑顔で、健やかでいていただきたい。
それだけが私の願いです。
お心を苦しめてまで、果たさねばならない妻の務めなどないのです」
「…………」
「こちらの言葉が足らずまことに申し訳なく、お詫び申し上げます」
「いえ、その、頭を下げないでください」
イーリアス様の考えは理解した。
納得もした。
見届け人を騙すだけの理由はあったと。
ただ、気になることもある。
「お考えは承知いたしました。
気遣ってくださったことも、とてもありがたく思います。
ただ、ひとつ伺っても良いでしょうか?」
「何でしょうか」
「イーリアス様のお考えはわかりましたが……その、イーリアス様のお気持ちはどう、なるのかと」
「気持ち?」
「あの、殿方というのは、その、女性に比べ、えと、相手に触れたい欲求が強いものだと、つまりその」
言おうとしていることが急に恥ずかしくなって、しどろもどろになってしまう。
「あの……ですから、我慢?……をさせたのではないかと」
私が言いたいことを咀嚼するのにやや時間がかかったらしい。
イーリアス様がしばらく硬直し、やや間をおいてから、
「────いえ、ありません」
と、答えた。
「本当ですか。
道中のお食事のように、やせ我慢などしていませんか」
「やせ我慢ではありませんし、何もご心配いただくようなことはありません」
「では、それでイーリアス様が何かつらい思いをするということもないのですか」
「一切ありません」
「でしたら……いいのですけど……」
この答えは、本当に本音なのだろうか。
目をそらすとか、そわそわするといったことをすれば嘘だとわかるのに。
「────では、改めて」
イーリアス様は私の膝の上にあった結婚証明書のバインダーを開いた。
「これから末長く、死が2人を分かつまで、私があなたをお守りいたします」
「は、はい。よろしくお願いいたします……」
「こちらに〈誓約魔法〉をかけてしまってよろしいですか」
「そうですね、どうぞ」
証明書に魔力を帯びた手をかざしたイーリアス様は、「〈誓え〉」と短く呟く。
小さな光の魔方陣が証明書に浮き上がり、その光が証明書全体に広がった。
「……これが〈誓約魔法〉……というか、これ、よく和平条約にかけられましたね?」
「目立たないやり方もありますので」
なるほど。
そもそも、今やった時点で無詠唱だったし、相当魔力の強い人なら魔法の名すら口にしないでかけることさえできるそうだから、驚くことではないのかもしれないけど。
(今までの会話の中でも〈誓約魔法〉をかけられているものもあったりするかしら……)
とりあえず今のところ、自覚はなしだ。
「〈誓約魔法〉を解除したい時には、こちらの証明書を祖父に渡してください。
ホメロス公爵家では当主だけが解除できます」
「? 解除の必要があるのですか?」
「…………なければ、それに越したことはないのですが。
とにかく殿下にお預けいたします」
「では、イーリアス様。お願いがあるのですが」
「お願いですか。何なりと」
結婚でもうひとつ、できず心残りだったこと。
私は3回深呼吸して、口を開いた。
「─────くちづけを、やり直させてはいただけませんでしょうか?」
帰ってきたらどんな顔をして会えば良いのか、と私が悶々としていたのに、昼過ぎに帰ってきたイーリアス様は、
「ただいま戻りました」
とまっすぐ寝室にやってきた。
(………………)
表情の変化がないので、本当にわからない。
昨日のこと、イーリアス様はどう思っているのだろう。
「昼食は召し上がりましたか」
「はい……」
料理人の用意してくれた朝食も昼食もあまりに美味しくて、手をつけたら結局完食してしまった。
おなかがいっぱいになると、何も解決していないのに少し元気になってしまうもので。
いまは、イーリアス様が持ってきた本の1冊を読み進めている。
子ども向けのものらしい冒険小説で、とても面白い。
「不在をしてしまい申し訳ないことです。
昨夜お休みの間に侵入者があり、捕らえて今朝連行しておりました」
「聞きました。
何度も守ってくださり、ありがとうございます。
……結婚証明書は、こちらです。
見届け人から受け取りました」
「ありがとうございます」
「………………」
なんだろう、この事務的な会話。
もっと話さないといけないことがあるのに。
「…………あれで、良かったのでしょうか」
「あれで、とは?」
「初夜です。
見届け人を謀るようなことをして……」
ここにあるこれは、嘘をついて手に入れた結婚証明書、ということになる。
もちろん誰もそれを暴くことはできない。まるであの結婚式の偽装キスのように……。
だから良い、とも言えない気持ちだ。
「…………教えてください。
どうして…………その、イーリアス様は怒ったのですか」
昨夜、なぜ続けなかったのかと問おうとして、変えた。
「それは、確かに私は気分が悪くなってしまいました。
恐くもありました。
ですが、結婚に必要なことですから、したいと思いました。花嫁としての務めを果たしたいと思いました。
その、何がいけなかったのでしょうか?」
慎重に言葉を選んだつもりだけど、咎めているような物言いになってしまっただろうか。
イーリアス様の眉間に少し皺がよった気がする。
また怒らせただろうか?
