『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
上 下
383 / 631
第十部

七夕イベント

しおりを挟む
「でも、いい子でいないとダメよ。

七夕の神様はちゃんと見てるんだから」

トリアがいい、

アートンは三人を連れて、

短冊コーナーに歩いていった。

「向井君は冥界から離れられないよ~」

トリアがニヤリとするのを、

向井は渋い顔で笑った。



手作り個展はアーケードの中央広場に、

数十店出店していた。

周りは七夕飾りがされ、

賑やかな印象で作られていた。

雑居ビルの前には特設ステージが作られ、

ヒーローショーが行われており、

子供達が真剣に見ていた。

ベンチは埋まっていたが、

後ろからでもステージは見られるので、

チビ達も立ち止まった。

真剣に見ている姿に、

向井達も笑うと、

「俺も子供の頃はヒーローに憧れてましたね。

これだけは時代が進んでも、

変わらないのが不思議です」

興奮して飛び跳ねてるチビを見た。

「子供の頃は誰でも、

悪から皆を守るヒーローになりたいって、

思ってるのよね。

大人になると穢れすぎてダメね」

トリアも笑った。

「悪の基準が変わるだけで、

みんな思いはヒーローなんだろう? 

大人になると忖度が働くからね~」

アートンも笑うと二人を見た。

「なるほど」

向井達も笑いながら頷いた。

ヒーローショーが終わると、

向井達は安達達のブースへ向かった。

歩いてくる姿が見えたのだろう。

弥生が手を振った。


向井は中に入る前に、

アーケード全体に結界をはったので、

負が入ってくることもなく、

人々も楽しそうに買い物を楽しんでいた。

チビ達は走って行くと、

アンが向井を見て言った。

「向こうにお星様ゲームやってるから、

チビ達を連れて行ったら? 」

「お星様ゲーム? 」

トリアが聞くと、

「ゴムボールが入ったプールの中から、

お星様を探すの。

一分間で何個見つけられるかで、

景品もらえるって」

「やりたい」

「じゃあ行くか」

チビの声にアートンが言い、

向井とトリアもついていった。

見ると子供達がプールの中で、

きゃあきゃあ言いながらボール集めをしている。

三人も列に並ぶと順番を待った。

「ああやってると、

人間の子にしか見えないんだけどね」

アートンがチビを見ながら言った。

「子供は基本、人間も妖怪も犬猫も、

変わらないんじゃないですか」

向井が腕を組んでチビ達を見た。

「あの子たちは、

かなり気持ちも優しいし、

お行儀もいいと思います。

これはひいき目じゃなくてね」

「そういえば学生時代、

ベビーシッターしてたって言ってたもんね」

「まあそれもあるんですけど、

あの子たちは冥界育ちなので、

アートンさんやトリアさん達、

冥界人がきちんとされているからだと思いますよ」

向井はそういうと二人を見て微笑んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

我が家の家庭内順位は姫、犬、おっさんの順の様だがおかしい俺は家主だぞそんなの絶対に認めないからそんな目で俺を見るな

ミドリ
キャラ文芸
【奨励賞受賞作品です】 少し昔の下北沢を舞台に繰り広げられるおっさんが妖の闘争に巻き込まれる現代ファンタジー。 次々と増える居候におっさんの財布はいつまで耐えられるのか。 姫様に喋る犬、白蛇にイケメンまで来てしまって部屋はもうぎゅうぎゅう。 笑いあり涙ありのほのぼの時折ドキドキ溺愛ストーリー。ただのおっさん、三種の神器を手にバトルだって体に鞭打って頑張ります。 なろう・ノベプラ・カクヨムにて掲載中

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。 兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。 リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。 三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、 「なんだ。帰ってきたんだ」 と、嫌悪な様子で接するのだった。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

処理中です...