『アンダーワールド』冥王VS人間～魑魅魍魎の戦が今始まる～

第八部

フラの衣装

「流通の問題もあるけど、

今の所、食材は手に入るから作るつもり。

それにこの前、

お雛様弁当作ったでしょ。

その時にちびちゃんたち用に頼まれた分の余りで、

六個だけキッズ弁当出したら、

それをまた作ってほしいって言われたんだよね」

「わかる。うちでも大喜びで食べてたから。

それ以来、お子様ランチが食べたいって、

うるさいうるさい」

トリアが笑った。

「喜んでもらえたなら嬉しいな。

でね。キッズ用には、

お化け弁当を作ってみたんだよね」

黒谷はそういうと、

タブレットから写真を見せてくれた。

お化けをイメージした小さなおにぎりに、

チキンやソーセージ、トマトや玉ねぎ、

卵など色鮮やかに詰め込まれている。

クッキーの旗は付属で付けられていて、

可愛らしい。

「へえ～よく出来てるね。美味しそう」

ヴァンも驚いて画面に顔を寄せた。

「でも、作るの大変そうですね」

向井が黒谷の顔を見て言うと、

「そうなのよ。それでね。三上さん………

玲子ばぁとフラしてる人なんだけど、

うちで働いてもらうことになったの」

「パートさん増やして大丈夫なの？　」

トリアが聞いた。

「まあ、儲けは出てるからね。

作る時間もかかるし、

今でさえ玲子ばぁとぎりぎりで作業してたから、

もう一人雇うって話はしてたんだ。

三上さんは、

スーパーの棚卸作業してたんだけど、

このご時世でしょ。

年寄りからパートも切られて、

アルバイトを探してるって言うから、

お願いしたの」

「黒谷君も経営者として成長してますね」

向井がほほ笑んだ。

「そ、そお？　嬉しいな。

そうだ。それでね。冥王からお花見やるから、

お弁当の注文受けたんだよね」

「お花見？　」

向井達が驚いて顔を見合わせた。

「聞いてない？　冥王楽しみにしてたよ。

イベントは来月だから、

それまでに神様のお守り作るって張りきってたけど」

「………まったく、冥王は何でいつも突然なんでしょう」

向井が大きく息を吐いた。

「あれは思い付きで動いてるからね」

トリアもあきれたように笑った。



黒谷と別れた後、

向井達は布を買いにお店を幾つか周って歩いた。

チビ達が真剣に布選びをしている姿に、

大人達も笑顔で見ていた。

「そういえば、三鬼は男の子だけど、

フラやるの？　」

ヴァンが不思議そうに聞いた。

「男性にはカネフラというのがあるのよ。

今回は三鬼一人だけだから、

ソロで見せるんだよね～」

アンが笑顔で三鬼を見た。

「こんと呉葉も二人で踊るし、

弥生ちゃんと早紀ちゃんと千乃と、

私と赤姫のフラもあるのよ。

フラの派遣憑依しといて役に立ったわ」

アンが笑いながら話した。