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第九部

セイの逆上がり

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「セイは何で逆上がりを始めたの? 」

トリアが練習を見ながら言った。

「それがね。チビ達が逆上がりができるようになってね。

セイは大きいのにできないの? って」

「あははは。それは残酷ね」

シェデムも笑った。

「あれを見てると………できるようになるまで、

もう少しかかるかな? 

ダンスの時も大変でしたからね」

向井も腕を組むとじっと見た。

「さあ、おやつにしよう」

トリアが休憩室に向かうのを見て、

「何か買ってきたの? 」

トレーズも嬉しそうにくっ付いてきた。


休憩室に入ると、

安達が三鬼と恐竜のパズルで遊んでいた。

「おや? こんと呉葉がいませんね」

向井が見まわしていると、

「あの二人は、

除去から戻ってきた牧野君と虎獅狼達と、

図書室でお昼寝中です。

さっきまでお人形遊びしてましたから、

疲れたんでしょう」

休憩中の源じいが本から顔をあげていった。

「そうなんだ。おやつ買ってきたんだけど、

先に食べちゃおう」

トリアが笑った。

「冥王は? いつもならおやつを嗅ぎつけ、

走ってくるのにね」

アートンが言うと、

「多分工房ですよ。

ほら、今お家作ってるでしょ。

十朱さんには申し訳ないんですけど、

一生懸命完成に向けて制作中です」

向井が説明した。

「あの方はわがままさんですから、

こうと思ったら頭より先に体が動いてるんですよ。

天上界でもそうですからね」

「まあ、問題ないからいいんだろうけど」

シェデムとディッセがそんな話をしていると、

「君達は私のいないところで悪口ですか。

あ~嫌ですね~

昔は給湯室でね。そういういじめがあったんですよ」

冥王がやってきてむすっとした顔で言った。

「いったいいつの時代の話? 

そんなの誰も知らないわよ」

トリアがそういってキッチンに向かう。

「この前、古いドラマであったんですよね。

今、TVもAIに占拠されてて、

百年前はこうだったみたいなドラマが、

色々放映されてるんですよ」

冥王と戻ってきた弥生が笑うと言った。

「へえ~」

向井も笑うと、キッズルームに向かった。

「あーちゃん、それじゃ落ちちゃうよ」

「難しいね。これをここに置いたら? 」

「ん…上手く乗らないよ」

「これ、本当に全部乗せられるの? 」

「乗せられるって、お写真見せてもらったもん」

「じゃあ、その写真見たらできるじゃん」

「それはダメ。ズルだもん」

「そうか………」

二人のそんな会話を笑いながら聞いていた向井は、

「それは幾通りもバランスのやり方があるんですよ。

失敗しても、考えて乗せていかないと」

と声をかけた。
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