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第十部
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エハとヴァンと真紀子は、
式神課の仕事で二件続けて、
お祓いに出かけたので、
その間に向井達はパトロールに、
中央の増えた悪霊は牧野達が除去に出かけて行った。
この日に向井達が向かった先は、
中央からかなり奥まった団地だ。
現政権から見放されたような状態の地域は、
捨て地と呼ばれていた。
姥捨て山団地に住まう履き捨て住民は、
その捨て地にいる。
黒谷達もそんな住民の一人になる。
その地域には独自のコミュニティーがあり、
通常に暮らしているのだが、
政権寄りのマスメディアによって、
現政権に反旗を翻す悪として、
中央では叩いてもよいという、
不文律が生まれていた。
中央の捌け口となっている事もあり、
団地でも中央から来るものと、
揉める事もあるようだ。
大沢に締め付けられていた現政権トップは、
今度は自分の為の国作り強化をはじめ、
AIに止められた全システムも関係なく、
政権生き残り作戦と呼ばれる新法が、
国民置き去りで、
次々と可決されていた。
「まるで戦前だってトリアが言ってた」
エナトが悪霊を捕縛しながら言った。
アートンも団地に着くと、
その渦巻く負にため息をついた。
既に壊された祠跡には、
大きくなりかかった悪霊がうごめいていた。
「中央でも暴動が起きていて、
AIによる通信障害もあって、
国民も何が正しいのか分からなくなってますから」
向井は霊玉を手に息を吹きかけた。
「とりあえず、中央と程よく隔離され、
平穏に暮らせている黒谷君のような人たちが、
争いに巻き込まれないようにすることが先決です」
「いくら静かに暮らしてても、
中央から意味もなく攻撃されれば、
負もたまっていくからね」
新田もそういうと霊玉を霊銃に装填した。
彼らは祠に近づくと、除去を始めた。
「この団地って、今は使われてないのかな? 」
アートンが団地をくまなく点検して、
悪霊を除去する向井達の所に戻ってきた。
「ここの地域課の方に話を伺ったら、
ここは以前、
派遣会社の社員寮に一部使われていたそうです。
殺人事件や自殺もあって、
使われなくなっていたようですけど、
その後リフォームされたので、
住民を住まわせたいそうです」
「人が死んでるの? 」
新田がビックリしたように辺りを見回した。
「いつも霊に囲まれているでしょ。
今綺麗にしたから大丈夫だよ」
アートンは笑うと、
「これはね。この国の闇の部分なんだよ。
全てにおいて政権ありきの国民不在で、
何十年も続いてきたからね。
戦後百年で大沢帝国の誕生が、
この国の新たな地獄の幕開けだったんだよね。
それでも現政権が良ければ支持すればいいだけ」
アートンが笑った。
式神課の仕事で二件続けて、
お祓いに出かけたので、
その間に向井達はパトロールに、
中央の増えた悪霊は牧野達が除去に出かけて行った。
この日に向井達が向かった先は、
中央からかなり奥まった団地だ。
現政権から見放されたような状態の地域は、
捨て地と呼ばれていた。
姥捨て山団地に住まう履き捨て住民は、
その捨て地にいる。
黒谷達もそんな住民の一人になる。
その地域には独自のコミュニティーがあり、
通常に暮らしているのだが、
政権寄りのマスメディアによって、
現政権に反旗を翻す悪として、
中央では叩いてもよいという、
不文律が生まれていた。
中央の捌け口となっている事もあり、
団地でも中央から来るものと、
揉める事もあるようだ。
大沢に締め付けられていた現政権トップは、
今度は自分の為の国作り強化をはじめ、
AIに止められた全システムも関係なく、
政権生き残り作戦と呼ばれる新法が、
国民置き去りで、
次々と可決されていた。
「まるで戦前だってトリアが言ってた」
エナトが悪霊を捕縛しながら言った。
アートンも団地に着くと、
その渦巻く負にため息をついた。
既に壊された祠跡には、
大きくなりかかった悪霊がうごめいていた。
「中央でも暴動が起きていて、
AIによる通信障害もあって、
国民も何が正しいのか分からなくなってますから」
向井は霊玉を手に息を吹きかけた。
「とりあえず、中央と程よく隔離され、
平穏に暮らせている黒谷君のような人たちが、
争いに巻き込まれないようにすることが先決です」
「いくら静かに暮らしてても、
中央から意味もなく攻撃されれば、
負もたまっていくからね」
新田もそういうと霊玉を霊銃に装填した。
彼らは祠に近づくと、除去を始めた。
「この団地って、今は使われてないのかな? 」
アートンが団地をくまなく点検して、
悪霊を除去する向井達の所に戻ってきた。
「ここの地域課の方に話を伺ったら、
ここは以前、
派遣会社の社員寮に一部使われていたそうです。
殺人事件や自殺もあって、
使われなくなっていたようですけど、
その後リフォームされたので、
住民を住まわせたいそうです」
「人が死んでるの? 」
新田がビックリしたように辺りを見回した。
「いつも霊に囲まれているでしょ。
今綺麗にしたから大丈夫だよ」
アートンは笑うと、
「これはね。この国の闇の部分なんだよ。
全てにおいて政権ありきの国民不在で、
何十年も続いてきたからね。
戦後百年で大沢帝国の誕生が、
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それでも現政権が良ければ支持すればいいだけ」
アートンが笑った。
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