「僭越ながら、それは……『義務を果たしたい』であって、夫婦の営み自体を『したい』ではないと愚考いたします」
「それではダメなのでしょうか?」
「ご自覚がおありかはわかりませんが、昨日は式のあとからお顔色が悪く、震えておられました」
「!」
「ご自身でお思いになる以上のご無理をなさっていると、感じました」
イーリアス様はため息ひとつつき、ベッドの端に腰を下ろした。
「殿下は、戦場の近くまで行かれたことはありますでしょうか」
「? ……いいえ」
「傷病軍人や戦地で乱暴された女性や民間人が保護された病院などには。あるいは精神病院は」
「……教会が運営している、貧困者や病人の保護施設には何度か……」
『病院』はおそらくトリニアスにはないものだ。
ちらりと、イーリアス様がこちらに目を向ける。
そのお顔に、陰がさした気がした。
「身体もそうですが、人の心は、一度壊れるとなかなか治らないものです。
仕事柄、様々な、数えきれないほど多くの傷ついた人々に出会い、私はそれを実感して参りました。
心と身体は、人間が自分で思う以上に不可分です。
心のつらさが身体の症状として出、動きたくても動けなくなる、思い出すだけで身体が苦しくなるなど」
私は息を呑む。
イーリアス様がどんなものを見てきたのか、私には想像もつかない。
だけど、そのかなりマイルドにされているはずの言葉が、ズンとおなかに重く響いた。
「失礼ですが、殿下にもそのような時があるのではないですか?」
「………………あります」
「それは過去に、殿下に良からぬことを仕掛けた男らのせいですね?」
「………………はい」
「私が慎重になることに、ご理解をいただければと存じます」
ぐっ、と、私は拳を握った。
「私が無理をしようとしたことが……自分を大切にしなかったことが、いけなかったとおっしゃりたいのでしょうか?」
「はい」
一言で、真っ直ぐ打ち返されてきた。
「加えて申し上げますと、あれは男として……殿下に良からぬことを企んだ男どもと同じことをしろと言われたように聞こえました」
「…………!」
「殿下。この国にお越しいただいたからには、できるだけここで、笑顔で、健やかでいていただきたい。
それだけが私の願いです。
お心を苦しめてまで、果たさねばならない妻の務めなどないのです」
「…………」
「こちらの言葉が足らずまことに申し訳なく、お詫び申し上げます」
「いえ、その、頭を下げないでください」
イーリアス様の考えは理解した。
納得もした。
見届け人を騙すだけの理由はあったと。
ただ、気になることもある。
「お考えは承知いたしました。
気遣ってくださったことも、とてもありがたく思います。
ただ、ひとつ伺っても良いでしょうか?」
「何でしょうか」
「イーリアス様のお考えはわかりましたが……その、イーリアス様のお気持ちはどう、なるのかと」
「気持ち?」
「あの、殿方というのは、その、女性に比べ、えと、相手に触れたい欲求が強いものだと、つまりその」
言おうとしていることが急に恥ずかしくなって、しどろもどろになってしまう。
「あの……ですから、我慢?……をさせたのではないかと」
私が言いたいことを咀嚼するのにやや時間がかかったらしい。
イーリアス様がしばらく硬直し、やや間をおいてから、
「────いえ、ありません」
と、答えた。
「本当ですか。
道中のお食事のように、やせ我慢などしていませんか」
「やせ我慢ではありませんし、何もご心配いただくようなことはありません」
「では、それでイーリアス様が何かつらい思いをするということもないのですか」
「一切ありません」
「でしたら……いいのですけど……」
この答えは、本当に本音なのだろうか。
目をそらすとか、そわそわするといったことをすれば嘘だとわかるのに。
「────では、改めて」
イーリアス様は私の膝の上にあった結婚証明書のバインダーを開いた。
「これから末長く、死が2人を分かつまで、私があなたをお守りいたします」
「は、はい。よろしくお願いいたします……」
「こちらに〈誓約魔法〉をかけてしまってよろしいですか」
「そうですね、どうぞ」
証明書に魔力を帯びた手をかざしたイーリアス様は、「〈誓え〉」と短く呟く。
小さな光の魔方陣が証明書に浮き上がり、その光が証明書全体に広がった。
「……これが〈誓約魔法〉……というか、これ、よく和平条約にかけられましたね?」
「目立たないやり方もありますので」
なるほど。
そもそも、今やった時点で無詠唱だったし、相当魔力の強い人なら魔法の名すら口にしないでかけることさえできるそうだから、驚くことではないのかもしれないけど。
(今までの会話の中でも〈誓約魔法〉をかけられているものもあったりするかしら……)
とりあえず今のところ、自覚はなしだ。
「〈誓約魔法〉を解除したい時には、こちらの証明書を祖父に渡してください。
ホメロス公爵家では当主だけが解除できます」
「? 解除の必要があるのですか?」
「…………なければ、それに越したことはないのですが。
とにかく殿下にお預けいたします」
「では、イーリアス様。お願いがあるのですが」
「お願いですか。何なりと」
結婚でもうひとつ、できず心残りだったこと。
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