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第七部

リアルな恐竜

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見ると実物大の恐竜が、

滑らかな動きで声をあげて鳴いていた。

ところどころでアニメの声優の声が入り、

見ている者達に話しかけるセリフが流れる。

「凄いね~ほら、お話してくれるよ」

向井が三鬼の顔を見ながら恐竜を指さすと、

安達も少し怖いのか、

セーズの横にぴったりくっついて見ていた。

牧野だけが一人はしゃいでいる。

慣れてきたのか、三鬼も顔をあげて、

真剣に動く姿を見ていた。

確かに体の小さな子供には、

巨大すぎて怖いかもしれないな。

向井もリアルに動く恐竜を、

驚きながら見ていた。

ブースを出ると、

「凄ぇよ。ホント凄ぇ~恐竜ってカッコイイな」

ちょっぴり怖かった安達と三鬼と違い、

牧野は一人満足げにはしゃいでいた。


ブースを出たところで、

恐竜ドッグが売られていて、

「食べたい! 」

牧野が売店に走って行った。

「テイクアウトできるのかな? 

フェムトンさん達も食べたいだろうから」

向井が言うと、

「持ち帰りできるって」

牧野が手を振って呼んだ。

「じゃあ、買って行こうか」

向井はそういうと三鬼を抱いたまま、

カウンターで注文を済ませ、

待っている間、

売店で売られているグッズを見て回った。

安達も真剣に商品を選んでいるのを見て、

向井も笑った。

「三鬼も欲しいのがあったら、

一つだけ買ってあげますよ」

三鬼の顔が笑顔になり、

下に降ろされると、

安達と一緒になって、

グッズ選びに真剣な顔つきになった。

セーズと牧野が出来上がった袋を持ってやってきた。

「おっ、これこれ、俺はこいつが一番カッコいいな」

牧野がそういいながら、

キーリングを手に取った。

「ステゴサウルスだよ」

三鬼がいい、

「僕はこのヴェロキラプトルがいい」

とぬいぐるみを手に取った。

「じゃあ、三鬼はこれで、

牧野君はこのキーリングでいいですか? 」

「えっ? 買ってくれるの? やった~」

「安達君とセーズさんはどれにします? 」

「俺もいいの? 悪いなぁ~」

と言いながら、

セーズは嬉しそうにラペルピンを選んだ。

安達は悩んで悩んで、

プテラノドンのアクリルスタンドを手に取った。

向井はその他に、

アニメに出てくる妖精のヘアピンを色違いで二つ、

騎士のグッズを一つ、

恐竜のお菓子を幾つか加えると会計に行った。

博物館を出ると、

広場の横のオープンカフェ風フリースペースで、

フェムトン達が待っていた。

既にいくつか袋を手にしている。

「随分買いましたね」

向井が言うと、

「まだまだ、今度は向こう側を見るのよ」

真紀子が言い、女性陣が楽しそうに笑った。

「じゃあ、買いに行く前に、

ちょっと腹ごなししましょうか」

向井はそういうと、

恐竜ドッグを見せた。
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