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第八部

コラボパーカー

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「似合ってるわよ。可愛い」

エハが笑った。

「お帰りなさい~」

休憩室の方からチビ達が駆けてきた。

「おや? 君達もコラボパーカーですか? 

可愛いね」

向井が笑顔でポージングするチビ達を見た。

「妖武将を色違いで買ってきたの」

弥生もあとから歩いてやってきた。

「私はばあ推しなので、これ」

赤いパーカーを見せて笑った。

「サイズとキャラ違いで幾つか買ってきたから、

欲しい人は休憩室にあるから選んでください」

「えっ? 俺達にもあるの? 」

ヴァンとエハが顔を見合わせると、

走って行った。

チビ達が向井の持つ袋にそわそわし始めたので、

「みんなでおやつにしましょうか」

といい、

「何買ってきたんですか~」

冥王が牧野と飛んでくると、

袋を見て喜んだ。

「これは私の好きな木苺のパイではないですか? 

食べよう~食べよう~」

冥王はチビ達とスキップしながら、

休憩室に戻って行った。

「ほら、お行儀悪いのは、

俺のせいだけじゃないじゃん」

牧野はむくれて向井を見た。

「ということは、

牧野君もあれを見て、

こうなっているわけだ」

アートンは通りがかりに笑うと、

牧野の肩をポンと叩いた。


――――――――


下界では相変わらず、

中央がAIに乗っ取られ、

地方都市部の一部のみが、

独自の取り組みで機能していた。

それでも国会は開かれ、

毎日のように荒れ狂い、

冥界だけが忙しい日々を送っていた。

「もう、一ヶ月以上だよ。

どうなるんだろうね~」

ディッセが街頭ビジョンに顔を向け、

「まあ、お陰で霊電はストックされて、

向こう何年も電力使えて良かったじゃん」

悪霊退治に疲れて息を整えてる牧野を見た。

「俺は何故この役立たずのディッセと、

悪霊退治をさせられてるんだ? 」

「しょうがないね。今、式神課が一番、

仕事抱えてるからさ。

助っ人で俺も来たからいいでしょ」

エナトは笑うと言った。

「それにしても、中央は晴れないよね。

中央から一歩でも出れば、晴天なのにな。

だから余計に陰の気が蔓延するんだな」

ディッセが空を見上げた。

「悪霊だらけのうちに、

俺達はできるだけ綺麗にお掃除しましょう」

エナトはそういうと、

「次は隣の区に移動するよ。

反対の方は、

佐久間さんと早紀ちゃんとオクトがいるから、

俺達はその先ね」

と体を前に曲げて、

膝に手を置き休む牧野の頭を叩いた。

「人使い荒いな」

牧野は文句を垂れながら歩き出した。


――――――――


牧野達が冥界に戻ると、

「お帰りなさい。もう、皆さん集まってますよ」

セイがカウンターから出てきた。

「なんかあるの? 」

牧野が聞くと、

「あれ? 聞いてなかった? 

お花見やろうって冥王が。

さっき黒谷君の所に、

安達君と弥生ちゃんでお花見弁当取りに行ったの。

今日は眷属が見てくれてるから、

西と北の支部も集まって、

凄い賑やかだよ」

セイが楽しそうに話した。
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