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第八部
殺陣
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「古式ですね」
「そうだね。古いタイプの刀だから長さもある。
初めてなら槍よりは刀の方がいいよね」
二人はそういいながら、
奥の鏡のスペースに移った。
「俺達さえきちんと動ければ、
ディッセさんは死に方と簡単な動作で大丈夫だからさ」
新田はそういって笑った。
軽くストレッチをしていると、
ティンたちもやってきて、
向井達の練習を興味津々で見ていた。
「向井さん、感がいいよ。
型も決まるし」
軽く刀を合わせて、動作の練習をした。
「刀を握って動くのって、難しいな。
どうしても体の重心が取られる」
向井が動きを止めて、息を整えた。
「でも、初めてでここまでできれば上出来だよ。
もう少し動きを付けて、
カッコよくしようか」
新田も久しぶりの稽古に楽しくなってきた。
「ここで後ろに回って………そう、
それでそのまま横に飛んで………」
二人のそんな動きに、ギャラリーも増えていき、
真剣になって見ていた。
「なになに? 何見てんの? 」
トレーニングルームの人だかりに、
牧野と安達が人をかき分け前に出てきた。
目の前で初めて見る殺陣の練習に、
二人は驚きに口を大きく開けた。
「カッコイイ………」
安達が目を輝かせていた。
「あなた、あれと戦って殺されちゃうのね
お気の毒様」
冥王室に向かう途中で足を止めたシェデムが、
見学しているディッセを見て笑った。
「………俺、本当にやられちゃいそうでヤダな…」
「まあ、頑張って」
シェデムは固まるディッセに笑うと、
歩いていった。
――――――――
下界ではいまだ政界がもめにもめていて、
政権争いで醜い姿が毎日のように映し出されていた。
特に中央は昼でも薄暗い雲に覆われ、
神秘の国から一転して、
世界中で呪われた国と報道されていた。
それでも懲りずに政情不安のまま、
諍いはおさまらず
国の報道より、
AIニュースの方が正直だと、
さすがの国民もあきれ返っていた。
冥界は昼夜問わず、
そんな状況に振り回され、
悪霊退治に疲労困憊気味だった。
「為政者の欲望が渦巻いている間は、
悪霊は増え続けるだろうね。
その内政治家もAIになるんじゃないの」
アートンがため息まじりに笑った。
「どこの冥界でも国がもめてるところは、
悪霊だらけで下界での事件も多い。
戦争がいい例だね。
この国はその中でも綺麗な方だと思うよ」
オクトも空を見上げた。
「俺………限界。夜も寝られないし………」
牧野が座り込む姿に、
可哀想にとエナトが笑った。
「俺達がヘルプに入ってても、
大物は牧野君しか倒せないからね。
でも、その身守り袋が陰の部分を吸い取ってるから、
少しは体も楽でしょ」
「もうすぐヴァン君とエハさんが来るから」
向井がそう言ったところで、
仙境から戻ってきた二人がやってきた。
「そうだね。古いタイプの刀だから長さもある。
初めてなら槍よりは刀の方がいいよね」
二人はそういいながら、
奥の鏡のスペースに移った。
「俺達さえきちんと動ければ、
ディッセさんは死に方と簡単な動作で大丈夫だからさ」
新田はそういって笑った。
軽くストレッチをしていると、
ティンたちもやってきて、
向井達の練習を興味津々で見ていた。
「向井さん、感がいいよ。
型も決まるし」
軽く刀を合わせて、動作の練習をした。
「刀を握って動くのって、難しいな。
どうしても体の重心が取られる」
向井が動きを止めて、息を整えた。
「でも、初めてでここまでできれば上出来だよ。
もう少し動きを付けて、
カッコよくしようか」
新田も久しぶりの稽古に楽しくなってきた。
「ここで後ろに回って………そう、
それでそのまま横に飛んで………」
二人のそんな動きに、ギャラリーも増えていき、
真剣になって見ていた。
「なになに? 何見てんの? 」
トレーニングルームの人だかりに、
牧野と安達が人をかき分け前に出てきた。
目の前で初めて見る殺陣の練習に、
二人は驚きに口を大きく開けた。
「カッコイイ………」
安達が目を輝かせていた。
「あなた、あれと戦って殺されちゃうのね
お気の毒様」
冥王室に向かう途中で足を止めたシェデムが、
見学しているディッセを見て笑った。
「………俺、本当にやられちゃいそうでヤダな…」
「まあ、頑張って」
シェデムは固まるディッセに笑うと、
歩いていった。
――――――――
下界ではいまだ政界がもめにもめていて、
政権争いで醜い姿が毎日のように映し出されていた。
特に中央は昼でも薄暗い雲に覆われ、
神秘の国から一転して、
世界中で呪われた国と報道されていた。
それでも懲りずに政情不安のまま、
諍いはおさまらず
国の報道より、
AIニュースの方が正直だと、
さすがの国民もあきれ返っていた。
冥界は昼夜問わず、
そんな状況に振り回され、
悪霊退治に疲労困憊気味だった。
「為政者の欲望が渦巻いている間は、
悪霊は増え続けるだろうね。
その内政治家もAIになるんじゃないの」
アートンがため息まじりに笑った。
「どこの冥界でも国がもめてるところは、
悪霊だらけで下界での事件も多い。
戦争がいい例だね。
この国はその中でも綺麗な方だと思うよ」
オクトも空を見上げた。
「俺………限界。夜も寝られないし………」
牧野が座り込む姿に、
可哀想にとエナトが笑った。
「俺達がヘルプに入ってても、
大物は牧野君しか倒せないからね。
でも、その身守り袋が陰の部分を吸い取ってるから、
少しは体も楽でしょ」
「もうすぐヴァン君とエハさんが来るから」
向井がそう言ったところで、
仙境から戻ってきた二人がやってきた。
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