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第七部

むくれる冥王

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「黒谷君に会ったので聞きました。

連絡があったら見に行ってきます」

「………」

「何ですか。その顔は」

面白くなさそうに不貞腐れる冥王に、

向井が言った。

「私が一番に言いたかったのに………」

「ヴァン君が言ってたんですよ。

冥王は、

幽霊退治の仕事を受けたよ~って、

俺達を驚かせようとするって」

「………」

「だから俺が先に言ってみました」

向井はすました顔で言うと、

珈琲を飲んだ。

「あはははは。一本取られたね」

ディッセが笑うと、

皆が冥王を見てケラケラと笑い出した。

「う~ん………」

大人達の声に、チビ達が目を覚まして起き上がった。

「起こしちゃったか」

近くに座っていたアートンが立ち上がって、

キッズルームに歩いていった。

「お腹空いた………」

三鬼が目をこすりながら起き上がると、

鼻を動かした。

「じゃあ、おトイレ行ってから、

ご飯にしようか」

アートンに抱っこされて、

三鬼は部屋を出た。

呉葉とこんもぐずりながら、

弥生と早紀にトイレに連れて行かれた。

そんな様子を見ていると、

オクトが向井を呼びに来た。

「黒谷君から連絡があって、

今から来てくれませんかって。

ライブハウスでオーナーが待っているそうです」

「分かりました」

向井が振り向くと、

「ハンバーガー? 俺の分もある? 」

そういってオクトが入ってきた。

「ありますよ」

向井は笑うと、

「食事が終わったら出かけましょうか」

とエハとヴァンを見た。

「そうだ。今回は霊現象が大きいみたいだし、

新田君と真紀子さんも一緒に見てみます? 」

向井は残りのバーガーを口に入れると聞いた。

「そうね。私もヘルプハンターだっけ? 

になったし、行ってみようかな? 」

「うん。俺も行く」

真紀子と新田も食事をしながら言った。

「俺は? 」

牧野が聞くと、

「これは悪霊退治じゃなくて、

賞金稼ぎみたいな仕事なんですよ。

牧野君は悪霊を沢山退治してください」

冥王が言った。

「俺も悪霊退治から移動させてよ。

そっちの方が面白そうだし」

「ダメですよ。

悪霊退治は危険な任務ですからね。

牧野君意外に適任者がいません」

「………それって、

俺なら危険な目にあってもいいって、

聞こえるんだけど」

牧野が冥王を睨むと、

「そう、聞こえました? ふふふ」

冥王は笑いながらポテトを口に放り込んだ。

「なんだよ。絶対俺に喧嘩売ってるだろう」

「私にそんな口の利き方をするなど、

無礼です」

冥王がツンと横を向いた。

「ねえ、今のは絶対冥王が悪いよね。

俺は悪くねえぞ」

二人がいつものように言い争うのを、

笑いながら見ていた向井が口をはさんだ。

「そういえば二人とも、

ボールペンは集めなくていいんですか? 

安達君はコンプリートしてますよ」
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